永遠のモダンがここに!重森三玲の「東福寺 方丈庭園」を歩く

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永遠のモダンがここに!重森三玲の「東福寺 方丈庭園」を歩く

永遠のモダンがここに!重森三玲の「東福寺 方丈庭園」を歩く

更新日:2015/01/27 20:04

成沢 崇のプロフィール写真 成沢 崇 名古屋仏像研究会 会長、旅ライター

秋の紅葉の素晴らしさは京都随一と言われる東福寺。
国宝・重要文化財も数多く、季節を通して多くの観光客が足を運ぶ名所として知られています。

今回注目するのは東福寺にある4つの庭園。作庭家重森三玲が手がけたこの庭は「八相の庭」と呼ばれ、従来までの日本庭園からは考えられないモダンで斬新な意匠。2014年に国指定名勝に指定され、改めて「国指定名勝 東福寺本坊庭園」となった東福寺の名庭をご紹介します。

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京都最大級の大伽藍をもつ東福寺は禅宗建築の宝庫

京都最大級の大伽藍をもつ東福寺は禅宗建築の宝庫

写真:成沢 崇

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京都駅の東南に位置する東福寺は臨済宗東福寺派の大本山。
創建は古く嘉禎二年(1236年)に摂政九条道家が発願し、奈良の2大寺院である東大寺と興福寺から1字ずつ取り、京都最大の大伽藍を造営しました。

東福寺は度重なる兵火と明治十四年(1881年)の火災にあいますがその度に復興され、中世の禅宗建築だけでなく、近代木造建築物の精粋を見ることから「東福寺の伽藍面」といわれています。

通天橋からの紅葉は特に有名で、TVや雑誌でご覧になった方も多いはず。ですが、東福寺の魅力はここだけではありません。シーズン問わず拝観することの出来る方丈の庭園もまた東福寺へ行ったら外すことは出来ない名所のひとつなのです。

そして、まず知っていただきたいのは、庭園を作庭するにあたって東福寺側から提示された唯一の条件は、方丈内にあった材料は、すべて廃棄することなく、もう一度再利用するということ。つまり「リサイクルせよ」ということなのです。
これは禅の教えである「一切の無駄をしてはならない」という教えから提示されたもので、この大きな制約が、昭和の作庭家として名高い重森三玲の斬新なデザインを生み出すきっかけになりました。

日本庭園史上初めての星座を表現した方丈東庭

日本庭園史上初めての星座を表現した方丈東庭

写真:成沢 崇

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境内の中央に位置する方丈は、明治十四年(1881年)十二月の火災により焼失するも、明治二十三年(1890年)に再建され、この方丈の東西南北に趣向を凝らした庭園を配しました。庭園が完成したのは昭和十四年(1939年)。昭和の作庭家重森三玲が手がけた4つの近代禅宗庭園は釈迦の生涯を意味する「八相成道」に因んで「八相の庭」と称されています。

方丈庭園の拝観は、庫裏で受付をし庫裡と方丈を結ぶ渡廊下へと向かいます。
ここで多くの人が左手の広大な南庭の石組みに目が引かれてしまい見逃してしまうのですが、方丈東庭は渡廊下の右側にあります。

狭い空間の中に7つの円柱の石組みと天の川を表す白川砂、苔、生け垣を配し夜空に輝く北斗七星に見立てています。

東庭の円柱は、もともと東福寺にあった「東司(=トイレ)」で使用されていた礎石で、東司の解体修理をした際に出てきた余材。この材料を使用してほしいとの要望から、重森三玲はこの円柱を夜空に輝く北斗七星に見立てたのです。

古典的である枯山水をモダンにデザインした方丈南庭

古典的である枯山水をモダンにデザインした方丈南庭

写真:成沢 崇

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庫裡と方丈を結ぶ渡廊下を進み、東庭を眺めたあとはその後ろに広がる広大な枯山水の庭園。

南庭は方丈庭園の中でも最も広大な210坪の庭。巨石によって力強く配置された四仙島と、円く描かれた砂紋の八海が配置されモダンな空間に。3つの島には6メートルほどの長い石を寝かせ、その周囲を立石がバランスよく囲んでいます。奥には五山にちなんだ築山の苔地があり、砂紋と苔地の区切りも斬新。

古典的な枯山水をベースに抽象的表現がされたこの庭はまさに近代芸術。正面に建つ向唐破風の表門は昭憲皇后(明治天皇の皇后)の寄進と言われ、明治期唐門の代表作です。

伝統的な市松模様が立体的にデザインされた方丈西庭

伝統的な市松模様が立体的にデザインされた方丈西庭

写真:成沢 崇

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南庭の苔地でできた築山を過ぎると、立体的で緑鮮やかな庭へと変わります。西庭は、サツキの刈込みと葛石(かずらいし)で表現された市松模様の庭。「井田の庭」とも呼ばれ、日本古来から伝えられてきた伝統的な市松模様を庭園に表現するという斬新なデザイン。

ここへ来るとそれまでの日本庭園の概念が変わることでしょう。サツキの刈込みの敷石に使われている葛石とは、社寺の建物の壇の先端にある縁石のこと。この葛石もリサイクルされた材料で、もとはこの方丈で使われていた縁石。人工的な直線の石を使用するこというのは通常の庭造りで考えられることではなく、重森三玲が考えた末に生み出したのがサツキの刈込みと合わせて市松模様にするという答えでした。

そして最後の北庭へのアプローチとしても、この南庭は効果を発揮しているのです。

方丈北庭は色彩感溢れる市松の庭

方丈北庭は色彩感溢れる市松の庭

写真:成沢 崇

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西庭の立体的な市松模様から、北庭はより刻みのある市松模様へと変化します。釈迦の入滅までを表したもので、最初は規則性のある市松模様が、どんどんと崩れていき散り散りに。そして一つずつの石が東へと消えていきます。

ここで使われている四角い敷石は、勅使門から方丈に向けて敷きつめられていた切石を再利用したもの。奥にはサツキの丸い刈込みや樹々が借景となり、秋には通天橋の紅葉までも借景として取り込んでしまう色彩豊かな庭園となっています。

最後に

東福寺の方丈庭園、いかがでしたでしょうか。この4つの庭は釈迦の入滅までを表したもの、そして東福寺の余材を使用した昭和のデザインであること。これを知っているだけできっと見方は変わると思います。昭和の作庭家にしてアーティストでもある重森三玲の方丈庭園をじっくりとご覧になってください。

東福寺
京都府京都市 東山区本町15丁目778
075-561-0087
拝観時間:4月〜10月末まで9:00〜16:00、11月〜12月初旬まで8:30〜16:00、12月初旬〜3月末9:00〜15:30
JR奈良線・京阪本線「東福寺」駅下車、南東へ徒歩約10分
市バス202、207、208系統「東福寺」バス停下車
駐車場20台(秋の特別拝観中は閉鎖)

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/11/19 訪問

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