写真:ろぼたん
地図を見る昔、現在の岩手県盛岡市三ツ割の東顕寺(とうけんじ)というお寺に岩手山の噴火時に落ちてきた…とされる三つの大石があり、神様が宿っているとして、人々から「三ツ石様」と呼ばれ、信仰を集めていました。
あるとき「羅刹鬼(らせつき)」という鬼がそこに住む人々や旅人などに悪事を働き、ほとほと困り果てた地元の人たちが「三ツ石様」の神様にお願いしたところ、神様はそれに応え、その三つの大石に 羅刹鬼を縛り付けました。 羅刹鬼は降参し二度と悪さをしない、またこの地に二度と戻ってこないという証として、石に手形を残し南昌山(なんしょうざん)の方へ逃げていった…と言われています。
そう、鬼の手形を押した石のある場所、岩手。これが地名の由来だといわれています。故事や伝説って所詮むかし話でしょ!?と思われるかもしれません。
でも、実はその手形のある石…現在も残っているんです。
写真:ろぼたん
地図を見る盛岡市名須川町の東顕寺の裏側にある「三ツ石神社」。ここに三つの巨石がまつられています。この地域は盛岡市内でも由緒あるお寺や歴史があり古いお寺が集まる場所のせいか、この神社はパッと見た瞬間は意外と殺風景な印象がするかもしれません。お寺の裏手にある小さな神社でこの由来を知らないと通りすぎてしまうくらい普段は物静かな雰囲気です。
でも、一歩足を踏み入れれば奥の方からパワースポットの源、鬼をも封じ込めた岩と神様のパワーを感じることでしょう!
写真:ろぼたん
地図を見る岩手県にある国立大学、岩手大学の大学祭の名前が「不来方祭(こずかたさい)」というのですが、それは岩手県盛岡市周辺が「不来方」と呼ばれていたから。
鬼が三ツ石の神様と「二度とこの地に足を踏み入れない」と約束した地域を「不来方」と呼ぶようになったのが由来というのが有力な説です。
境内の中にニョキッとそびえたつ巨大な岩が三つ。
そして小さなお社があるだけ。
パワースポットの力を感じたいとか、岩手の起源となった岩を見てみたいという気持ちがないと拍子抜けするほど小さな境内と岩と社のみの「三ツ石神社」。それだけにここがこうやって残されていることがどれほど重要な意味を持つのかがわかるともいえます。
『鬼の手形』は肉眼ではもうわからないかもしれません。一つ一つ岩に触れてみてはいかがでしょう?岩から発せられる不思議な力を感じることができるかもしれませんよ。
提供元:盛岡商工会議所 地域振興部 盛岡さんさ踊り実行委員会
http://www.sansaodori.jp/実は先ほどご紹介した岩手のはじまりの伝承には続きがあります。
鬼の退散を喜んだ人々は神様に感謝し、お礼に集い、笹で作った笠をかぶり、三ツ石のまわりをさんささんさと踊り回ったとされているのです。それが「さんさ踊り」の始まりだと言われています。
伝統のある「さんさ踊り」は「さんさ祭り」として毎年8月1日から4日間、中央通を会場に“魅せる祭り”と“参加する祭り”のコラボレーションを展開して、祭りを盛り上げ現在に至っています。
夏が近くなるとこの「さんさ祭り」に参加するため、盛岡市内の町内会や自治会、サークルなどで練習がはじまり、街を歩くと踊りの練習風景があり、笛や太鼓の音が聴こえ、伝統と地域の和を感じる賑やかな季節となります。
そしてこの起源となった「三ツ石神社」で「さんさ踊り」が奉納されるといよいよ夏祭りが始まる合図です。例年7月下旬に「さんさ祭り」の安全と成功を祈願して行われる奉納は、ミスさんさの踊りの初舞台にもなっています。
この奉納の様子はまさに岩手の起源時の様子を彷彿とさせるものですよね。伝統が受け継がれている岩手の魅力を感じることでしょう。
提供元:盛岡商工会議所 地域振興部 盛岡さんさ踊り実行委員会
http://www.sansaodori.jp/8月には東北地方では大きな祭りが一斉にはじまります。それはここ岩手でも。夕刻せまる茜色の夏空。のろしが轟くと「さんさ踊り」の大パレードがスタートです!!
一万太鼓の群舞が織り成すその音は、観る者の身体の芯にまで響き渡ります。「さんさ踊り」は優麗でしなやか、躍動感のある踊りです。代表的な踊りは「七夕(たなばた)くずし」、「栄夜差(えいやさ)踊り」、「福呼(ふっこ)踊り」の3つ。どれも素晴らしく、観ていて踊る人から笑顔がうつってくる踊りですよ。
大群衆のパレードに酔いしれたら、輪踊りに参加はいかがでしょう?またステキな旅の思い出になるはずです。
最後に逃げ去った鬼の行方が気になる人がいるかもしれません。
不来方の地を逃げ出した羅刹鬼は京の都に辿り着き、羅生門を住処に再び悪さを繰り返し、ついには一条戻橋の上で渡辺綱(わたなべのつな)に腕を切り落とされた…という説もあります。
日本の言い伝えや歴史はこうしてつながっていたり、意味があったりと、ロマンを感じずにはいられませんよね。
伝統と歴史と物語のある町、岩手県盛岡市はパワースポットの多い場所でもあります。鬼や神様を感じる「三ツ石神社」のそばには、ユニークな羅漢さんがいっぱいの「報恩寺」、そして県庁前には石を割って生えている国の天然記念物「石割桜」など見所も多い場所です。
雨上がりの日などには『鬼の手形』は見えやすくなる…とも言われている岩手のはじまりの地を訪ねてみませんか?
【三ツ石神社へのアクセス】
所在地〒020-0016 盛岡市名須川町2-1
盛岡駅(バス10分) → 大泉口(徒歩5分) → 三ツ石神社
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(2025/2/14更新)
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