写真:旅人間
地図を見る大阪の四天王寺から西北に5分ほど歩いた場所、縁結びで有名な愛染勝鬘院の横に「大江神社」が見えてきます。ここは天王寺七宮の1つで、四天王寺の鎮守として、聖徳太子が祀られたものと伝わる歴史の深い神社。
かつては四天王寺から乾の方角(西北)に位置していたことから「乾社」と呼ばれていましたが、西側が傾斜地になっていることから、次第に大江の岸と称されるようになり、現在の大江神社となったそうです。今でも西側から見ると急斜面に石階段が続く風景が残り、当時の情景が目に浮かんできそうですね。
ちなみに、現在では想像もつかなくなりましたが、昔はこのすぐ下まで海であったらしく、西の海に夕日が沈む美しい景色が見られた景勝地でもありました。境内には 「夕陽岡」の碑があり、この地域一帯には「夕陽丘」と言う地名が残っています。少し建物が邪魔しますが、高台に位置する大江神社からは、現在でも素敵な夕日を楽しむことも出来るんですよ。
大江神社は御祭神に、五穀豊穣、開運厄除、衣食住守護、諸業繁栄の神様である豊受大神(とようけのおおかみ)を祀っています。また八俣大蛇を退治した勇敢な神様の素戔嗚尊(すさのおのみこと)も祀られ、身に降りかかる悪しきこと諸々を、荒々しい強い力で祓い清める災厄除けのご利益をもたらしてくれます。
そして、本殿前には猛々しい狛犬が鎮座しています。
写真:旅人間
地図を見る本殿の左横を奥に進んで行くと、そこには狛犬ではなく「狛虎」が鎮座しています。その周囲にはメガホンなど阪神タイガースの応援グッズが沢山供えられ、優勝を祈願するお札が捧げられ独特な雰囲気に包まれています。この一帯に限っては、阪神タイガースの為の神社のようにも感じられ、まるで、阪神タイガースの聖域。阪神ファンにとっては、特にテンションが上がる場所ではないでしょうか。
この「狛虎」の由来に関する詳細は、戦火によって全ての資料が燃えてしまい正確には不明です。ただ300年以上も前に作られたものであり、正面奥の空き地部分に江戸時代に毘沙門堂があったと伝わっていることから、毘沙門天のお使いである虎を毘沙門天を護る為に「狛虎」として鎮座させたのではないかと推測されています。
しかし、現存する狛虎は損傷が激しいことから、現在は保管され目にする事が出来ません。今私たちが目に出来る狛虎は2003年と2011年に再建されたものになります。
写真:旅人間
地図を見る阿吽(あうん)と言う言葉を知っていますか?
阿(あ)は口を開いて最初に出す音で、吽(うん)は口を閉じて出す最後の音。それぞれ始まりと終わりを表わし、万有の始原と究極を象徴意味するだけでなく呼吸の合った関係なども意味しています。例えば、寺社の山門にある仁王や狛犬は、口を開いた阿形(あぎょう)と、口を閉じた吽形(うんぎょう)の一対の姿であることが一般的ですね。これは、山門の両側で『阿吽』と呼吸を合わせて魔物を追い払っていると考えても良いでしょう。
しかし、この狛虎は現在でこそ「阿吽」で対になっていますが、数年前まで狛虎は片方しかありませんでした。明治の神仏分離で、毘沙門堂は取り壊され、吽形(うんぎょう)が滋賀に持ち出されてしまったのです。その為、口を開いた阿形(あぎょう)のみが、長い年月の間ずっと、ここで一人寂しくここに残る形となってしまったのです。
そして阪神ファンの方が、この狛虎に阪神優勝の祈願を思いついたのがキッカケで、2003年に吽形(うんぎょう)を再建させ対にする事を提案し、新たに再建されるに至ったのです。
※現在の阿形(あぎょう)の狛虎は2011年に新しくなったものです。
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地図を見る2002年に不振の救世主として、星野仙一氏が阪神タイガースの監督として迎えられ、全国の阪神ファンが歓迎ムードに湧いていた頃、この大江神社でも一つの試みがなされていました。それは、この地に昔から鎮座する狛虎に「阪神タイガースの優勝祈願」です。
狛虎に優勝祈願をすると、阪神タイガースは勢いづき始めました。そして2003年になると破竹の勢いで勝が進んだのです。そうなると願掛けに賛同する者も増えるようになり、当時現存していた阿形(あぎょう)だけでなく、新たに吽形(うんぎょう)を作成し「対」にする話が持ち上がります。話が持ち上がると行動は早く、ファンの熱い思いに応じるかのように驚きのスピードで吽形(うんぎょう)は完成します。そして入魂除幕式が執り行われ、約130年ぶりに阿吽の『対』となったのです。まさにその年、阪神タイガースは優勝をしました。
狛虎の前に立つときっと感じると思いますが、狛虎はとても表情が豊かです。長年一人だった狛虎が対になって喜んでいるかのようにも感じます。大阪の隠れたパワースポット、阪神ファンの方も、そうでない方も、ぜひ一度足を運んでみて下さい。お参りすると、嬉しそうな表情をした狛虎から、幸せがやって来そうに感じるはずですよ。
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地図を見る今回ご紹介をさせて頂きました大江神社の「狛虎」は、阪神タイガースとは直接の関係は御座いません。関係者の方のお話によると、阪神の熱烈なファンの方たちが、大江神社の狛虎に願掛けをしたところ阪神が好調になり、そして片方しかなかった狛虎を再建し「対」にした年に阪神が優勝しました。多くの阪神ファンがご利益を信じ、阪神ファンが大切にしている場所になります。
阪神ファンの皆さん、ここで優勝祈願しに来てください♪
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(2024/11/3更新)
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