アンコール遺跡『ベンメリア』無常感漂う栄華の跡

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アンコール遺跡『ベンメリア』無常感漂う栄華の跡

アンコール遺跡『ベンメリア』無常感漂う栄華の跡

更新日:2015/03/03 16:20

吉川 なおのプロフィール写真 吉川 なお 台湾在住ライター、元旅行会社勤務の旅行マニア

カンボジアの世界遺産「アンコール遺跡」は9世紀から約600年間続いたクメール王朝の栄華の跡を今に伝える遺跡群です。歴代の王たちが即位するたびに権力の象徴として建てた王宮や寺院が、シェムリアップ市内や郊外に多数残されています。
その中でも最も異彩を放ち、東のアンコールワットとも称される『ベンメリア』をご紹介します。

アンコールワットのモデル

アンコールワットのモデル

写真:吉川 なお

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シェムリアップの東約40kmの密林の中にひっそり眠る『ベンメリア』は、一説ではアンコールワットを凌ぐ規模であったとも言われる巨大寺院です。アンコールワット建造前の11世紀末から12世紀初頭にかけて造営され、東西1200m、南北900m、幅45mの環濠に囲まれた平面展開の寺院です。

三重の回廊や十字型の中庭を持つ伽藍の配置などアンコールワットと共通点が多く、そのモデルになったと言われてます。そのため「東のアンコール」とも呼ばれていますが、都は移り、内紛や隣国アユタヤ王朝などの外敵の侵攻で1432年にクメール王朝が滅ぶと密林の中に埋もれ、その存在すらも長く忘れられていました。

戦禍の歴史

1860年、インドシナ半島を調査していたフランスの植物学者アンリ・ムオによって遺跡の一部が発見され、アンコール遺跡はにわかに息を吹き返しました。しかし1970年にカンボジア内戦が勃発。遺跡群はことごとく戦禍を被ります。

やがて平和が戻り、1992年にユネスコの世界文化遺産に登録されますが、同時に危機遺産リストにも登録されます。そこから懸命な修復、保護活動が始まり、その努力によって2004年にそのリストから外されましたが、『ベンメリア』は原型を留めないほど崩壊が進み、いまだ修復されることなく発見当時のまま放置されています。

戦禍の歴史

写真:吉川 なお

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栄枯盛衰のはかなさ

その様子は廃墟そのもの。建物の修復も遺跡に絡まる樹木の伐採もされていないので、木の根が建物を覆い、苔は生え放題、かつて寺院を型どっていた石は崩れ落ち瓦礫の山と化しています。

見るも無残なその姿は、長い時の流れと栄枯盛衰、盛者必衰の無常観を無言で私達に語りかけてきます。

栄枯盛衰のはかなさ

写真:吉川 なお

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探検家のように見学

その手付けずの状態は、発見当時のままの姿をそのまま現在に伝えています。同じく樹木に侵食された『タ・プローム』のように人の管理下で自然の状態を保っている遺跡とは異なる荒廃の美を直に目にすることができます。

見学は、現地のガイドの後について傾いた屋根の上に上ったり、崩れた壁の上に這い上がったり、時には光が届かない暗闇の回廊を歩いたりと、迷路のような道無き道を歩きます。まるで探検をしているようなスリルが味わえるのもこの遺跡の魅力です。

探検家のように見学

写真:吉川 なお

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苔むすレリーフ

ベンメリアはクメール語で「蓮池の池」を意味し、その名の通り、崩壊した建物のところどころで花のレリーフを見かけます。また十字回廊には古代インドの叙情詩ラーマヤナ物語やインドラ神を型どったレリーフが残されており、在りし日の壮麗な姿を連想させます。

東門テラスの欄干部分に立つ5つ頭の蛇神ナーガは、これほど朽ちた遺跡の中にありながら、驚くほどよく原型をとどめており、アンコール遺跡群の中でも最も美しいナーガだと言われています。

苔むすレリーフ

写真:吉川 なお

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「創造と破壊」の遺産

いまだ密林の中で時が止まったまま神秘のベールに包まれている『ベンメリア遺跡』。数あるアンコール遺跡の中で、これほど荒廃の無常感を感じさせる遺跡は他にありません。

「栄枯盛衰」「諸行無常」そして人間によって造られた建造物が同じく人間の手によって壊されるという「創造と破壊」。

この廃墟の遺跡の全容が明らかになるのは一体いつになるのでしょうか。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/04/26−2014/04/30 訪問

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