写真:乾口 達司
地図を見る日生(ひなせ)は兵庫県との県境に近い岡山県の港町。カキオコはそんな日生の街とその周辺地域で長年にわたって食べられてきました。カキオコの存在が県外に知られるようになったのは、今世紀に入ってから。B級グルメの祭典「B-1グランプリ」に出場し、高い評価を勝ち得たこともあり、昨今は全国各地からカキオコ目当てに日生を訪れる観光客が急増しています。
しかし、なぜ、具材にカキなのでしょうか。それは岡山県が全国有数のカキの生産地であることにちなみます。特に日生地区は県内トップクラスの生産量を誇っており、そのことがカキオコの誕生と深く関わっています。その点でカキオコはまさしくその地でしか食べられないご当地グルメの代表格であるといえるでしょう。
写真はカキオコの実物を撮影した一枚。焼きあがった生地の上にはネギや紅ショウガがトッピングされてはいるものの、見た目はごくごく普通のお好み焼きに見えませんよね。しかし、生地のなかには新鮮なカキがいっぱい!カキオコをはじめて食べた方は、見た目とカキの独特の風味とのギャップにまず驚かれることでしょう。ちなみに今回は「泉富久」と「浜屋みっちゃん」のカキオコを紹介します。焼き方などはお店によって微妙に異なるので、あらかじめご了承ください。
写真:乾口 達司
地図を見る「泉富久」では、独特の粘り気を持った薄い生地の上にキャベツを敷き、その上にカキを並べます。しばらくしたら、裏返し!両面をこんがり焼き上げていきますが、関西風のようにメインの具材と生地とを混ぜ合わせず、重ね焼きのスタイルをとっている点で、その焼き方は広島風に通じるものがあるといえるでしょう。しかし、広島風とは一線を画しているのは、やはり具材となるカキの量!こんなにたくさんのカキが生地にのせられるのですから、カキの風味が強く出るのも納得ですね。
写真:乾口 達司
地図を見る食べてまず気付くのは、粘り気のある独特の生地がかもし出すとろりとした食感。そこにカキ独特の風味が加わるので、食が進みます。なかでも、不思議なのは、鉄板で焼かれているにもかかわらず、カキが思いのほか縮んでいない点。肉厚のカキをぷりぷりの状態で食べることができる点にカキオコの最大の魅力があるといえるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る近年まで地元民にしか食べられていなかったせいもあり、カキオコをとりあつかうお店の多くは、個人営業の小店舗によって占められています。したがって、お店の多くはカキオコを焼く鉄板のまわりに丸椅子を並べた程度か、あるいはそれにささやかなテーブル席がついたくらいのキャパシティしかなく、観光客が急増している昨今、特に休日ともなると、各店舗にはカキオコ待ちの大行列が発生します。カキオコ目当てに日生を訪れる方は、時間に余裕を持って訪問しましょう。
写真は「浜屋みっちゃん」店内の鉄板台を撮影した一枚。ご覧のように、一度にたくさんのカキオコが焼かれています。お客さんは鉄板台をとりかこんで座り、それぞれのカキオコができあがるのを待ちます。「浜屋みっちゃん」では各人のスペースがかなり限定されていることもあり、目の前に差し出されたカキオコを鉄板上で直接切り分けて食べることになりますが、お客さん同士が肩を寄せ合って食べるという庶民的なスタイルもカキオコの魅力の一つであるといえるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る庶民的な雰囲気という点は、日生の街並みも同じ。写真は「浜屋みっちゃん」などが並ぶ日生の中心街を撮影したものですが、ご覧のような下町風情が旅情をかきたて、食後はぶらりと散策してみたい衝動にかられます。もちろん、新たなカキオコを目指して、もう一軒、ハシゴをするのもよいでしょう。「カキオコ」と記されたノボリを目印にして散策すると、次のお店がすぐに現れますよ。
カキオコの魅力がご理解いただけたでしょうか。上にも書きましたが、休日ともなると、カキオコを求めてやってくる人で日生の街はゴッタ返します。駐車場完備のお店は少なく、たとえ完備されていても数台程度のスペースしかないため、お車で訪れる方は路上駐車や違法駐車を決してなさらず、必ず公営の駐車場に停めてください。採れたてのカキをそのまま使ったものは秋から春にかけてしか食べられない貴重なカキオコ。ぜひ、その独特の風味をご堪能ください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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