写真:Ise Shinkurou
地図を見る豊後高田市には国指定の磨崖仏が多く存在しますが、ここ「熊野磨崖仏」にある2体の仏像は日本最古でしかも最大と言われています。
まず最初にご紹介するのは、圧倒される程高く聳える直立の岸壁に彫られた、6.8メートルの大日如来の半立像。国指定史跡で、様々な文献から藤原末期に彫られたと考えられています。
前に立つと、1300年以上も風雨に晒されながらも、平成の時代を生きる私たちの前に姿を見せてくれる事に感動される事でしょう。宝冠もなく印も結んでいないので薬師如来像ではないかとの議論もなされているその姿は、凛とした雰囲気を醸し出しながら、優しい表情で前に立つものを見つめています。まるで古代からのメッセージを現在に伝えているよう。
自然と融合したその姿から、古代のメッセージをしっかりと受け取って頂ける素晴らしい磨崖仏です。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る同じエリアにあるもう一つの磨崖仏は約八メートルの半立像で、右手にはしっかりと剣が握られています。そうです皆さんよくご存知の「不動明王」です!
でも優しく滑稽な感じの明王様で、憤怒の相を持たずに人間味のある表情を持つ仏像。こちらも大日如来と同じ時期に彫られたと考えられ、国指定史跡となっています。古代の神仏習合を物語る素朴な表情が筆者お気に入りの磨崖仏です。
また左右にある脇童子もお見逃しなく。風化が激しく判りにくいのですが、注意してご覧下さい。あなたが最後の判別者になるかもわかりません。こちらも私達が歴史の一幕の主人公となり得る貴重な磨崖仏ですよ。
そしてこのエリアから20段ほどの石段を登ると「熊野神社」の社があります。古びた趣のある神社ですので、是非こちらにもお参り頂いて力強いパワーをお持ち帰り下さい。
ではこのパワーを手に入れる為に登る「苦難の参道」をご紹介しますね。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る紀州熊野からお移りになった権現様。鬼に「人間の肉が食べたい」と頼まれ「それならば日暮れから翌朝までに百段の石段を造れ」とお命じになりました。鬼は必死に石を担ぎ九十九段目の石を運んできます。これは大変と夜明けを告げる鳥の鳴き声を真似ると、最後の石を担いだ鬼が逃げ出し、一里半ほど走って石を放り出します。その石が立ったままなのでその地域を立石と呼ぶようになったと言うお話。
日本では数多くの場所に、似たような伝説が残りますが、それほど霊場の場は厳しく苦しいと言う事なのでしょうか?
実際登ってみると、確かにこれは大変!乱雑に積まれた石はとても歩きにくいのですが、一歩一歩足元を確かめながらの歩みは、忙しい日々を送る現代人が忘れがちな、大切な事を教えてくれます。
でも百段を登り切ったその後で、清々しい気持ちで磨崖仏を拝観出来ますよ。スニーカー等、足元の準備をお忘れなくお出かけ下さいね。
「熊野磨崖仏」
拝観時間 8:30〜17:00
拝観料 200円
写真:Ise Shinkurou
地図を見る階段を降りると少し遊歩道のような山道があり、その降り口にあるのが「胎蔵寺」。宇佐神宮が造った寺で、1300年以上の歴史を持ちます。
国東半島にある六つの郷では、古代の宇佐で生まれた八幡信仰と天台宗が結びつき、日本独特の文化である「神仏習合」が花開きました。これらの文化は「六郷満山文化」と呼ばれ、現在もその文化の名残りを見る事が出来ます。名もない石仏から国指定の磨崖仏まで多くの仏や神と出会う事が出来るのがこの地域の特徴。
境内にある名もない石仏から貰う心の安らぎは、是非皆様にも感じて頂きたい国東ならではの癒しです。
そしてこの「胎蔵寺」は宝くじが当たる勝負運を頂ける寺としてひそかなブームを呼んでいます。高額当選者が多いのも特徴で、日本中から宝くじファンが訪れるそうです。
就職活動中の方や受験生など力強い勝負運を頂いて帰って下さいね。
磨崖仏が私たちの前に見せてくれるその姿は、長い年月が持つ癒しのパワーを持ちます。先人が残した旅の跡を追いかけながら現在を旅する素晴らしさは、何物にも代えられない程。豊後高田に残る「六郷満山文化」は、まさにその楽しみを与えてくれる素敵な文化です。
豊後高田市の小さな石仏や磨崖仏を訪ねながら、先人の旅を追いかける心の旅はいかがでしょうか?。
この記事を書いたナビゲーター
Ise Shinkurou
はじめまして。旅連れの小太郎と日本中に足跡を付けたく始めた旅も2周目に入りました。「やっぱり日本は広くて深い」ペットと愉しむ旅を・・そして有名観光地に加え「えっ?」って思っていただけるような穴場スポッ…
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