写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見る洋々閣に到着すると、まず目に入るのがその玄関。
格調高いその玄関を前にすると、すっと背筋が伸びるような心持ちがします。
長い年月を経た歴史ある旅館だからこその佇まいなのでしょうか、厳しさや敷居の高さを感じるわけではないのに、ここの客としてふさわしくありたいというような気持ちになります。
一歩入ると「閣々洋」と右から書かれた扁額があり、奥には趣のある花器に野の花をあしらった見事な生け花。長年花守として活躍された小路陽子氏は2015年現在は休職中とのことですが、随所に生けられた心安らぐ花たちはいまも健在です。
チェックインを済ませたあとで案内されるのは、古いながらも清潔な和室のお部屋。
もちろんお部屋にも花があり、掛け軸なども嫌味なく上等。若い女性なら「かわいい!」と思わずはしゃいでしまいそうな文箱や針箱も用意されています。
そして一息ついたら、館内を見学しに行きたくなることでしょう。
各棟を繋ぐ長い渡り廊下、その両側に広がる自然な雰囲気の庭園に植えられた松は樹齢200年という老松がほとんどであるとのこと。つくばい(石の水鉢)には季節の花が浮かべられ、池には鯉が泳ぎ、奥には枯山水もあります。池の上にかかる「作用姫の間」もお見逃しなく。
徒歩すぐのところに海があるので、潮騒が聞こえることもあります。
うつわ好きにとって、洋々閣を訪れる大きな楽しみのひとつが唐津出身の陶芸家・中里隆氏の作品を集めた「隆太窯ギャラリー」です。洋々閣の主である大河内明彦氏が大のうつわ好きで、中里氏と親交が深いことからこのギャラリーが作られたとのこと。
展示されているうつわは、いたってシンプルで使い勝手の良さそうなものばかり。
「うつわは料理をもって完成する」という中里氏の信念が伝わります。
食事でも隆太窯のうつわが使われますので、夕食に向けての気持ちを盛り上げるためにも、うつわ好きでない方もぜひご覧ください。
また、こちらでは中里隆氏の長男・太亀氏と次女・花子氏の作品も展示されています。
お父様と似たところ、また違うところを探しながら見学するのもいいですね。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見る夕食はお部屋で、玄界灘の海の幸を使った和の会席料理をいただきます。
お刺身、煮魚、炊き合わせ…と、凝ってはいませんが、丁寧に心を込めて作られていることがよくわかるお料理で、お吸い物では滋味深いだしの味がしみわたります。
予算に余裕がある場合は、高級食材であるアラやフグ(いずれも冬)、オコゼ(春から秋)といった特別料理をお願いして味わってみるのもいいでしょう。
また、絶対に魚より肉!という方は、会席料理を牛しゃぶしゃぶにすることもできます。
1人だけでも替えてくださる、その心遣いも嬉しいですね。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るゆっくり寛いだ翌朝。
お風呂好きなら、朝風呂のあとに朝食をいただくのが旅の楽しみですね。
洋々閣は温泉旅館ではありませんが、麦飯石を使ってあるので温まります。
そして朝食は食事処で、というのもありがたいです。
夕食はお部屋がいいけれど、朝食は食事処が気楽だという方が多いのではないでしょうか。
洋々閣の朝食は由緒正しい和食ですが、名物は麦粥とざる豆腐。
胃腸に優しい麦粥に岩のりの佃煮をたっぷり入れていただくと絶品ですし、とろとろで甘いざる豆腐は唐津の有名店・川島豆腐店の当日できたての新鮮なものです。
宿自慢の日本庭園を眺めながらゆったりとおいしい朝食をいただいて始まる1日。
きっと素晴らしい1日になることでしょう。
老舗の名旅館ともなると、なかなか寛げないのではないかと心配になるかもしれません。
ですが、冒頭にも書いたように洋々閣は折り目正しい佇まいながら敷居の高さは感じません。
外国人観光客にも人気が高いのはその「日本らしさ」だけでなく、無料で使えるパソコンや無料Wi-Fiが整備されているからであることは言うまでもありません。
また、ホームページには高齢者や身体の不自由な方、乳幼児への配慮についても記載があり、一見・常連関係なく平等にもてなそうという心が伝わります。
近くには日本三大松原のひとつである虹の松原などの見どころもありますので、九州旅行を計画される際にはぜひ佐賀も候補地に入れてみてくださいね。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
一番ヶ瀬 絵梨子
お酒とおいしいものが大好きな、名古屋在住の関西人。2児の母。ヨソ者目線で、名古屋の魅力をフカボリ中です。名古屋観光検定(上級)。フェリーやLCC、民泊を使い、家族で格安に旅する方法を探すのが得意。その…
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索