匠の技あり!穴場あり!東京のパワースポット「江戸五色不動」

匠の技あり!穴場あり!東京のパワースポット「江戸五色不動」

更新日:2015/02/17 17:01

東京都内には、「目+色」の名がついた不動尊があります。目黒・目白・目赤・目青・目黄(2か所)の各不動で、これらは「江戸五色不動」と呼ばれています。この中でも、観光客にとっても馴染があるのは、目黒区にある「目黒不動」でしょう。しかしそれ以外の所も、建物に趣がある、近くに史跡が多いなどの魅力があります。今回は、東京のパワースポットとしても注目を浴びる「江戸五色不動」、各不動の歴史と魅力をご紹介します。

目白不動(金乗院)−弘法大師が境内を見守るお寺

目白不動(金乗院)−弘法大師が境内を見守るお寺
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豊島区にある目白不動(金乗院)。江戸五色不動のうち、ここだけ真言宗のお寺です。奥に弘法大師の像があります。

永順という僧侶が、16世紀の終わりに創建したと言われています。山門は木が彫られており、雲をかたどった ような曲線とくり抜きが見事です。山門をくぐると、幅2メートルほどの石畳の道がのび、正面に聖観世音菩薩が納められた本堂があります。右手の階段を上ったところに、目白不動が安置されています。ちなみに、不動とは不動明王の略称。仏さまには、次のような種類があります。

如来…悟りを開いたお釈迦様を示したもの。奈良の大仏など。
明王…如来が、人々を救うために姿を変えたもの。五色不動など。
菩薩…修行中のお釈迦様を示したもの。お地蔵さんなど。

如来の内、生き物の根本とされるものを大日如来といい、その化身が不動明王とされています。炎を背にし、恐ろしい表情をしていますが、悪を打ち払い人間を助けるありがたい存在なのです。目白不動は非公開ですが、その化身とされる倶利伽羅不動庚申像が本堂前にあります。剣に竜が巻き付いたも ので、その下にはなぜか三猿(見ざる、言わざる、聞かざる)が彫られています。罪科から人間を守ってくれているのです。

■目白不動(金乗院)
東京メトロ副都心線の雑司ヶ谷駅、または都電の学習院下停留所からそれぞれ徒歩5分。学習院下からだと道が平坦です。
住所:東京都豊島区高田2-12-39

目黒不動(瀧泉寺)−日本三大不動の一つとされています

目黒不動(瀧泉寺)−日本三大不動の一つとされています
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目黒不動(瀧泉寺)は、広い境内と数々の像で有名です。毎月28日の縁日と、桜の咲く頃、特に賑わいます。

円仁(慈覚大師)が808年に創建したと言われる目黒不動。関東では最古の霊場であり、日本三大不動の一つとされています。ちなみに、他2つの不動は、木原不動尊(熊本県熊本市)、成田不動尊(千葉県成田市)と言われています。見所がたいへん多いスポットですが、ここでは不動様に因むものをいくつかご紹介します。

水かけ不動
仁王門をくぐってまっすぐ。ここの水は一度も涸れたことがないと言われています。

愛染(あいぜん)明王
これも「明王」です。怖い表情ですが、良縁成就のご利益があるそうです。

本堂の不動明王(目黒不動)
秘仏ですが、12年に一度、酉年にご開帳となります。次回は2017年です。

本堂裏の大日如来像
本堂裏の林の中に、屋根付きで鎮座しています。4メートル弱の高さに驚かされます。

■目黒不動(瀧泉寺)
五反田駅・恵比寿駅・渋谷駅から、東急バス渋72系統で、目黒不動尊停留所で下車。または、東急目黒線不動前駅から徒歩15分、または各線目黒駅から徒歩20分です。
住所:東京都目黒区下目黒3-20-26

目赤不動(南谷寺)−ビルの脇にひっそりたたずむ小さなお寺

目赤不動(南谷寺)−ビルの脇にひっそりたたずむ小さなお寺
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目赤不動(南谷寺)は、本郷通りに面しています。すぐ横にビルが建ち、敷地内はほとんどその陰になっています。

もともとは、赤目不動と言われていました。万行という和尚さんが、17世紀初めに伊賀国(現在の三重県)赤目山で不動明王像を授けられたことから名づけられ、将軍徳川家光に目赤不動とするよう命を下されたといいます。不動堂(写真)は、入って右手にあります。正面にあるのは南谷寺の本堂で、こちらには阿弥陀如来が安置されています。本堂のわきにはシダレザクラが植えられています。

本郷通りはお寺の多い場所。通りをはさんで斜向かいの吉祥寺は、武蔵野市のあの「吉祥寺」の由来となった場所。大仏様があります。石畳、シダレザクラにイチョウの並木も見事です。

■目赤不動(南谷寺)
東京メトロ南北線の本駒込駅から徒歩3分。
住所:東京都文京区本駒込1-20-20

目青不動(教学院)−駅近で、建物渋く、名木そろう穴場

目青不動(教学院)−駅近で、建物渋く、名木そろう穴場
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慶長9(1604)年に、玄応和尚が開基したと伝えられていえう目青不動(教学院)。線路沿いの入り口から入ると、正面奥に不動堂(写真)が見えます。残念ながら目青不動は非公開ですが、木造のお堂のたたずまいは、他の不動にはない味わいがあります。左手奥には本堂があり、阿弥陀如来があります。この本堂も渋い味。窓は鐘の形状をしており、屋根付近には獅子をかたどった彫刻があるのです。

不動堂と本堂の間には、2本の大木があります。チシャノキとイチョウです。チシャノキは、6〜7月頃に、星形の小さな白い花を多く咲かせます。主に西日本に分布し、関東でみられることは珍しい木です。イチョウの 枝は、上だけでなく、横にも、下にも、放射状に伸びています。そのため葉が非常に多くなり、12月初めには あたり一帯を黄色く染めることでしょう。広さの割に見るものが多く、穴場と言える場所です。

■目青不動(教学院)
東急世田谷線の三軒茶屋駅から徒歩1分。
住所:東京都世田谷区太子堂4-15-1

目黄不動(最勝寺)−これぞ日本のお寺!という名刹

目黄不動(最勝寺)−これぞ日本のお寺!という名刹
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目黄不動と呼ばれる場所はいくつかありますが、ここでは江戸川区の最勝寺を取り上げます。最勝寺は860年に、円仁が創建したとのこと。目黒不動と同じ人ですね。そのためか境内は広く、見どころは多くあります。

お寺なのにお稲荷さんがあります。これは昔、最勝寺が墨田区の牛嶋神社を管理していたことの名残。その横に小さなお堂、正面には本堂があります。不動堂(写真)は正面右横にあります。楼閣と、脇に生える松の見事なこと!枝の伸びっぷりがご確認いただけるかと思います。写真には写っていませんが、下には鉢がたくさん置かれています。夏にはハスでいっぱいになるそうです。

周辺には他にもお寺が並びます。最勝寺の前にはおせんべい屋があります。天日干しが見られるかも。荒川河川敷も近く、散歩にもってこいの所です。

JR総武線の平井駅から徒歩20分。
住所:東京都江戸川区平井1-25-32

もう一つの目黄不動、そして、五色不動の回り方

江戸五色不動のうち、目黄不動と呼ばれる場所は他にもあります。その中で比較的拝観しやすいのは、台東区にある永久寺(東京メトロ日比谷線三ノ輪駅徒歩2分。東京都台東区三ノ輪2-14-5)。小さい場所ですが、ガラス戸の向こうに安置されている不動様をしっかりと確認できます。

江戸五色不動の成立については諸説あり、移転しているものもあるため、ここでは各不動にあった案内をもとにご案内いたしました。最近は東京のパワースポットとしてバスツアーなども企画されてい、あす。それを利用して一日で回るのもよし、例えば目白不動と鬼子母神などのように、ひとつひとつを周辺の見所と合わせて回るのもおすすめです。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/01/18−2015/01/24 訪問

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