写真:六三四
地図を見る安楽温泉郷の最北端にある「佐藤温泉」。鄙びた風情が漂う湯治宿は、雰囲気と泉質の良さを知る全国各地の温泉ファンが訪れています。隣接する湯治宿「本家しお湯温泉」を経営していた先代が、戦後の温泉ブームで多くの湯治客が訪れるようになったため自宅を宿に改装したのが「佐藤温泉」のはじまりです。
安楽温泉に往時の賑わいはもうありませんが、3代目のご主人と女将さんお2人でのんびり湯治宿を営んでいらっしゃいます。
少し余談ではありますが、こちらの「佐藤温泉」と「本家しお湯温泉」を温泉ファンは『しお』と『さとう』から安楽温泉のソルト&シュガーと親しみをこめて呼んでいます。
写真:六三四
地図を見る「佐藤温泉」2階は湯治部屋。シンプルな畳み部屋に冬場はこたつが置かれます。ふすまの先は隣り部屋と共有の縁側となっており窓の外には温泉街に沿って流れる天降川(あもりがわ)。湯治用の調理場には長年湯治客に大事に使われてきた タイル張りの流しもあり古き良き時代の風情を今に伝えています。
湯治宿らしく細かな料金設定も昔のまま。部屋代には布団などは含まれておらず寝具、扇風機、炊飯ジャーなどはレンタル出来るようになっています。全て借りたとしても3,000円ほどで、さらに長期滞在になるとさらに割安になるとの事。
湯に浸かりながらの語らいや自前の料理をおすそ分けなど、湯治客同士が時間と生活の一部を互いに共有する。そんな懐かしい時代の光景が「佐藤温泉」にはあります。
写真:六三四
地図を見る「佐藤温泉」には2つの浴場があります。こぢんまりとした男女別浴場は半楕円形の浴槽とうたせ湯。泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウム‐炭酸水素塩泉(旧泉質名は含土類‐重曹泉)がかけ流し。性状は無色透明、微金気微塩味、微金気臭。浴槽レベルでは濃厚な シジミ汁のような色の湯に熟成されています。
安楽温泉の代名詞ともいえるのが『うたせ湯』。浴室奥にはバルブをひねって利用できる個人用うたせ湯があります。温泉街のほとんどの宿にうたせが設けられているのですが、「佐藤温泉」の『うたせ湯』はバルブ全開にするとかなり強烈ですので好みに応じた湯量でご利用下さい。
写真:六三四
地図を見る「佐藤温泉」敷地奥にはもうひとつの浴室があります。5〜6m四方の室内8割以上が浴槽という何とも豪快なつくりの浴槽。脱衣室からドアを開けるといきなり湯船といった表現が適切かもしれません。浴槽のほぼ中央部分にある吐湯口は、いかにも鹿児島らしいモチーフ。桜島の爆発のように30センチメートルほど温泉が吹きあがる円錐状の湯口は圧巻です。湯温、湯量を調整するためかなり抑えて注いでいるのですが、開放すれば天井まで噴き上がるとか。温泉がたっぷりたくわえられた浴槽はまるで桜島が浮かぶ錦江湾のよう。
向かって左奥には寝湯があり、そしてこちらの浴室にも超強烈うたせ湯。壁に湯と水2本のバルブがあり、その混合泉が3メートルほどの高さから注がれます。かなりの湯量でうたせ湯落水付近は波が起りゆらゆらと揺れ、じっと座っている事は出来ません。こちらも調整出来ますのでお好みの加減でうたせをたのしんで下さい。
【温泉名】安楽温泉
【施設名】佐藤温泉
【住 所】鹿児島県霧島市牧園町宿窪田4151
【電 話】0995-77-2230
【泉 質】ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉
【適応症】きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症など
【立寄湯】男女別浴場200円、大浴場300円
「佐藤温泉」のような客室、浴室いずれをとっても古き良き日本の温泉場の風情を味わえる湯治宿は鹿児島県内でも珍しくなりました。ホスピタリティとは到底言えない上辺だけのサービスが横行する現在の旅館やホテルに辟易したら、温泉の原点回帰とも言うべき湯治宿で自分のペースでのんびり過ごすのもいいかもしれません。
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(2024/3/19更新)
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