「鵜沼宿」は、岐阜県美濃地方を東西に貫く国道21号線沿いにあります。もともと国道21号線がこの中山道をもとに作られていることもあり、「鵜沼宿」も国道21号線から分岐するような形で整備されています。「鵜沼宿」内の道路はアスファルト塗装ではありますが、歴史景観に配慮された色づかいに工夫されています。また、国道から近いにもかかわらず、トラックなどの騒音が聞こえない静かな街道筋なので、ゆっくりと散策することができるのがいいですね。
駐車場も整備されていますが、JR高山本線の鵜沼駅、名鉄犬山線の新鵜沼駅、名鉄各務原線の鵜沼宿駅などから歩いて訪れることもできますよ。
「鵜沼宿」は東西に広がる宿場町。街道の南側には当時の面影を残す古い町並みが残っています。なかでも本陣の正面に立つ「菊川酒造」は、本蔵と豆蔵が登録有形文化財に指定されている立派な酒屋。
明治時代から130年以上の歴史を持つ酒蔵で、仕込み水に長良川の伏流水である地下水を利用しているそう。軟水なので、できたお酒も軽やかでやわらかい口当たりとのこと。残念ながら酒蔵の公開はしておりませんが、酒蔵の外観はご覧いただけます。
こちらの写真では、ひしめくように立ち並ぶ家々がご覧いただけますが、数ある古い建造物の中でも、明治24年の濃尾地震で倒壊を免れた「梅田家」は江戸時代後期の建築として必見の建物です。
東西に延びる「鵜沼宿」のちょうど中間地点あたりに「町屋館」があります。この「町屋館」は歴史民俗資料館にもなっており、内部公開もされているのでぜひ見学を。
この「町屋館」は「鵜沼宿」で郵便局を営んでいた武藤家の建物を修復し一般公開しているもので、「町屋館」の隣には「一服茶屋 花の木」があり、一釜ずつ炊き上げる本格釜めしが有名。散策時の休憩やお食事に利用してみてはいかがでしょうか。
「町屋館」の西にある「脇本陣」は、江戸時代から残る「鵜沼宿家並絵図」をもとに復元された建物で、こちらも内部が無料で公開されています。
「脇本陣」では、「上段の間」が必見。大名や公家、幕府の役人が宿泊する際に使用した部屋で、専用の湯殿などを見ることができます。珍しいものでは、こちらの写真にある「雪隠(トイレ)」が当時のまま復元されています。現在の和式トイレの原形ですが、畳張りの個室というのが格式高いですね。
「鵜沼宿」の町並みが整備されるにあたり、住民の町づくりに対する意識にも変化が見られ、市内から集まった有志による「中山道観光案内ボランティアガイド」も結成されています。個人での見学の場合は予約なしの先着順で利用できますよ。ガイド料も無料で、おもしろいお話も聞けるので、お時間がある方はぜひ!
かの松尾芭蕉は1684年から1688年の間に、3度にわたりこの「鵜沼宿」を訪れています。1688年の3度目の訪問では、脇本陣に宿泊し、ふぐ汁と菊花酒の歓待を受け、主人からの求めに応じて即興で句を詠んだとのこと。
「ふく志るも 喰へは喰せよ きく乃酒」
「町屋館」から街道に目をやると、ときおり自動車の往来が見えますが、当時はここを飛脚や牛車が通っていたのだろうと想像しながら眺めていると、あなたも一句詠みたくなってしまうかも♪
「鵜沼宿」は岐阜県各務原市の東部に位置しており、名古屋から特急を使えば40分ほどでアクセスできます。木曽川を隔てて愛知県と隣接しており、「鵜沼宿」の対岸には国宝の「犬山城」がそびえます。「鵜沼宿」の見学はそれほどお時間がかからないので、対岸の犬山城とのセットでの観光もおすすめです。サマーシーズンであれば木曽川での風情ある「昼うかい」の屋形船なども見られます。
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