山梨県北杜市。市街地から離れ、田畑の中の細い道を抜けたところにに実相寺はあります。
神代桜を見に行くのなら平日がお勧め。というのも休日は田畑の中の細い道は大混雑してしまうのです。
実相寺の近くまで来ると、遠目に垣根の隙間から見えるピンクと黄色。門前通りの塀越しに境内をのぞけば、目に飛び込んでくるのは上の写真のような素晴らしい景色です。そう、桜とラッパ水仙の見事なコラボレーション。神代桜だけを目当てに来た人にとってこの景色は予想外。
このお花畑には水仙のほかにチューリップも植えられていて、合わせて10万本も植えられているとか。桜が満開のこの時期はチューリップはまだ咲いていませんが、これだけの水仙畑は見事!
ここから見える桜も素晴らしいですが、水仙畑が加わることにより、まさに春爛漫の絶景を生み出しています。
上の写真の桜は門をくぐった参道沿いにあります。そのため門の前に立つと、古びた木造の門の先に見える桜並木の美しさに思わず息を呑むほど。
門から本堂までの参道は50mほどでしょうか…左側に水仙畑、右側に桜並木。なんとも贅沢な参道です。
ちなみにこの実相寺は日蓮宗のお寺で、元は別の地にありました。川中島の戦いの際に武田信玄が武運長久を祈願。永代祈願所としてこの地を寄進され移転してきました。
歴史的な建造物や仏教美術などはありません。「山高神代桜」がまさにこの実相寺の宝なのです。
実相寺の境内は3000坪もあり、神代桜以外にも30本の桜があります。その中には日本三大桜といわれる福島県三春の滝桜や、岐阜県根尾谷の淡墨桜など、全国の有名な桜の子孫があります。いずれも樹齢50〜100年ほど経っているので子孫と言っても立派な木ばかり。
どの木も素晴らしい花をつけていて、今が盛りとばかりに咲き誇っています。
子孫とはいえ、日本の名桜が集う夢のような境内は必見!
本堂の前を左手に行った場所に、山高神代桜はあります。樹齢2000年ともいわれるエドヒガンの古木で日本三大桜のひとつ。大正11年には国の天然記念物に指定されます。
「日本武尊が東征した際に植えた」と伝わるこの桜。事実であれば神代から現代にわたり花を咲かせていることになります。もちろんこのことが名前の由来にもなっているのですが…。
神代桜は「これが桜!?」と目を見張るほどの太い幹をしています。それもそのはず、根本周りはなんと11.8m!(大正11年には13.5m)
しかしその太い幹、昭和34年の台風7号の暴風で折れてしまったため、途中から上がありません。なんとも残念なことですが、それが逆にこの神代桜にいっそうの風格を感じさせます。
「古い木には神が宿る」とは、古来日本にある思想。威風堂々としたこの神代桜を見ていると、そう考えるのはごく自然なことと思えてきます。
山高神代桜の伝説は日本武尊だけではありません。
「日蓮上人がこの木の衰えを見て、回復を祈ったところ再生した」とも伝わっているのです。(「妙法桜」ともいわれる由縁)
日蓮上人が鎌倉時代の僧であることを考えると、当時でも樹齢は1200〜1300年。樹勢が弱くなっていても不思議はありません。事実であれば、法力で見事に甦ったことになります。
そして神代桜の最盛期と考えられているのが、幕末から明治初期。
歳月を重ねるにつれ次第に樹勢は衰え、昭和23年には「3年以内に枯死」との余命宣告まで受けていました。
その後、この神代桜を守るために再生プロジェクトが立ち上げられます。詳しい調査の末、土壌の入れ替えや環境の整備が行われ、神代桜もそれに応えるように現在の姿まで甦りました。
神代桜は今でこそ美しい花をぎっしりと付けていますが、それは地元の方の努力の甲斐があってのものだったのです。
水仙畑に始まり、名桜の子孫が集う境内、そして神の存在を感じさせる山高神代桜。実相寺の春は「素晴らしい」という簡単な言葉では表現することができません。
ぜひその目で見てください。春爛漫の美しさと、神代桜の生命力からくる美しさを肌で感じることができると思います。
実相寺
見頃 4月初旬
アクセス
電車:JR中央本線 日野春駅〜北杜市民バス 横手日野春線「実相寺入口」下車〜徒歩、約1km
車 :中央自動車道 須玉IC〜R141号〜県道611号〜県道612号経由、約7.5km
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(2024/10/15更新)
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