写真:村松 佐保
地図を見る明治時代に開業した『富士屋ホテル』は、戦後の進駐軍による接収時代を経験しているため、外国人向けの工夫が館内のいたるところに施されています。建物も長い歴史の中で古きを守りながら何度も増築を行い、現在は本館、西洋館、花御殿、フォレスト館などとそれぞれの役割を担って活躍をしています。
写真のヒゲの男性は、実質二代目の山口正造氏の像です。立派なヒゲの彼は、国際交流手段として「万国髭倶楽部」を結成しました。入会資格はヒゲの長さが最低5センチ以上あることだったそうです。正造氏のヒゲは、長い時で端から端まで(横に測って)70センチあったといわれています。ヒゲをとても大事にしていたので、寝るときにはヒゲキャップで大切に包んだそうです。
花御殿の地下1階にある史料展示室(入場無料)に、創業当時からの写真や調度品などが展示されていますので、ぜひご覧になってみてください。
『富士屋ホテル』では、日帰り滞在やランチから宿泊まで、さまざまな宿泊プランがご用意されています。詳細は下記MEMOの「富士屋ホテル」をご覧ください。
写真:村松 佐保
地図を見る富士屋ホテルの館内には、いたるところにたくさんの彫刻が施されています。まず目に付くのが、写真の尾長鶏です。ロビーの柱に、これでもかと長く伸びている白く美しい尾が印象的です。
1937年(昭和12年)にヘレン・ケラー氏が初めて日本を訪れたとき、富士屋ホテルに来館されました。その時、近隣で飼育されていた白い尾長鶏をとても可愛がったそうです。そして終戦後、再び訪れたときには尾長鶏の姿はなく、とても悲しまれたそうです。
その姿を目にした当主が、次に来館されたときに喜んでもらおうと、ロビーの柱に目が見えなくても感触を確かめられるようにと尾長鶏の彫刻を施しました。彼女の3回目の訪問は叶いませんでしたが、当主のおもてなしの心遣いは彼女へと届いたことでしょう。
館内にはほかにも、眠り猫やカエル、壁にたくさん貼りついた魚などの彫刻が、訪れた方に見つけてもらえるのを今か今かと待っています。過去が刻まれた彫刻を、目を凝らして探してみてください。
館内は通路が入り組んでいて迷うこともあるかと思います。下記MEMOの「富士屋ホテル 施設案内」でご確認ください。
写真:村松 佐保
地図を見る『富士屋ホテル』には、ヘレン・ケラー氏のほかにもジョン・レノン氏一家やチャールズ・チャップリン氏など、海外からの著名人も多く滞在しています。写真は、チャップリン氏が泊まられた、本館スーペリアツインルーム(47平方メートル)です。
1932年(昭和7年)に『富士屋ホテル』を訪れたチャップリン氏は、本館45号室にご滞在され、当時敷地内にあったテニスコートでテニスを楽しまれたり、庭園や回りの小路を散策されたりして、満喫されたそうです。『富士屋ホテル』裏手の小道は「チャップリンの散歩道」と現在も親しまれています。
チャップリンのトレードマークといえば、ステッキを持ち、だぶだぶのズボンにキツイ上着と小さな帽子、大きすぎる靴、などといくつか思い浮かぶと思いますが、部屋の壁には愛用の帽子とステッキが飾られています。
宿泊の特典として、以下を楽しむことができます。
1.チャップリンキーホルダーをプレゼント(1室につき1個)
2.チャップリン写真入りノートをプレゼント(1部屋につき1冊)
3.ティーラウンジにて、CHAPLIN’S PUDDING(チャップリンプリン)をご用意
チャップリンファンにはたまらない宿泊プラン詳細は、下記MEMOの「CHAPLIN’S ROOM ご宿泊プラン」をご覧ください。
写真:村松 佐保
地図を見る『富士屋ホテル』には、全く趣の異なる、ザ・フジヤ(フランス料理)、菊華荘(和食)、ウイステリア(洋食)、ヴィクトリア(バー)(いずれも予約ができます)、オーキッド(ティーラウンジ)というレストランやバーがあり、富士屋ホテルならではのメニューを楽しむことができます。
中でも、1930年(昭和5年)に日光東照宮本殿をモデルに建築された登録有形文化財のレストラン、ザ・フジヤの、高山植物や花鳥が描かれた格天井(ごうてんじょう)や柱の彫刻に目を奪われます。荘厳な雰囲気で伝統あるフランス料理を味わうことができます。
写真は、オーキッド(ティーラウンジ)のアップルパイ アラモードです。代々受け継がれてきたレシピで焼き上げたアップルパイにバニラアイスが添えられた一品です。ホテル自慢の庭園を眺めながらいただくスイーツは最高です!
さらに、バー・ヴィクトリアで過ごす大人の時間もおすすめです。かつてビリヤード場として愛されていた空間には、天井の装飾や、キュー・スティック、また外国人のお客様向けに高く作られた椅子など、当時の面影に心が和みます。
レストラン詳細は、下記MEMOの「富士屋ホテル レストラン・バー」をご覧ください。
クラシックホテルの代表ともいえる『富士屋ホテル』はいかがでしたでしょうか。戦後進駐軍によって接収された試練の時期も、ホテルの使命を全うし続けました。1954年(昭和29年)に自由営業が開始されましたが、戦時中を含めて約10年間という空白を埋めるべく経営者も従業員も一丸となって再出発へと励んできました。そんな強い思いが歴史となって息づく『富士屋ホテル』で、極上のひとときを味わってみませんか!
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この記事を書いたナビゲーター
村松 佐保
大自然に惹かれて、東京から群馬県の嬬恋村に移住しました。私の住まいは村の南部で、長野県寄りの標高の高い地域です。周囲には豊かな自然が広がり、四季の移り変わりを肌で感じる日々を送っています。鴬のさえずり…
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