日本最古の庭園といわれる福島県白河市の「南湖公園」

日本最古の庭園といわれる福島県白河市の「南湖公園」

更新日:2013/02/20 12:04

猫乃 みいこのプロフィール写真 猫乃 みいこ 非日常体験探求家、旅ブロガー、ライター
福島県白河市に、白河藩主であった松平定信が1801年に造営した日本最古の庭園といわれる「南湖公園(なんここうえん)」があります。白河の小峰城の南に造られたことと李白の漢詩から「南湖」と名付けられた湖を中心とした「南湖公園」。定信の「士民共楽」(武士も民衆も身分の隔てなく共に楽しむ)の精神が伝わる湖畔では、4月中旬には800本の桜並木や樹齢200年のシダレザクラが楽しめますよ。

「南湖十七景」を廻ってみませんか。

「南湖十七景」を廻ってみませんか。

写真:猫乃 みいこ

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福島県白河市は、東北新幹線では那須塩原駅の次の駅「新白河駅」、東北本線なら「白河駅」が最寄り駅。
白河市のほぼ中央にある南湖公園は、享和元年(1801年)「寛政の改革」で知られる白河藩12代藩主の松平定信公によって造られました。
公園の中心となる「南湖」という名前の由来は、唐の詩人李白が詠んだ「南湖秋水夜無煙」の漢詩にちなむと伝えられています。

国指定史跡である「南湖公園」には、松・桜・楓などが植えられていて四季折々の風光明媚な姿が楽しめます。
南湖には「南湖十七景」として、湖畔に17の景勝地を詠んだ石碑があるのです。
ひとつの湖に17ヶ所も景色が見事なスポットがあるとは、なかなかスゴイですよね。
一周2kmの湖を散策して17の石碑を探し、詠まれた景色を楽しんでみるのも良いですね。

定信公の精神が今に伝わります。

定信公の精神が今に伝わります。

写真:猫乃 みいこ

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定信公は、「武士も民衆も身分の隔てなく共に楽しむ」ことを目的とする「士民共楽(しみんきょうらく)」の精神を掲げました。
当時一般的だった囲いを設けた大名庭園とは違い、「南湖公園」には囲いを設けず、市民も自由に楽しめる公園としました。
お殿様でありながら「武士も民衆も身分の隔てなく共に楽しむ」としたことは、当時としては非常に画期的だったのではと思います。

市民に開放された日本初の庭園として知られ、今でも市民の憩いの場として、定信公の精神が現代へと伝わっています。

さらにこの「南湖公園」内には、茶人であった定信公にちなみ茶室を設けた回遊式日本庭園「翠楽苑」が平成7年(1995年)に完成しました。
樹木約4000本が植えられた日本庭園は、四季折々に大変美しい姿を見せてくれます。

南湖公園内「翠楽苑」
入園時間 9:00〜17:00(12〜3月は16:30まで)
定休日 12〜3月と7月の第2水曜日、年末年始
入園料 大人310円、小学生〜高校生150円。呈茶は別途500円。
    (入園料と呈茶のセットで730円)

湖畔のLamp Cafe(ランプカフェ)でティータイムを。

湖畔のLamp Cafe(ランプカフェ)でティータイムを。

写真:猫乃 みいこ

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湖畔には、茶屋やカフェなどお店がたくさんあります。
その中でも素敵なのが、Lamp Cafe(ランプカフェ)。
明治16年に西白河郡役所として建てられた洋館を、南湖公園に移築・復元され、カフェとして甦りました。

店内はアンティークな家具が配され、珈琲の香りに包まれています。
隣接する手作りの小さなスイーツショップ「魔法のランプ」のケーキもカフェでいただくことができます。
時間を忘れてのんびり楽しむカフェ、明治時代に思いを馳せてみませんか。

南湖公園内の、シダレザクラが美しい南湖神社

南湖公園内の、シダレザクラが美しい南湖神社

写真:猫乃 みいこ

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南湖公園の中には、定信公を御祭神として祀る「南湖神社」があります。
参道沿いにはの御神木であるシダレザクラの「楽翁桜」があり、桜見物の名所となっています。
「楽翁桜」は樹齢200年、南湖公園築造時に「白河楽翁」とも言われた定信公によって植えられたと伝えられていますが、さらに大正11年(1922年)の南湖神社創建時に、美しい花を咲かせる桜の木が中央になるように参道を作ったといわれています。

「楽翁桜」が紅色の濃い小さく可憐な花をたくさん咲かせるのは4月中旬。
下から見上げると、まるで桜の花が天から降ってくるような見事な光景です。

南湖公園には、湖畔に800本もの桜並木がありますので、桜の季節には湖畔が華やかなピンクに染まります、4月が待ち遠しいですね。
福島の有名な桜見物といえば「三春の滝桜」ですが、南湖神社のある「南湖公園」は地元のかた以外にはあまり知られていない、言ってみれば穴場的な桜の名所。
是非訪れて、素晴らしい桜並木とシダレザクラを堪能してくださいね。

さまざまな願いを叶えてくれます。

さまざまな願いを叶えてくれます。

写真:猫乃 みいこ

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南湖神社の境内には、2013年の干支である巳の大きな絵馬がありました。
南湖神社は、厄除開運・方位除けを始めとして、初宮詣・七五三交通安全・家内安全・商売繁盛などの、さまざまなご祈願をされる方々で参拝の方々が絶えることはありません。
定信公が、学問に長けた方であったことから「学業成就の神」としても知られ、また白河の男性と会津の女性を引き合わせて縁を取り持ったことから「縁結びの神」としても知られていて、神前結婚式も数多く執り行われています。

家族で行っても全員の願いが叶いそうですね。
白河の人々の願いに寄り添い共に歩む姿勢は、定信公の「士民共楽」の精神が息づいているようです。
四季折々の楽しみ方ができる「南湖公園」を散策してみませんか。

白河市には、他にも芭蕉の句で有名な「白河の関」や、手打ちのしょうゆラーメン「白河ラーメン」など、見どころやグルメがたくさんありますよ。
震災後の風評被害により、観光客の減少が心配されている福島県、訪れることで必ず復興支援にも繋がります。
是非出かけてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/02/11 訪問

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