入口の黒いカーテンを抜けて中へ入ると、そこに広がるのは、真っ暗な四角い空間と、床一面と壁に光り輝くピンクや白などの花の世界です。貴方が歩くと、花々が咲き乱れ、貴方が止まると、花々が散っていく。作品のタイトルは「花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に」。ここに映し出されている花は、鑑賞者の動きに反応してリアルタイムで描かれ、同じ花が再び姿を見せることはないのだそう。まさに「一期一会」の世界。子供も大人も、走ったり止まったりして花を誕生させようと夢中です。最初からデジタルアートの世界に引き込まれること請け合いです。
そして、次は、さらに圧巻です。
次の部屋に展示されているのは、全部で大小4つの日本画をモチーフにした動くアート作品です。一つ目の作品は、墨で一筆書きされた文字が大樹に変わり紅白梅が咲き乱れ、鶯が飛び回り、最後にはすべて消えていく、命のうつろいを6分23秒で描いた「生命は生命の力で生きている」。続いて、暗闇に光る青い樹に白雪がつもり、雪解けとともに実がなり、花が咲き、鳥が飛び回り、やがて消えていくという連綿と続く命を7分15秒で描いた「冷たい生命」。この作品は、網の目状に描かれていて、実は一つ目の作品をコンピュータで情報解析したものなのだとか。
3つ目の作品は、都と貴族や山の民と祭りなどを十二の世界を描いた絵巻物の「花と屍 剥落十二幅対」。最後は、壁面いっぱいに描かれた艶やかなインド絵巻の大作「ニルバーナ」です。
作品の持つ臨場感と立体感に圧倒されるはずです。
続いて暗い箱部屋に入ると、壁面に映し出される山々、満月、流れる川、雷などを表した四季の世界「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」です。壁に現れた墨文字をタッチすると、その文字が絵になって現れます。4つの壁面に次々と現れる、山、雷、海、木などの墨文字に触れると、それが形となって現れては消えていきます。音楽も効果的で、自然のうつろい行く様を演出し、その世界観を体感できます。また、子供も大人も文字を追いかけてタッチしようと夢中にさせる、遊びの要素も存分にあります。
そして、踊るアート展最後の大作が、「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点」です。暗闇に現れる一文字筆で書かれた書から大木が生まれ、カラスが舞い、カラスが互いに追い合い、花となって散っていく様子を光の線で描いた、映像のドラマが5枚の巨大パネルに映し出されます。命の躍動感と同時に命のはかなさもを感じる、4分20秒の大作に、デジタルアートの新境地=芸術としての美しさを感じるはずです。
最後のコーナーは「未来の遊園地」です。こちらは、子供のためのデジタルアートを使った遊び場です。もちろん大人も子供と一緒に楽しめますよ。遊び場は全部で8つ、パネルに現れた象形文字を触って絵を作る「まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり」、光の回廊をケンケンパで渡る「天才ケンケンパ」、バランスボール大の光のボールを押して色の変化を遊ぶ「光のボールでオーケストラ」、光のブロックを積んで色の変化を学ぶ遊び「メディアブロックチェア」、ブロックをデジタルテーブルに置いて仮想道路や線路などを作る「つながる!積み木列車」デジタルテーブルに物を置くとそれに反応して小人が遊ぶ「小人が住まうテーブル」。
子供と一緒にできるのは、未来都市と水族館の2つのお絵かきタウンです。用意されている画用紙から好きな絵柄を選んで、置いてあるクレヨンで色を塗って、完成した絵をスキャンして取り込んでもらうと、2つの巨大スクリーンに自分の作った絵が現れるというしくみ。自分の絵に手で触ると、車だとスピードを出したり、魚だと逃げ出したりして反応します。クレヨンで画用紙の色塗りというアナログな遊びも、子供時代に戻ったかのようで楽しいですよ。
何よりも一番の収穫は、目を輝かせて遊ぶ子供の姿を見ることでしょうか。子供を連れてきて正解だったと思えるはずです。
デジタルアートが、こんなにも美しく迫力のあるものなのかと、良い意味で予想を裏切ります。そして、アート好きだけでなく、普段アート展に行かない大人も子供も素直に楽しめるのが、この展覧会の魅力です。百聞は一見に如かず。実際に作品を目で見てみないと、このアート展の凄さはわからないはず。ぜひ、子供を連れて一緒に美しい作品に触れてみてはいかがでしょうか?
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(2024/12/7更新)
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