フランス語でフリッツと発音されるフライドポテト。本来フリッツは揚げ物を差した、日本で言う天ぷらにあたる料理ですが、現在フリッツといえば、すなわちフライドポテトであるというほど、フランス文化に浸透したベルギー発祥の郷土料理です。
元々ベルギーのナミュール地方で、じゃがいもを細く切って揚げたのが始まりだそうで、地元ではよく作られる家庭料理のひとつです。それでも現在は冷凍技術の発達で、ほとんどがお店で買って来たもの。名店「シェ・マリー」では本来のように生じゃがいもから、ひとつひとつ皮をむいて丁寧に仕上げるから、甘くてカリッと香ばしさが引き立ちます。
あなたはフライドポテトのことを、ファーストフードの代名詞だと思っていませんか?ところが、ベルギー全土に星の数ほどもあるフリッツ専門店のフリットリーで、フライドポテトを注文したら、どこでもカウンターで10分ほど待たされるのが普通です。なぜなら、ポテトを二度揚げするからです。一度目は注文する時点で既に準備されていますが、注文を受けてからの二度目は、190度の高温でじっくりキツネ色になるまで揚げるのに時間がかかるからです。
シェ・マリーはフリッツ専門店からスタートし、現在も気軽に持ち帰りができるスタンド部分がありますが、その奥にあるレストランでは、ソファにゆったり腰掛けて、ベルギーの郷土料理を楽しむこともできます。特に季節によってはフリッツとの相性が最高と言われるムール貝の料理を、本物のフライドポテトと味わうことができるのは、ベルギーでも限られた人にしかできない体験です。
ベルギーでカルボナーラを注文すると、なぜか圧倒的に生クリームのパスタが出てきます。それと同じように、シェ・マリーでカプチーノを注文すると、オシャレなグラスに注がれた、生クリームたっぷりの熱いコーヒーが出てきます。酪農がさかんで古くから牛乳文化の浸透したフランス共同体で、ミルク関係の料理が多いのは確かです。シェ・マリーのあるナミュール州もフランスとの国境にありますが、一旦国境を越えてフランス側に渡れば、カフェ=ミルク無しの少量エスプレッソ・コーヒーがどこでも出てくるので、これもやはりベルギー流なのが、面白いですね。
ベルギーと言えば、まずチョコレートを連想する人が多いほど、ベルギーでは高品質のチョコレートが生産されていますが、それだけにやはりチョコレートは身近な食べ物でもあるようで、ベルギー人のほとんどが、食後のデザートとして指名するのが、ムース・オ・ショコラ!シェ・マリーの自家製のムース・オ・ショコラは、地元の人も納得の美味しさで、ボリュームもありおすすめです。
シェ・マリーの営業時間がインターネットに掲載されていないため、現在情報として写真を掲載しておきます。すぐ近くのスーパーファーニュや、シメイなど近隣の観光地へ立ち寄られる際の休憩地点として利用される場合には、是非参考にされてください。
ベルギー国内で本物のフライドポテトを提供しているのは、国内でも現在6ヶ所のみと言われ、後継者問題が議論にあがるほど。ここシェ・マリーがかたくなに伝統を守る背景には、やはり深い郷土愛があるようです。オーナーも非常に気さくで、フランス系にしては珍しく顧客満足を第一に、楽しんで接客している様子が見受けられます。屋台のようなフリットリーから、顧客に愛された故に着席部分が拡大されたレンストランで、地元では固定客が足しげく通うお店です。せっかく訪れるグルメ大国ベルギーで、観光地のレストラン利用ばかりじゃ、実にもったいない!本物のベルギーのお宝は、まだまだアルデンヌの森の中に眠っています。質実剛健で飾らないベルギー文化を象徴するような、地元密着型の美味しいレストラン「シェ・マリー」、ぜひ訪れてみて下さい。
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