写真:Ise Shinkurou
地図を見る桑名の山林王・諸戸氏の邸宅として大正2年に竣工された洋館は、手すり・外壁等の痛みが激しく、平成26年8月に修理・外壁塗装工事が行われました。現在は建設当時の美しい姿が蘇り、大正時代の人々を驚愕させたであろうその姿を私たちの前に現しました。
この洋館を設計したのは、鹿鳴館など多くの政府関係施設を手がけた「ジョサイア・コンドル」。彼は明治政府のお雇い外国人として来日した人物で、若手の日本人建築家を指導する事にも熱心な親日家でした。「近代建築の父」とも呼ばれています。
単に洋館を設計するだけでなく、その地域の文化を取り入れる事に心を砕いた人物でもあり、その代表作の一つがここ「六華苑」です。
近代化を目指しながらも、日本古来の風習を大切にする。そんな日本人の心を理解し、それを建物に表現した素晴らしい人物ではないでしょうか?当時の洋館は日本家屋とは別棟にする事が普通でしたので、六華苑は本当に珍しい建築遺産と考えられています。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る美しい外観に圧倒的な存在感を添えるのは、淡い水色に塗装された円筒形の塔屋!当初の設計では3階だったそうですが、遠く揖斐川まで眺められるようにと4階に変更されました。
そして何より驚くのは、それぞれデザインの違う窓枠と、そこにはめ込まれた曲面のガラス!当時の日本には曲面ガラスを製造する技術が無く、全てヨーロッパから輸入されました。また塔内からの見晴らしは素晴らしく、敷地内の日本庭園だけでなく近くを流れる揖斐・長良川まで望めます。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る本館のロビーからは和館と洋館のどちらへも入れ、お客様をどちらへも案内できるよう工夫されていますが、まずは和館からご紹介しますね。
和館に一歩足を踏み入れると、思わず息を呑む程の長く続く廊下に目を奪われます。そしてそのガラス戸と障子窓から差し込む明るい光!その光を優しく包み込む障子の白さは、これぞ日本建築の美しさ。
一の間・次の間・二の間と並びますが、一の間の広い空間に施された床の間は付書院を持つ本床で、シンプルながらも重厚な雰囲気を持ちます。そしてもう一つのお勧めは、脇床との仕切りとなる円形の窓とそこから差し込む光の影です。是非じっくりと土壁に映る光のオブジェをお楽しみ下さい。
写真:Ise Shinkurou
地図を見るコンドルの設計は1階2階共にバルコニーになっている建物が多いのですが、こちらの2階はサンルームになっています。お洒落な採光用の窓枠そして大きな窓から部屋全体に入るまぶしい程の光!先ほどの障子の光とはまた違った趣があり、これが一軒の家屋かと驚くほどです。
また玄関と一体になった階段室もお勧め。アーチ状のエントランスがとても重厚な雰囲気を醸し出し、細部には和風の雰囲気が感じられとても落ち着く内装になっています。
今回写真でご紹介出来なかったのですが、18000平方メートルの敷地に立つ洋館と日本家屋、そしてそれを取り巻く緑の芝生と日本庭園もお勧め。国の名勝に指定されている池泉回遊式の主庭園も是非廻ってみて下さいね。、
写真:Ise Shinkurou
地図を見る和館・洋館を愉しまれた後で是非立ち寄って頂きたいのが「離れ屋」。まるで迷路のような渡り廊下を歩き、番蔵棟を廻りながら辿り着くこの建物は、桑名市の有形文化財に指定されています。
格調高い格子天井とガラス戸の上に施された格子窓が醸し出す雰囲気は、やはり和と洋の素敵な融合美ですね。
「六華苑」
入苑料 一般310円
開苑時間 午前9時から午後5時 ただし入苑時間は午後4時まで
休業日 毎週月曜日(但し国民の祝日の場合は翌平日)12月29日〜1月3日
日本家屋の美しさを残しながら西洋技術を取り入れた、和と洋の融合美を持つ「六華苑」への旅はいかがでしょうか?
またロビーには歴史案内人が待機しておられますので、気軽にお声をかけて下さいね。桑名藩や千羽鶴等のこぼれ話を聞きながら、宿場町・桑名の歴史を感じて頂けますし、館内の案内(無料)もあります。詳細は[MEMO]の六華苑HPよりどうぞ。
写真撮影地:六華苑
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(2023/12/4更新)
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