チュニジアの首都であるチュニスは、北アフリカにおいてはエジプトのカイロ、モロッコのカサブランカに次ぐ第三の都市だとされています。地理的にはアフリカ大陸に属していますが、距離で言うとイタリアのシチリア島まで、なんと400キロメートルも離れていません。
そんなチュニスの歴史は、なんと紀元前にまで遡ります。古代フェニキア人によって作られた「カルタゴ」という国の衛星都市として機能していましたが、その後ローマ帝国に吸収されることとなります。
その後7世紀までローマの支配は続きますが、現在のシリアのダマスカスを首都としたウマイヤ朝に支配され、イスラム世界へと変貌を遂げました。19世紀には一旦フランスの保護領となりましたが、現在では一独立国家として歩んでいます。
イスラム国家であるチュニジアですが、フランスの保護領だった影響を強く受けているため、国民の大半はアラビア語とフランス語を話します。またイスラム教の女性でも、かぶり物「ヒジャブ」を着用せず、レストランでも普通にお酒が飲めるなど(断食月ラマダンを除く)、西欧に近い文化が見られます。気候も地中海沿岸のため、過ごしやすいのが特徴です。
またチュニジアの人々はアラブ人と、この地に元々住んでいた「ベルベル人」との混血が進んでおり、見た目で言うとヨーロッパやアラブの人に近いのです。
そんなチュニジアは「アフリカにいるのか?イスラム教国にいるのか?」となんとなく混同してしまいますが、それがまた旅の醍醐味かもしれません。
長い歴史を持つチュニスですが、ここには一面青いドアと白い壁で統一された何とも魅力的な町「シディ・ブ・サイド(Sidi Bou Said)」があります。チュニスを支配していたカルタゴと古代ローマ帝国が、現在のシディ・ブ・サイドのある高台に、敵を監視するための灯台を作っていたのが町の始まりとされています。
その後この町の美しさに魅了されたお金持ちたちが次々にこの地に邸宅を構え、1915年には青と白以外の建物は建ててはいけないという政令まで作られました。
徹底された青いドアと、白い壁の建物たち。それに加えて、高台から眺める美しい地中海の青い海が美しく調和されているシディ・ブ・サイドの光景。すばらしいの一言に尽きます。
写真の青いドアに、手形がついているのは分かるでしょうか?これは「ファティマの手」と呼ばれるもので、イスラム教の世界では「魔除け」になると信じられているものです。
この話にはこんな伝説があります。イスラム教の開祖として知られるムハンマドの四女だったファティマは、大変慈悲深い女性でした。そんな彼女が夫を戦地に送り出すことになり、別れ際に夫のことを抱きしめます。すると手に装飾を施していた彼女の手形が、夫の白い服にしっかりとついてしまいました。
その後戦地に赴いた夫に不思議なことが起こります。激しい戦争の中でたくさんの人が傷つき多数の死傷者が出たのにも関わらず、夫は無傷でファティマの元に帰ってきたのです。それ以来「ファティマの手」はアラブの世界で「魔除け」のシンボルとなったのです。
シディ・ブ・サイドには猫がたくさん!猫好きにはたまらない場所となっています。道を歩いていたらそこには猫がごろにゃん。チュニジアの人々も彼らを可愛がっているのか、あまり人間を怖がっておらず、近くまで寄ってきます。
また、シディ・ブ・サイドで常に人が並んでいる有名店があります。そこにはこんな揚げたてのアラビア風ドーナッツが♪日本で食べるものよりもフワフワで軽いのですが、揚げたてということもあって絶品。お酒を飲まない代わりに、甘いものが大好きなチュニジアのおじさんまで笑顔でドーナッツを食べているのを見ると、こちらまで笑顔になっちゃいますよ。
イスラムの国では特徴的な「幾何学模様」。神を絵で表したり、像を作ったりするのを禁じているイスラムの世界では、こういった美しい模様で神の尊さを表しています。
シディ・ブ・サイドには、そういった美しい幾何学模様を使ったお皿や飾り物がいっぱい!地中海を思わせる鮮やかなブルーもいいですね。お土産には重くてたくさんは無理かもしれませんが、見てるだけでもとっても楽しいですよ。
お店の店員さんが言う値段は、あらかじめ負けることを想定とした値段。最終的には半額から三分の一くらいにはなりますので、ぜひがんばって交渉してみましょう。
今回ご紹介したシディ・ブ・サイドの他にも、ローマ時代の世界遺産を初めとした観光資源で溢れている国チュニジアですが、数年前には「アラブの春」と呼ばれる革命が起こりました。2014年12月現在は外務省の渡航に関する安全情報では「十分に注意してください」にまで引き下げられていますが、情勢は未だ不安定な状態です。渡航中はもちろんのこと、渡航前にも十分に情報を確認してください。
近頃ではその豊かな観光資源を求めて、日本人の渡航者が増えているチュニジア。よくあるアジアやヨーロッパでなく、次の海外旅行ではちょっと変わったところに行ってみたい…と考えている方に、是非お勧めです。
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(2024/10/16更新)
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