以前は旅館だった建物を居酒屋に改造した。
平凡な佇まいだか、レトロ感が漂っている。私には何となく懐かしさを感じる佇まいだ。
下足箱に靴を入れ、階段を降りると、右手には件の生簀の群れ、正面には大きな台所を臨むカウンターがある。この席が「田吾作の魅力」を一番に感じることができる特等席だ。
大きな台所には忙しく立振る舞う女将さん。
昔ながらの台所と物腰の柔らかい女将さんがまた良い居心地を与えてくれる。
この特等席に座ると「どんな料理が出てくるのか」と高揚を隠し切れなくなる不思議な空間だ。
田吾作で一番に紹介される刺身と言えば『イカの活き造り』だ。
店内には生簀があり、山口県須佐沖で水揚された剣先イカを新鮮な最高の状態で頂けるのが魅力。画像を見ればお分かりだと思うが、身が透き通っており、盛り方も美しい。
須佐沖で獲れた剣先イカは弾力性に富み身は柔らかく、歯ざわりは適度なコリコリ感が残る。独特の甘味と、芳醇なイカの旨味が口の中いっぱいに広がるまさに逸品!
時化等によりイカが獲れない時期もあるので、イカを目当てに田吾作へ行かれる際には事前に確認が必要。
魚中心のメニューが多い中で一際目立つメニューがある。それは『島根和牛』だ。
島根和牛は全国的に知られていないかもしれないが、ブランド牛としてその評価は高い。その肉は、鮮やかな色合いときめ細やかな「霜降り肉」で深いコクと風味豊かな味わいが特徴である。
肉の表面を軽く炙った状態でサーブされる。その肉を炭火焼で自分の好きな加減に焼いて頂く。薬味には「下仁田ネギ」(群馬県の特産品)が追加される。まさに「焼肉」であるが、こんな贅沢は焼肉は滅多に経験できないだろう。
この店では魚の煮付け(あら炊きを含む)もおすすめだ。味は薄味で家庭的な味付けが特徴。
何と言っても『盛り付け』が豪快!また美しい器が見た目を引き立たせている。
画像はクロヤ(メジナ)の煮付けだか、サーブされるとその豪快さにいつも圧倒される。もちろん先程まで生簀で泳いでいた新鮮な魚を煮付けにしており、味は言うまでもない。
季節毎に旬の魚が変わるので、季節が変わればどのような魚の煮付けが出てくるのか楽しみだ。
冬場は北風が強く、日本海側は荒れることが多いが、この時期だからこそ、この海で育った魚介類は絶品である。
日本海の夕陽は遮るものがなく美しい。特に夕陽が沈んだ後、夜の昼の境が発生するこのコントラストは最高だ。
日中は青く広がる美しい日本海が楽しめ、夜にはイカ釣り漁船等の漁火が見える。漁火の風景は夜の日本海に浮かぶ宝石箱のような景色を造りだしてくれる。
益田市は交通の便が決して良いとは言えない場所にある。また島根県には、縁結びの神様として有名な「出雲大社」や、世界遺産に登録されている「石見銀山」等の全国的に有名な観光スポットがあるが、益田市に観光で来ることは少ないかもしれない。
しかし、この名店『田吾作』に行くためだけに、この地を旅するだけの価値があると自信を持って言いたい。当地の恵みを愛し、最高の状態で提供してくれる店だ。
ミシュランの格付けでは無いが、居酒屋探訪家の太田和彦氏が「日本一の居酒屋」と評した店でもある。
美味しい食べ物と素晴らしい日本海の景色を求め、是非山陰へ!
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(2023/12/5更新)
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