須恵器のルーツ、日本最古級陶器「備前焼」を知る〜備前市〜

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須恵器のルーツ、日本最古級陶器「備前焼」を知る〜備前市〜

須恵器のルーツ、日本最古級陶器「備前焼」を知る〜備前市〜

更新日:2016/03/18 11:00

小谷 結城のプロフィール写真 小谷 結城 国内旅行業務取扱管理者、京都検定2級、温泉ソムリエ、日本城郭検定2級、国内旅行地理検定2級

日本六古窯、あなたは全て言えますか。瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前。これが六古窯です。そして、古代に焼かれていた須恵器がルーツと言われ、この中で最も古い窯が備前焼になります。「土と炎の芸術」と呼ばれる備前焼の特徴は、釉を掛けずに焼き締めた土色であり、繊細ながらも様々な表情を見せてくれるところです。
今回は、そんな陶器の魅力が詰まった備前焼の本場・岡山県備前市伊部(いんべ)をご案内します。

備前焼の歴史を通覧できる「備前市歴史民俗資料館」

備前焼の歴史を通覧できる「備前市歴史民俗資料館」

写真:小谷 結城

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備前焼のメッカは伊部という地域ですが、その前に備前片上に向かいます。
JR備前片上駅から徒歩約5分の場所に備前市歴史民俗資料館があります。入館料はうれしいことに無料。備前焼の歴史を知ることができます。古墳時代から平安時代までは須恵器が焼かれ、平安から鎌倉期ごろに生活雑器が作られ始めたそうです。江戸期に藩からの保護を受けて繁栄し、細工物の香炉、茶器などを得意とするようになりました。

ところが、明治期に入ると生活習慣が変化し、細工物が売れなくなり次第に衰微します。
その後に各窯元が努力し、備前から人間国宝・金重陶陽を輩出したことによって再びかつての地位を取り戻したそうです。陶陽は「備前焼中興の祖」として現在も有名です。

窯の空気の流通を防ぐことで発生する還元炎(不完全燃焼の炎)で焼くことによって青色に変化した青備前や、これを強力にすることで金色に変化した金備前などの展示も見ものです。
なお、備前市の民俗、備前ゆかりの文学者の紹介もしています。

料金 無料
営業 9時〜16時30分
休日 月曜日、祝祭日の翌日、 12月29日〜1月3日

今昔の備前焼の殿堂「岡山県備前陶芸美術館」

今昔の備前焼の殿堂「岡山県備前陶芸美術館」

写真:小谷 結城

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備前片上から伊部までは2駅。到着したJR伊部駅の2階は備前焼伝統産業会館という名で、あらゆる窯元の備前焼が勢揃いしています。ここで気になる窯元を見つけてから街に繰り出すのも良いでしょう。
ただし、その前に駅の東に立つ岡山県備前陶芸美術館に寄りたいところです。

岡山県備前陶芸美術館は1階から4階まであり、4階から下っていく順路です。4階には現代の陶芸家の作品、3階には備前が輩出した人間国宝と岡山県重要無形文化財保持者の作品、2階には古備前の優品が並び、1階は備前焼の紹介になっています。
備前焼の人間国宝は、金重陶陽・藤原啓・山本陶秀・藤原雄・伊勢崎淳の5名。さすがの備前焼、多く輩出しています。これが備前焼のレベルの高さなのでしょう。

2階では白土を焼き締めた白備前というものも見られます。『鵯(ひよどり)の香炉』は江戸中期の作。羽の一つひとつが丁寧に表現されており、顔もリアル。100年以上も昔の匠の技の凄さに鳥肌が立ちます。

料金 700円
営業 9時30分〜17時
休日 月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、 12月29日〜1月3日

伊部の町並みから天津神社へ…、備前焼の魅力に触れる

伊部の町並みから天津神社へ…、備前焼の魅力に触れる

写真:小谷 結城

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駅前から延びる道を突き当たりまで行くと、多くの窯元が点在する通りに出ます。窯元の中には、岡山藩の保護奨励を受けた歴史を持ち、古備前の技術を守り続ける窯元もあれば、上手物を中心に即売展示する窯元、歴史にとらわれない多彩な作品を生み出している窯元など個性豊かです。道なりに歩いてゆくと天津(あまつ)神社に至ります。

天津神社は、多くの陶芸家の信仰を集める伊部の総鎮守です。備前焼の狛犬、陶板の参道。神門の屋根瓦も勿論、備前焼です。他にも、現代備前焼作家の陶印の入った陶板をはめ込んだ塀や、備前焼製十二支の動物たちも見られます。
赤褐色をした枯淡な境内に、いつもとは少し異なる日本の貌を見たような気分になることでしょう。

備前焼を深く知ろう!

備前焼を深く知ろう!

写真:小谷 結城

ここで、備前焼についてもう少し深掘りしてみましょう。
備前焼は厳密に言うと、陶器とはまた別のb器(せっき)という部類に含まれ、備前焼最大の特徴である焼締もまた、このb器の一種に属します。

焼締は釉薬をかけず高温で焼成することで硬く締まったものを言います。
釉掛けされていなくても、登り窯などの焼成の際に発生する自然釉や、炎の当たり方によって窯変(薪の灰などが化学反応を起こして焼き物に模様を付けること)します。写真のものはどちらも釉薬を使用していません。手前の皿は、備前焼で一般的な赤備前、奥のカップが窯変した青備前。窯変によってこれほどの変化が生じることもあるのです。

また、ごま(黄色を帯びた斑点)、牡丹餅(円形の色抜け)、緋襷(ひだすき、藁の焼けた跡)…、窯変だけでも語りつくせないほど多彩です。条件によってあらゆる変化が見られ、窯から出すまでどのような表情になるのかは、窯内の炎にしか分からないのです。こうしたところも備前焼の魅力の一つとなっています。

食卓に伝統の品をおひとついかが?

備前焼を扱うお店の方が再三おっしゃっるのは、「飾るのではなく、使ってほしい」ということ。使い込むほどに変化する風合いや色艶を楽しんでほしいのだそうです。
電気窯などで短時間に焼いてしまう量産品と比べ、長時間かけてじっくりと焼き締められた伝統工芸品は、割れにくく、窯元によるこだわりの技法もさまざま。面白いです。

茶陶でなければ、予算5000円程度で充分にお気に入りの品が手に入るはずです。日用雑器を買いに行くことを旅の目的とするのも良いのではないでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。

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