富岡製糸場観光で訪れたい「絹産業遺産群」〜田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴

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富岡製糸場観光で訪れたい「絹産業遺産群」〜田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴

富岡製糸場観光で訪れたい「絹産業遺産群」〜田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴

更新日:2015/01/24 14:14

下川 尚子のプロフィール写真 下川 尚子 ライター

2014年に世界遺産として登録された富岡製糸場と絹産業遺産群。これは、富岡製糸場を含む4資産で構成されていることをご存じですか。富岡製糸場以外の構成資産は、田島弥平旧宅・高山社跡・荒船風穴の3つ、いずれも養蚕に関わる資産です。
今回ご紹介するのは、富岡製糸場と共に巡りたいこれら3つのスポット。世界遺産として登録された理由やその価値が、より一層感じ取れるはずです!

まずは知っておきたい、富岡製糸場の概略

まずは知っておきたい、富岡製糸場の概略

写真:下川 尚子

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まずは、押さえておきたい富岡製糸場の概略から。

富岡製糸場は日本の近代化政策のひとつとして、質の良い生糸を輸出するための官営工場として操業を開始しました。当初は優れた海外の技術を「輸入」することからスタートしましたが、その後、日本国内で絶え間なく技術革新が行われていきます。生糸の原料となる蚕の育成方法の改良や自動繰糸機の導入を通して、やがて質の高い生糸の大量生産ができるように。そして、日本国内で高まった技術は、今度は海外へ「輸出」されることとなります。

貿易という手段で世界経済が結ばれていった時代に、このように「絶え間ない技術革新」「世界との技術交流」を通じて絹の大量生産を可能にし、高級品であった絹を大衆化することに貢献しました。こうした功績が認められ、そのメイン舞台として現存する富岡製糸場を含む4資産が世界遺産として登録されることとなったのです。

富岡製糸場は、この世界遺産の構成資産として欠かせないメイン施設。しっかりと時間を取って見学したいところ。無料のガイドツアー(約40分)がありますので、ぜひ参加してみてください。ただ、他の構成資産を一緒に回るなら、あまり一か所で時間をかけすぎるのも禁物。音声ガイド(200円)を利用して、自分のペースで回るのもオススメです。

良質な蚕の育成方法を完成させた地「田島弥平旧宅」

良質な蚕の育成方法を完成させた地「田島弥平旧宅」

写真:下川 尚子

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生糸を大量生産できるようになった背景として、製糸技術の発達もさることながら、原料の繭を作り出す蚕の育成方法が確立されたことも、欠かせない要因のひとつです。

田島弥平旧宅は、そんな「蚕の育成方法」の改良において鍵となる人物、田島弥平の旧宅。蚕の飼育では失敗も多かった当時、換気を重視した自然による温度管理を行う「清涼育」を体系的に作り上げた人物です。写真でも分かるように、換気しやすい「越屋根(やぐら)」の存在が特徴的で、この構造はその後、養蚕農家のスタンダードとなりました。

田島弥平旧宅の内部は公開されておらず、見学できるのは庭まで。田島弥平旧宅案内所でガイドを受けられるほか、パネルなどの常設展示がされていますので、まずはそちらから立ち寄りましょう。田島弥平旧宅は群馬南東部の伊勢崎市に位置し、富岡製糸場からは車で50分ほどの距離になります。

養蚕業の発展を支えた教育機関「高山社跡」

養蚕業の発展を支えた教育機関「高山社跡」

写真:下川 尚子

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田島弥平によって完成された蚕の育成方法「清涼育」はその後、換気に加えて温度管理を重視した「清温育」へと発展していきます。この「清温育」を確立させたのが、高山長五郎。高山長五郎はその後、養蚕の教育機関「高山社」を設立します。高山社は他県にも展開され、優秀な養蚕技術者を数多く育成しました。

質の高い生糸を大量生産するためには、優秀な指導者が必要です。いわば、生糸の大量生産を支える裾野をつくった存在といえるでしょう。この高山社跡は、高山長五郎の生家であり、実習施設としても利用されていました。蚕室であった二階はそのまま残されており、当時を偲ぶことができます。

藤岡市に位置し、富岡製糸場からは30分程度。内部の見学も可能で、解説員によるガイドが受けられます。

蚕種を保存する天然の冷蔵庫「荒船風穴」

蚕種を保存する天然の冷蔵庫「荒船風穴」

提供元:下仁田町ホームページ(世界遺産「荒船風穴」)

http://www.town.shimonita.lg.jp/fuketsu/m01/01.htm…地図を見る

富岡製糸場が操業を始めた当初、養蚕は年に一回しか行うことができませんでした。というのも、気温の関係上、蚕が孵化するのが一年に一度だったからです。この制限をなくし、年に数回の養蚕を行うことを可能にしたのが、荒船風穴の存在です。

荒船風穴は、自然の風穴より夏でも冷たい空気が流れ込み、その温度は年間を通して一定していました。そのため、天然の冷蔵庫のような役割を果たすことができたのです。現在でも、気温と湿度の条件が揃うと写真のような「冷風が噴き出す様子」を見ることができます。

電気による冷蔵庫がなかった時代、ここに蚕種(蚕の卵)を保存することによって孵化を遅らせ、使うたびに外へ出して利用できたことが、蚕の増産につながりました。そのことが、生糸の大量生産にもつながったのです。

荒船風穴が位置するのは群馬県南西部の下仁田町。富岡製糸場からは車で40分ほどです。なお、駐車場から15分ほどきつい坂を歩くため、歩きやすい靴で行くことをオススメします。 ※12月〜3月末までは冬季閉鎖となります。

効率の良い回り方、オススメのルートは?

効率の良い回り方、オススメのルートは?

写真:下川 尚子

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富岡製糸場と絹産業遺産群の構成資産をご紹介しましたが、これらを巡るには少しコツが必要です。というのも、それぞれのスポットが離れているため、無計画に行くと一日では回り切れないからです。

オススメルートは、荒船風穴―富岡製糸場―富岡製糸場周辺で昼食―高山社跡―田島弥平旧宅、という回り方。富岡製糸場周辺は街歩きも楽しいので、食べ歩きやお土産探しには事欠きません。ただ、荒船風穴、高山社跡、田島弥平旧宅の見学時間は午後4時まで。すべて見たいなら朝一番で出かけて駆け足で回ることが必須ですが、興味のある施設だけ行くなど、フレキシブルにご対応ください。

じっくり見たい方は、温泉などを挟んで一泊二日のコースを組むのもオススメです。群馬の有名な温泉は北部に多いですが、南部にも磯部温泉街、下仁田温泉、藤岡温泉などが存在します。少し足を延ばして、比較的アクセスの良い伊香保温泉街まで行ってみても良いですね。写真は、磯部温泉の温泉記号碑。磯部温泉は温泉記号発祥の地と言われています。立地的に富岡市に近く、立ち寄りやすい場所です。

広い視点で価値をとらえたい方にオススメ

「富岡製糸場と絹産業遺産群」として登録された4つの構成資産。その中で、富岡製糸場を除く3つについては、意外に知られていないように感じます。

ですが、富岡製糸場が貢献した「絹の大衆化」はさまざまな要素が重なって成し遂げられたこと。そこに深く関わる3施設を巡ることは、より広い視点でその価値を知るきっかけとなるのではないでしょうか。

すべてを巡ることは難しくても、「富岡製糸場+一か所」くらいなら、気軽に行くことができます。ぜひ、ご興味に合わせてアレンジしてみてくださいね!

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/12/14−2015/01/10 訪問

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