写真:渡部 洋一
地図を見る「マレーシア最古の街」とも言われる古都マラッカ。その歴史ある街並みは、世界遺産にも登録されています。
そんなマラッカの街の中心に位置する小高いセントポールの丘。丘の麓には「サンチャゴ砦」が、そして丘の頂上に「セントポール教会」は建っています。
写真の通り小さな丘なので、短パンにサンダルでも簡単に登ることができます。
写真:渡部 洋一
地図を見る丘の頂上に建つ、セントポール教会。その建物の特徴は、内部に立つことではっきりとわかります。教会に入って上を見上げても、そこにあるのは空だけ。長い時を経て朽ち果て、その教会には屋根がありません。
しかし、かつては東南アジアにおけるキリスト教布教の拠点とも言われ、宣教師たちの活動で大変な賑わいをみせていました。
屋根のある教会に宣教師たちの言葉が反響していた往時の繁栄に思いを馳せると、時の流れの切なさを感じますね。
写真:渡部 洋一
地図を見るマラッカが東西貿易の中心として栄えていた大航海時代、かの有名な「フランシスコ・ザビエル」もこの地にやってきました。イエズス会の創設メンバーの1人として、彼は日本に来る前、ここマラッカでも布教活動を行っていたのです。
ここセントポール教会の内部には、ザビエルの遺体が9ヶ月の間安置されていました。その後遺体はインドのゴアへと運ばれ現在この場所には眠っていませんが、彼を慕う多くの人々が、金網で覆われてた彼が眠っていた場所へとコインを投げ入れています。
写真:渡部 洋一
地図を見る教会のすぐ目の前に、一体の白い石像があります。ずばり、フランシスコ・ザビエル像です。
マラッカの街を見下ろすように凛として立つそのザビエル像を前にすると、多くの日本人は違和感を覚えます。
「は、は、禿げてない!」、と。
そう、私たち日本人は小学校の教科書以来幾度となく目にしてきたあの肖像画によって、「ザビエル=禿げ」というイメージを徹底的に植え付けられています。「ザビエル」の名はアダ名にもよく使われるほどに、その代名詞として定着しているのです。
しかし、何度目を凝らして見ても、このザビエル像の頭部にはフサフサとした豊かな髪が。
ここで冷静な人はこう思うかもしれません。
「そうか、これは若かりし日のザビエルの像だ!きっと彼は日本に来てから始まったんだ!」、と。
いいえ、違います。ザビエルは日本でも本当は禿げてなどいなかったのです。日本で有名なあの肖像画は、カトリック教会の修道士によく見られる「トンスラ」という頭頂部を剃った「髪型」として描かれたものだったのです。海外で描かれたザビエルはそのほとんどが豊かな髪を持つむしろイケメンです。
歴史の謎が一つ解けたところで、頭ばかりにいっていた視線を、今度はザビエルの手に向けてみましょう。
「み、み、右手が無い!」
そう、ザビエル像の左手はしっかりと十字架を握っていますが、右の手首から先がありません。
実は、ザビエルの死後50年以上経過した後、遺体の右腕は切断され、イタリアのローマに送られました。
この像の右手が無い理由については「嵐によって落ちた」と言われており、不思議な偶然として語られています。
世界遺産の街、マラッカのセントポールの丘に、ザビエルの真実はありました。
この真実が日本に広まれば、「ザビエル」というアダ名はイケメンを賞賛するものへとその意味合いを変えていくことになるかもしれません。
写真:渡部 洋一
地図を見るザビエルの真実に驚愕した後は、セントポールの丘からマラッカ海峡に沈む夕陽をゆっくり堪能しましょう。
東西貿易の中心地として、大航海時代から500年以上盛衰を繰り返してきたマラッカ。幾多の戦いの舞台となってきたマラッカ海峡に沈む夕陽は、「世界三大夕陽の名所」に数える人もいるほど美しい絶景です。
ザビエル像も毎日見ている見事な夕陽を眺める時間もまた、マラッカ観光のハイライトとなるでしょう。
いかがでしたか?
世界遺産にも登録されている歴史の街、マラッカの中で、今回は衝撃の真実に出会える場所、セントポール教会にスポットを当ててご紹介しました。
もちろん、マラッカの街には他にも魅力的な歴史スポットが点在しており、「マラッカの歴史を知ることはマレーシアを知ること」という言葉さえあるほどです。
マレーシアという国の歴史上、非常に重要な地であるマラッカに、あなたも足を運んでみませんか?そこには、まだあなたの知らない歴史の真実が待っているかもしれません!
(セントポールの丘から見る夕陽については、「 世界三大夕陽の名所!マレーシア・マラッカで大航海時代を体感!」で詳しく紹介しています。記事下部にある「MEMO」よりご覧ください。)
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
渡部 洋一
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