わずか16年で廃線!幻の三蟠鉄道、その痕跡を探る岡山の旅

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わずか16年で廃線!幻の三蟠鉄道、その痕跡を探る岡山の旅

わずか16年で廃線!幻の三蟠鉄道、その痕跡を探る岡山の旅

更新日:2014/12/23 14:31

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員

岡山市の中心部を南北に流れる旭川。その下流域の大半は、現在、住宅地と田畑によって埋め尽くされています。輸送手段はもっぱらバスや自動車ですが、そんな旭川下流域にかつて軽便鉄道が走っていたこと、ご存知ですか?その名は「三蟠鉄道」。しかも、旭川に沿うようにして走っていたその軽便鉄道の営業期間はわずか16年!今回は、幻の軽便鉄道とも呼ばれる三蟠鉄道の痕跡を探る旅に出かけてみましょう。

現存する貴重な駅舎!旧三蟠駅の遺構

現存する貴重な駅舎!旧三蟠駅の遺構

写真:乾口 達司

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三蟠鉄道(さんばんてつどう)は、江戸時代から近代まで岡山の外港として繁栄した三蟠港(現在の岡山県岡山市中区江並)と国清寺(岡山市中区門田屋敷)および桜橋(同市中区桜橋)とのあいだを結んでいた軽便鉄道。路線距離7.25キロメートルのあいだに「三蟠」「浜中」「宮道」「下平井」「上平井」「湊」「桜橋」「網浜」「国清寺」と計9つの駅が点在していました。

三蟠−桜橋間の敷設にはじまる鉄道の開業は1915年8月11日。1923年2月5日には湊−国清寺間が開通し、全線が開通しました。しかし、輸送手段の変化などにともない、業績が悪化。1931年6月28日をもって廃線となりました。その営業期間はわがす16年足らず!三蟠鉄道が幻の軽便鉄道と呼ばれる所以です。

写真は旧三蟠港に残る建物。現在、釣具店として営業しているこの建物、いったい何だと思いますか?実はこの建物、三蟠駅の駅舎として使われていたものなのです。もとは国清寺駅あるいは桜橋駅の駅舎を転用したものであると考えられていますが、80年以上前に廃線となったかつての駅舎がいまなお残されているなんて、驚きですよね。貴重な鉄道遺産です。

出発進行!旧三蟠駅駅舎裏手の復元起点

出発進行!旧三蟠駅駅舎裏手の復元起点

写真:乾口 達司

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旧三蟠駅駅舎の裏手には、ご覧のように、三蟠鉄道の起点が復元保存されています。復元されたのは1994年。起点であることを示す距離票の「0キロポスト」のほか、線路の一部まで残されているので、ここから国清寺駅を目指して列車が出発していた様子が容易に目に浮かんできますね。出発進行!そんな声が聞こえてきませんか?

田畑のなかにわずかに残る線路跡

田畑のなかにわずかに残る線路跡

写真:乾口 達司

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廃線後、沿線では宅地化が進み、いまでは鉄道が走っていた痕跡を見つけることすら難しいのが現状です。しかし、宅地化をまぬかれた区画では、その痕跡をかろうじて見出すことができます。たとえば、この一枚。操南保育園の北西、旧浜中−宮道駅間に広がる旭川沿いの田畑を撮影したものですが、画面の右手、田畑の一角に樹木の生えている箇所が見えますよね。

写真ではわかりにくいですが、この区画は細長い地割となっており、この上をかつて列車が往来していました。旭川の土手上を走る車道からだとよりはっきり確認できますが、車道は交通量が多いため、土手から見学する際はくれぐれもご注意ください。

産業道路沿いに残る鉄橋の橋台跡

産業道路沿いに残る鉄橋の橋台跡

写真:乾口 達司

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岡山県道45号岡山玉野線(通称「産業道路」)の沿線に広がる平井地区にも往時の痕跡が残されています。なかでも、ぜひご覧いただきたいのが、写真の遺構。メガネの三城WOC・OWNER平井店およびその関連施設である「ワールドオプティカルカレッジ」の敷地と隣接するこの遺構は、橋の両端を支える橋台(アバット)の跡。列車はこの上を走って用水路をまたいでいたのです。事実を知らないとつい見落としてしまいがちな遺構ですが、それだけに貴重なものであるといえるでしょう。

終着駅・旧国清寺駅の現在の様子

終着駅・旧国清寺駅の現在の様子

写真:乾口 達司

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鉄道の終着駅は国清寺駅。現在の旭東小学校東側付近に駅がありました。道路を挟んだ左手は旭東小学校。ご覧のように宅地化が進み、往時をしのぶものは何もありませんが、付近にはかつて駅の敷地を買い取り、現在もそこで暮らしている方がいらっしゃるといったように、三蟠鉄道の記憶はいまなお地域の人々によってしっかり受け継がれています。

おわりに

往時をしのぶ痕跡がほとんど残されていないゆえにかえって貴重な旧三蟠鉄道探索の旅。現在では地元の有志によって結成された三蟠鉄道研究会が精力的に活動し、新たな遺構がいくつも発見されています。活動の深まりとともにさらに新たな発見が期待される三蟠鉄道。2015年で開業100周年を迎える幻の軽便鉄道の痕跡を探るため、ご自身の足で当地をめぐり、往時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/11/04 訪問

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