ダージリンは、チベット仏教を信仰するネパール系住民が多数を占め、昔からチベットとは深い関係を築いてきました。町のあちこちにチベット僧院があり、チベット料理を楽しめるレストランなども多くあります。
チベット難民センターは、中国のチベット自治区から亡命したダライラマに続き、ヒマラヤを越えてインドへと逃れたチベット人の自立支援の為に1959年に設立されました。内部には、伝統工芸品を作る工房のほかに、学校や僧院などの施設があり、今やダージリンで暮らす約650人ものチベット人を収容するという一大生活拠点となっています。一般観光客は、各所にある工房を自由に見学することができ、またそこで作られた工芸品は敷地内のショップで販売されています。そこで得られた収益金が、運営や生活の大切な収入源となっているそうです。
中心部のチョウラスター広場からは徒歩で30分程度ですが、なかなか道のりが難しいため、タクシーやツアーで行かれることをお薦めします。帰りはセンターから少し下ったところにある大きな道(レボン・カート・ロード)に出て、乗り合いジープを拾うなどすると良いでしょう。
最初の工房を訪ねると、体育館のような広々とした空間にカラカラと何やら小気味の良い音が響いてきます。
全部手作りとはいうものの、まさかこの文明社会において糸を紡ぐところから始めることに驚かずにはいられません。女性たちは、真っ白なふわふわの羊毛を片手に取り、もう一方の手で糸車をひたすら回しながら手際よく糸を紡いでいきます。
彼女たちの顔立ちは、私たち日本人に良く似ていて言葉は通じなくともとても親近感が湧きます。
絨毯工房へと移動すると、ここでもまた女性たちが完全に手作業で絨毯を織る光景に出会います。時々、デザインと完成図に目を向けながら、1列ずつ毛糸を通したり、金属の道具で目をつめたりと途方も無い作業を繰り返し、そのペースは2人がかりでも1〜2ヶ月に1枚仕上がるかどうかというくらいだそうです。
センター内には、テーブルなどの木工品や、ショール、帽子などの小物類、革製品、紙製品、鍋等の金属製品に至るまで様々なものが製作されており、どの工房の人々も快くその作業を近くで見学させてくれます。
工房内はどこも緻密な作業が多く、おばあちゃんが老眼鏡の奥にある目をさらにさらに細めながら細かい絵を懸命に仕上げていく工程や、多くの男性が世代を問わず一緒に作業する木工の工房などが印象的です。
他にもチベット難民について学ぶことのできる部屋などもあり、日本からは縁遠いチベットの抱える問題について詳しく知ることができます。
工芸品の目玉である絨毯は、世界36ヶ国に輸出するという人気商品で、3ヶ月から半年ほど待つこともあるそうです。カタログから好きなデザインを選び注文します。基本サイズは60cm×180cmです。
写真のものでも送料込みで約35,000円程度と全てハンドメイドであることを考えると大変お手頃なお値段です。
筆者も購入しましたが、数ヵ月後、問題なく日本で受け取ることができました。仕上がりも美しく満足のいくもので安心です。
遠くチベットからヒマラヤを越え、命からがらインドへと亡命してきたチベットの人々。望郷の念にかられながらも故郷を捨てざるをえなかったその境遇を偲びつつ、明るく笑いながら仕事に励む彼らの姿には心揺さぶられるものがあります。
ダージリンへ旅行した際には是非、彼らの血と汗と涙の結晶とも言える超一級品の手織り絨毯、工芸品の数々を旅の思い出に注文してみてはいかがですか。
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