「譚仔三哥」は米線専門店なので、メインの「麺」はもちろん米線。米線は、米粉で作られたつるっとして弾力のある麺。コシがあり、ラーメンのようにのびにくいのが特徴です。
譚仔三哥では、この米線ともう一つ、イモ粉で作られた硬く波打った「麺」も選ぶことができます。イモ粉麺の弾力と噛みきれない米線以上の歯ごたえは多くの日本人にとって未体験でしょう。
「具」は、肉類・団子類・野菜類・キノコ・湯葉など20種類から好みで選択できて、1種類につき5HKドル。
そして最も重要な選択が「湯(スープ)」です。香港本来の麺のスープは、肉や魚介でとった透明度の高いあっさりしたものですが、譚仔三哥は濃厚な白湯。店では「清湯(透き通ったスープ)」と呼ばれていますが、これは他のスープと比べればまだシンプルなスープだという意味。実際には牛乳のように真っ白で底が見えません。
「清湯」以外には「辣湯」・「麻湯」・「酸湯」があり、それぞれに「辛み」としびれるような山椒風味と酸っぱさを持つスープとなります。組み合わせることも可能で、「麻辣」や「酸辣」、3種混合の「三哥酸辣」から選べます。
日本人にとっては特に、「麻」が不思議かつ新鮮な味わいでしょう。麻の素は山椒だといわれればなるほどと思う香り。ただし、その量が半端ではないため、口に含むと口内も唇もビリビリとしびれてしまいます。これに「辣」も加えると、「ヒリヒリ」もプラス。熱さのせいではなく、しびれと辛さでフーハーフーハーすることになります。でも、これがクセになるのです。
更に辛さの度合いは小・中・大・特の4段階。小でもかなり辛いため、小はさらに4段階に細分化されています。もっとも辛みが少ない5小辣なら、子供でも食べられそうです。
自分で選べるという「自由さ」は、自分好みにできるという「特別感」を与えてくれるらしく、香港人たちは楽しそうに選んでいます。また、これがあるからこそ、次はあれを食べよう、また来ようというリピートつながっているのでしょう。
伝統的な香港の麺の特徴の一つに、少量であることもあげられます。これは麺が、小腹が空いた時のオヤツ感覚で安く軽く食べるものでもあったためですが、昨今の健康ブームでオヤツに麺を食べる香港人はめっきり減りました。そのかわり、3食、とくに昼食と夕食はしっかりと食べるようになったのです。
譚仔三哥の魅力は他の麺屋にはないそのボリュームです。もっともシンプルな麺は雲南米線と1種類の具のセットで25HKドル。この具ももちろん選べます。
また実際には、ニラや湯葉なども少量が入っていて、かなりのボリューム。さらに具を追加で頼もうと思うなら、かなりお腹を空かせて臨む必要があるでしょう。
さらに、「過橋米線」というお得用のセット麺なら、人気の具が16種類トッピングされて46ドル。出てくる丼は小さめの洗面器ほどあり、具が山盛りになった様子はちゃんこ鍋のよう。一般的な女性の食欲では到底食べきれません。
香港人たちは、2.3人で頼んで取り分けて食べています。
譚仔三哥は人気なだけに、食事時には行列ができているほどです。それでも、店の開店は早く、たいていは10〜15分程度待てば席が空きます。そして座って注文すれば、「え、もう?」と思うスピードで麺が登場します。
混雑時には、注文にてこずっていると、店で働くおばちゃんたちがイライラし始めるので、並んでいる間に注文は決めておきましょう。
さらに、十分お腹が満足する1杯の麺が25HKドル。これは軽食の価格が低めの香港でもさらに低価格。46HKドルの大盛りセットを注文して二人で食べれば一人あたり23HKドルで済んでしまいます。飲み物をプラスしても30HKドル前後とファストフードの低価格セット並みのお得感ですね。
香港ローカルのB級グルメ的な存在なので、高級店のようなサービスや衛生的配慮は期待できませんが、明るい店内は清潔好きの日本人でもほぼOKなライン。
人の多いMTR駅近辺なら必ず見かける譚仔三哥は、香港人向けの店であり、日本語はもちろん英語メニューもありません。会話も広東語か北京語のみ。それでも、指さし確認であれやこれやとやりとりしていると、不機嫌そうな顔をしつつもおばちゃんたちが辛すぎる麺を頼まないようにと注意してくれているのが伝わってきたりします。「多謝(ドウチェ)!」と声をかければ、おばちゃんの笑顔をゲットできる可能性も。
美味しい食事にありつけることは、旅の嬉しいグルメ体験となります。刺激的なスープにノックダウン寸前になったとしても、唇や舌が腫れたとしても、冷房の効いた店内で汗びっしょりになったとしても、「いつかきっと、もう一度食べたい味」として記憶に残るであろう譚仔三哥の麺を、香港で味わってみませんか?
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