ボタン園が魅力! 鎌倉・鶴岡八幡宮の冬ならではの楽しみ方

ボタン園が魅力! 鎌倉・鶴岡八幡宮の冬ならではの楽しみ方

更新日:2015/01/23 18:22

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
神奈川県鎌倉市といえば、日本ならではの情緒あふれる街並や寺社などが目立つ街ですね。中でも鶴岡八幡宮は市の象徴であり、お正月の初詣を始め、寒い冬場でも観光客が絶えません。特に目を惹くのが、池の畔で期間限定公開されるボタン園。冬に満開期を迎える花の中でも一際華やかな雰囲気を漂わせるボタンは、多くの植物が休眠する中で貴重な彩りを添えます。寒い季節ならではの花景観を始め、八幡宮の冬を巡り歩いてみましょう。

高木に囲まれた、自然豊かな境内を散策しよう

高木に囲まれた、自然豊かな境内を散策しよう

写真:鷹野 圭

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南が相模湾、他三方角を山々に囲まれた鎌倉市。鎌倉時代にはこうした自然が「城壁」の役割を果たし、幕府を守っていました。豊かな自然は21世紀となった今でも健在で、八幡宮の裏手にはご覧の通り深い山林が! そこから繋がるようにして、国の史跡に指定される境内にも豊かな樹林が広がります。

土日は非常に多くの観光客が集まり、和風文化を象徴する建物ゆえか海外からのお客さんも多く、賑わいを見せます。それでもなお心が落ち着く、和の情緒を醸し出す庭園風景とそれを囲う森の木々たちのおかげといえるかもしれません。自然散策と文化財めぐりを同時に楽しめる史跡……それが鶴岡八幡宮の境内なのです。

写真は入口から本宮へと通じる真っ直ぐな参拝路。よく出店が並んでいますので、食べ歩きながら散策を楽しむのも一興ですね。

真冬限定オープン。『神苑ぼたん庭園』は要チェック!

真冬限定オープン。『神苑ぼたん庭園』は要チェック!

写真:鷹野 圭

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源氏池の東側周囲を巡る『神苑ぼたん庭園』は、その名の通りボタンの花が随所にみられる回遊式の日本庭園です。ボタンは冬から早春にかけて旬を迎える花で、その美しさと存在感はバラに勝るとも劣りません。他の植物が軒並み花や葉を散らし枝がむき出しになっている中、その美しさは大変際立ちます。写真に写っている王道の赤い花を始めとして、白や桃色の大輪の花が咲きます。見応え抜群のボタンの花は観光客からの人気も高く、開園期間中はカメラを持った人たちが多く訪れます。

写真のように、庭園内のボタンは傘をさしていたり藁をかぶっていることもあります。これらは雪や霜を避けるためのもので、寒さの厳しい冬には欠かせないもの。近年首都圏でも積雪に見舞われることが多々ありますが、これなら多少雪が降っても満開の花を楽しむことができますね。藁をかぶった姿は雪ん子のようで、優雅さと同時に独特の可愛らしさがあります。

ボタンそれぞれの「名前」にも注目してみよう

ボタンそれぞれの「名前」にも注目してみよう

写真:鷹野 圭

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園内に植えられたボタンには、それぞれ人間と同じように固有の名前があります。これ自体はバラやキクなどの他の園芸植物でもよく見られることですが、ここ八幡宮では基本的にすべて日本風の名前が付けられたボタンが植栽されており、純和風の風景も相俟って庭園の雰囲気によく合っています。

写真のピンク色のボタンは『新桃園』といいます。色といいレースのような華やかな花の形状といい、外見のイメージにピッタリですね。この他にも純白の花を山のようにたっぷりと咲かせる『白神』や、幾重にも重なる赤紫色の花弁が風格ある大きな花を形作る『花王』など、名前と外見がわかりやすく一致したものが多く見られます。一方で『明日香(ピンク)』など、一見しただけでは名前の理由がよくわからないものもちらほら。そうした時は、どういう背景があってこの名前になったのか?花や葉の形などをじっくり観察しながら思い思いに想像・推理してみるのも面白いでしょう。

ボタンと石の庭園『湖石の庭』は、日中友好の証です

ボタンと石の庭園『湖石の庭』は、日中友好の証です

写真:鷹野 圭

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神苑ぼたん庭園の一角に、藁をかぶった牡丹と庭石を配置した特徴的な空間があります。『湖石の庭』といい、他と同じく和の雰囲気を醸し出しているものの、実はここを作ったのは中国の技術者なのです。使われている石は太湖石(湖石と略されます)といい、中国江蘇省(こうそしょう)の湖の底から採れる大理石の一種。貴重な石であり、現在では数が減って天然記念物に指定されているために国外への持ち出しが禁止されているほどです。

ここ鶴岡八幡宮では、昭和59年に日本と中国の永遠の友好を願って当時の駐日中国大使夫妻から特別に太湖石が寄贈されました。これを活用し、中国ならではの技法で作られたのが『湖石の庭』なのです。石組のやり方など、一般に知られる日本庭園との違いが随所に見られます。ぜひ直接見学しながら、相違点を探してみてください。

冬の源平池は、この時期ならではの鳥たちでいっぱい!

冬の源平池は、この時期ならではの鳥たちでいっぱい!

写真:鷹野 圭

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橋に隔てられて東西に広がる源平池は、八幡宮でも一際視界の開けた気持ちのいい空間。ここは夏場には蓮池が広がっていてなかなか圧巻ですが、秋が過ぎ蓮が枯れて水面が露わになる頃、毎年北国から数多くの冬鳥たちが飛来します。写真手前に写っている尾羽の長いオナガガモを筆頭に、横に広がったクチバシが特徴のハシビロガモ、クリーム色のリーゼントのような頭が目立つヒドリガモ、真っ白な身体のユリカモメなどが群れを成して訪れ、これもまた八幡宮の冬の名物として観光客から結構な人気を集めています。とりわけカモ達はあまり人を怖がることがなく、岸辺近くまで寄ってくることも! ごく近くで観察できるチャンスです。

その他、アオサギやコサギ、ウグイス、四季を通じて池で暮らすカルガモなど、境内では意外なほど多くの鳥を見かけます。境内の奥に入ったところにある柳原神池では、あのカワセミも結構な頻度で見かけます。参拝・散策のついでに探してみてはいかがでしょうか?

冬しか触れられない八幡宮の魅力をご堪能ください

文化財としての知名度が高い鶴岡八幡宮ですが、上記の通り自然が多く、それだけに四季折々で表情が明確に変化していきます。今回紹介した冬のカモやボタン園はもちろん、春のサクラや夏のハス、秋の紅葉など、それぞれの旬の景観を楽しめるはずです。なお、ボタン園は冬季限定公開ですので、シーズンを逃さないよう要注意です!

【アクセス】
JR・江ノ電「鎌倉駅」より徒歩約10分
JR「北鎌倉駅」より徒歩約15分

【神苑ぼたん庭園概要】
開園期間/1月1日〜2月下旬頃(気候等による変動あり)
開園時間/9:00〜16:30
入園料/500円 ※団体25名以上の場合は1人400円
(中高生以下200円 ※同伴の小学生以下は無料)

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/02/01 訪問

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