関西随一!きのこ料理の創士庵(奈良)と十一面観音の秘密寺を巡る

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関西随一!きのこ料理の創士庵(奈良)と十一面観音の秘密寺を巡る

関西随一!きのこ料理の創士庵(奈良)と十一面観音の秘密寺を巡る

更新日:2014/12/24 10:24

ナツキのプロフィール写真 ナツキ きのこの文化研究家、博物学者

奈良県生駒市真弓にあるきのこ料理専門レストランの創士庵は、全国各地の産地から毎朝直送されてくる採れたてのきのこをふんだんに使った料理で定評のある、街中の一軒家レストラン。

このレストランからほど近いところにあるのが、わが国原始仏教に由来する秘蔵の十一面観音と出会うことのできる街中の2ケ所の密教寺院。
そんな意外性と驚きに満ちた秘密の場所をそっとご紹介しましょう。

全国でも珍しい十一面観音磨崖仏を本尊とする王龍寺

全国でも珍しい十一面観音磨崖仏を本尊とする王龍寺

写真:ナツキ

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近鉄奈良線富雄駅から奈良交通・傍示行きのバスで約9分の杵築橋で下車。
そこから西へ緩やかに登る坂道を辿ると、やがて両側が飛鳥カントリー倶楽部のゴルフ場フェンスに囲まれた道となり、本当にこんなところに磨崖仏を擁するような山岳寺院があるのか不安になってきます。

やがて山田が広がる田園風景が開けてきたなと思うや否や、忽然と王龍寺の標識が現れます。
そして、飾り気のない山門をくぐると、そこはまさにこれまでの風景が一変してしまう昼なお暗い別天地。古寺の趣きを残す深い森が広がっています。

このツブラジイ、ヤマモモ、アセビ、ヒサカキ、ヤブツバキなどの巨樹から成る太初の森は、県の文化財に指定されているそうです。

山門からの長い参道は「開運道」と呼びならわされている谷川に沿う山道となり、しばらく登ると小滝のそそぐ水垢離場になっています。古代、この森を擁する山域全体が修験の山だった名残りのようです。

来し方の風景からは全く隔絶した、隠れ里のような寺院が突然出現することに来訪者はまず驚かされることでしょう。

天平時代に聖武天皇の勅願寺として創建され、かって「僧坊千軒」の規模を誇ったこの広大な寺域は、中世に筒井氏の兵火により焼失し、やがて廃寺となってしまいます。

この寺が今日の形に再建されたのは江戸時代も元禄期になってから。以来、黄檗宗の寺として今日に至っています。

写真は、開運道を登りつめたところにある本堂。

王龍寺
所在地 奈良県奈良市二名6丁目1492
電話0742-45-0616
通年 無休 境内参詣自由
9:00〜17:00(閉堂は時期により異なります)

王龍寺秘蔵の南北朝期の磨崖十一面観音立像の微笑みに触れる

王龍寺秘蔵の南北朝期の磨崖十一面観音立像の微笑みに触れる

写真:ナツキ

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石段を登りつめた王龍寺の本堂には、2m余りの花崗岩に彫られた磨崖仏の本尊・十一面観音立像(175cm)と不動明王立像(85cm)があり、前者は建武3(1336)年、後者は後に追い彫りされ文明元(1687)年の銘が施されています。

最奥部の磐座に直接彫り込まれた本尊を覆う形で本堂が作られ、その手前の拝殿と思しきところには黄檗僧の像が多数取り巻いています。

開門時間でも本堂が閉鎖されていることが時たまありますが、拝観したいと申し出ると鍵を開けてくれ、本当に無造作に見仏することができます。

この十一面観音は、名のある仏師が手がけた仏像とは異なり、一切のこだわりを捨てたあどけなさの極致の微笑みとしなやかなボディラインで立ちつくしており、さまざまな思いをもってここを訪ねる人たちそれぞれの心に忘れがたい印象を刻み込んでくれます。

本堂を出て左手の「いわやばし」をわたり、大小さまざまな石造物がめぐらされた急な石段を登ると開けた空地に出ます。
そこには大黒天を祀るお堂が建てられています。

貞観期の艶麗な十一面観音を秘蔵。国宝の本堂を擁する長弓寺

貞観期の艶麗な十一面観音を秘蔵。国宝の本堂を擁する長弓寺

写真:ナツキ

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近鉄奈良線生駒駅から出ている近鉄けいはんな線の学研北生駒駅で下車。県道7号線に沿う富雄川を20分ほど下った左手に大きな石鳥居が見えてきます。

これは、新興住宅地の中で今も驚くほどの広大な寺域を誇る長弓寺に祀られている伊弉諾(いざなぎ)神社のものです。
この参道の奥に寺の山門があり、その脇の蓮池を過ぎると、広大な南向きの斜面のそこここに立派なお堂が続きます。

参道脇の四季折々の花を楽しみながら、次々と現れる塔頭(たっちゅう)寺院を訪ねるだけで心が洗われる思いがします。

その道行きのクライマックスにあたる最奥部の檜皮葺の本堂(国宝)には、見事な本尊の十一面観音立像(重要文化財)が収められています。
高さは、丈六に少し届かぬ一丈四尺の見事な貞観仏です。

本堂にはこのほか、桓武期に安置された阿彌陀如来、釈迦如来、影見観音、四天王の諸仏と本寺開創に関わる聖武天皇、行基像がおさめられています。
寺号はこの地の名族・真弓長弓がしばしばこの地で狩猟を愉しんだことによるものと伝えられます。

あまたある塔頭寺院の本尊仏の地蔵や聖天、大黒天。また道のべの役行者石像などの諸仏を観てまわったら、本堂裏から山道を少し登ったところにある真弓塚を訪ねてみましょう。

ここは、狩猟の最中に息子の誤射によって亡くなった真弓長弓を葬った古墳だといわれています。

そこからは、直接創士庵のある真弓町2丁目へは目と鼻の先なので、本堂へは戻らずにそのまま町へ出ましょう。

長弓寺
所在地 奈良県生駒市上町4443
電話0743-78-2437(長弓寺法華院)
境内は参拝自由。

本堂の十一面観音や諸仏の拝観
9:00〜16:00。
拝観料は個人300円、団体270円。
本堂拝観は要電話予約とのこと。

きのこ料理づくしの創士庵

きのこ料理づくしの創士庵

写真:ナツキ

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近鉄けいはんな線・学研北生駒駅から徒歩6分。バス通りから一筋裏にある真弓町2丁目公園前にある住宅街の1軒家レストラン。
長弓寺の真弓塚から通りへ出れば、そこは真弓町4丁目ですのですぐ近くです。
表からみればこじんまりとしたたたずまいですが、中に入ると意外と奥行があり、いくつもの部屋に分かれたレストラン空間がひろがります。
ガラス工芸家のご主人の工房と隣り合わせになったレストランですので、落ち着きのあるインテリアのそこここにガラス工芸作品が並んでいます。

厳選した食材を用いたコース料理のみのレストランですが、リーズナブルな価格(きのこづくりコース2800円+税〜)で、新鮮なきのこ食材ときのこが好きでたまらないママさんやシェフの気さくな応対のハーモニーは一見の価値ありです。
お子様向けのメニュー、新作メニューも豊富に揃えており、四季折々のきのこ料理が楽しめるのできのこ好きにはたまりません。

フルコースの定番きのこ食材

フルコースの定番きのこ食材

写真:ナツキ

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創士庵のきのこ料理は、一品一品本当によく吟味されたきのこ食材を用いているのが、他の追随をゆるさないこだわりの味の秘密。
その定番のきのこ食材が、ヤマブシタケ、マイタケ、エリンギ、ヒトヨタケ、シイタケなどなど。
きのこの一品料理もさることながら、これらのきのこのだしが複雑にからみあったコース料理の最後に出るきのこ鍋は絶品です。

写真はその日ふるまわれるきのこ食材の数々。

創士庵
所在地 奈良県生駒市真弓2丁目4-21 
TEL 0743-78-5953
昼11:00〜15:00
夜17:30〜22:00
定休日/月曜日(祝日は営業)
※駐車場あり(5台)

まとめとして

生駒山は古代の難波と大和の境を成す天然の要害で、長弓寺のあるあたりは神武東征の際に執拗に戦い続けたナガスネ彦ら蝦夷(えみし)たちの跋扈したところ。

この富雄川に沿いずっと南の法隆寺・斑鳩を越えて桜井から宇陀あたりまでがあまたある鳥見山を神南備とする登美族(とみぞく)の本拠地で、それはまた十一面観音の「祈りの回廊」に重なり、近年注目を集めてきています。

このあたりはまだまだ古代史の未発見のポイントがキラ星のごとく輝きを放っているので興味がつきません。

コースとしては、王龍寺から再び杵築橋バス停へ戻り、北生駒駅方面のバスに乗って長弓寺、そして創士庵へ行くのがおすすめ。

創士庵で昼をすませてから、長弓寺へ詣で王龍寺へ行くのは、話題性満点、おいしさ一杯の創士庵で落ち着いてしまう可能性大なのでおすすめできません。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/05/18 訪問

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