世界遺産パシュパティナート(ネパール)の火葬場は、人間の「死」と向き合える場所

世界遺産パシュパティナート(ネパール)の火葬場は、人間の「死」と向き合える場所

更新日:2015/01/26 11:27

渡部 洋一のプロフィール写真 渡部 洋一 フリーライター、カメラマン
ネパールの首都、カトマンズ。「人よりも神々のほうが多く住む町」と言われるほど、宗教色の強い街です。カトマンズの街中に溢れるヒンドゥー教やチベット仏教等の宗教的名所の中から、今回はネパール最大のヒンドゥー教寺院「パシュパティナート」をご紹介します。
そこでは、日本では決して目にすることのない、ヒンドゥー教ならではの光景があなたを待っています。

ネパール最大のヒンドゥー教寺院!

ネパール最大のヒンドゥー教寺院!

写真:渡部 洋一

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ネパール最大のヒンドゥー教寺院でありシヴァ神を祭るこのパシュパティナートは、バグマティ川の川岸に建っています。インド亜大陸4大シヴァ寺院にも数えられ、1979年世界遺産に登録された「カトマンズ盆地」の主要な構成要素の一つでもあります。

バグマティ川は名高いガンジス川の支流であり、「聖なる川」とされヒンドゥー教徒の沐浴の場でもあります。
水質は決して綺麗とは言えませんが、聖地パシュパティナートを流れるにふさわしいヒンドゥー教徒に愛される川です。

サドゥの集まる聖地

サドゥの集まる聖地

写真:渡部 洋一

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パシュパティナートは、ヒンドゥー教徒にとってまさに聖地。
ネパール中のみならず、遠くインドからもサドゥ(ヒンドゥー教の修行者)や巡礼者が押し寄せます。
「カトマンズでサドゥに会いたければパシュパティナートに行け!」という格言を作りたくなるほどに、ヒンドゥー教を感じることのできるスポットとして本当にオススメです。

ちなみに、彼らの前にあるこの突起物は、「リンガ」と言います。男根を表し、ヒンドゥー教で絶大な人気を誇る神様「シヴァ」の象徴とされます。

運ばれてくる死者

運ばれてくる死者

写真:渡部 洋一

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ここパシュパティナートは、ネパール最大のヒンドゥー教寺院であると同時に、ヒンドゥー教徒の遺体を焼いて灰にする、火葬場があることで有名です。訪れる外国人観光客の多くは、この火葬場を目的としているようです。

火葬場には、布をまとったヒンドゥー教徒の遺体が次々と運ばれてきます。

死者の体を清める聖なる水

死者の体を清める聖なる水

写真:渡部 洋一

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ガンジス川の支流、聖なるバグマティ川の水で、死者の体を清めます。
人間の体を失い、灰になる前の最後の儀式です。
人類共通の死者への尊厳と、ヒンドゥー教徒特有の川への信仰が形となった、神聖な光景です。

人間の体が、形を失う時

人間の体が、形を失う時

写真:渡部 洋一

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バグマティ川の水で身体を清めた後、組み上げた薪の上に遺体を寝かせ、藁で覆った後、火をつけます。そして2〜3時間で遺体は燃え尽きて灰になり、その灰はバグマティ川に流されます。
輪廻転生を信じて墓を造らないヒンドゥー教徒にとって、それは理想的な死の形とされているのです。

火葬場を見ることの意味

パシュパティナートの火葬場は、入場料を払いさえすれば誰でも見ることができます。さらに、パシュパティナートの火葬場は、インドのガンジス川の火葬場と違い、自由な撮影が許可されています。故に死者と全く関わりのない不特定多数の人間に最後の姿を晒され、悪く言えば「死を見せ物にしている」と嫌悪感を持つ方もいるかもしれません。
そのことに対する捉え方は、人それぞれでしょう。実際に、火葬場にどうしてもカメラを向けることができない人もいます。
万人に公開されていることに意味があると感じる人は、火葬場で人間の体が灰になっていく様子を目に焼きつけることで、ヒンドゥー教の伝統文化、人々の思想に深く触れることが出来るでしょう。

ネパールは、宗教の国です。「人よりも神々のほうが多く住む町」カトマンズを旅するのなら、ヒンドゥー教は切っても切り離せないもの。
ネパールで宗教に触れたいと感じるなら、聖地パシュパティナートは必見のスポットと言えます。

パシュパティナート

アクセス
タメル地区からタクシーで約30分、徒歩約1時間。
入場時間
明け方4時〜

入場料
1000ルピー(約1100円)

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/03/05 訪問

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