写真:ぐれい クミコ
地図を見る大正12年(1923年)に料理旅館「舟岡楼」の浴場として創業。主な客筋は西陣織に携わる若旦那衆だったという「船岡温泉」。当時は美味しい料理に舌つづみを打ち、お風呂でゆっくりするという贅沢な娯楽場であったようです。昭和22年(1947年)戦後は旅館をたたみ公衆浴場として再出発しました。
こちらの写真は正面玄関の外観ですが、驚くべきことに料理旅館当時のそのままの姿を保っている貴重な建物。大きく威厳のある唐破風造の屋根には、高級旅館の面影を今も感じられます。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る維持するのも改築するのも難しいと言われる銭湯ですが、こちら船岡温泉は奇跡的にそのままの姿で維持された内装に心底驚かされます。のれんをくぐり店内に入ってすぐ、ここが「キングオブ銭湯」と言われ、外国人観光客からも愛される理由がお分かりいただけるでしょう。
特に目を引くのが色鮮やかなマジョリカタイル。マジョリカタイルとは、大正から昭和初期に日本で作られた多彩色レリーフ・タイルのことですが、元々イギリスの装飾タイルを模倣したもので厳密には和製マジョリカ・タイルと呼ぶそうです。この和製マジョリカタイル、もちろん現在は生産されておりませんし現存するものも希少です。我が家の玄関にこのタイルを使いたい、なんて思ったらタイル一枚が今では数千円〜数万円しますので、こちらの写真の玄関部分だけでもかなりの高額タイルが無造作にむき出しになっている!、ということです。
写真の右上に写っている欄間部分は、上海事変の肉弾三勇士を題材としたものが彫られたもの。掛け時計一つをとっても昭和ロマン漂うものばかりで、まるで映画のセットのようです。天井には色鮮やかな鞍馬天狗と牛若丸の彫刻が見下ろして、そのまま美術館に飾られていてもおかしくないほどの受付〜脱衣所です。
銭湯や脱衣所内は撮影禁止ですので目に焼き付けて、ゆっくり銭湯を楽しんでください!
「船岡温泉」という名前ですがお湯は天然温泉ではなく銭湯です。
通常の大浴場に加え、くすり風呂、高温深風呂、浅風呂、泡風呂、ジェットバス、電気風呂、サウナ、水風呂、打たせ湯、露天風呂(檜風呂と岩風呂。男女日替わりで入れ替わる)など。
温泉テーマパーク並みに種類が豊富です。
大人430円
中人150円(小学生以上)
小人60円
営業時間は休業日なしの15:00〜25:00
日曜日のみ8:00〜
※営業時間が変更になっている可能性があるため、祝日に行かれる方は事前に確認することをお勧めします。
タオルやシャンプーなどは持参してください。ドライヤーは30円で使えますがかなりの年代物でパワーが弱小です。
写真:ぐれい クミコ
地図を見るお湯を楽しんだ後のゴハンはこちらのカフェ「さらさ西陣」がおススメです。船岡温泉から東へ約200mの場所にあります。
写真の通り、一見するだけではカフェとは分からないほど重厚な外観。そのため入りにくいと思われる方もおられるかもしれませんが、戸を開けるとフレンドリーで若いスタッフが温かく迎えてくれます。時間帯によってメニューが変わり、雰囲気も変わり、何度行っても楽しめるお店です。
こちらの店内で目を引くのも、やはり和製マジョリカタイルの圧倒的な鮮やかさではないでしょうか。元々銭湯だった良さを最大限に残し、現代の建築デザインでは決して作れない見事な空間を作り出しています。その雰囲気が「千と千尋の神隠し」のお湯屋を思い起こさせると言われていますが、実にそんな非現実的な空気漂う店内です。銭湯だった旧藤ノ森湯は1920年代に建築されたた建物で、れっきとした文化庁の登録有形文化財の建物です。
アニメ「けいおん!」1期の第11話で登場した喫茶店ということでアニメファンの間で聖地とも言われているカフェです。
オープン12時
ランチメニュー 12:00〜15:00
夕ごはん 15:00〜18:00
夜ごはん 18:00〜22:00
水曜日定休
写真:ぐれい クミコ
地図を見るミシュランで星を獲得した手打ち蕎麦「かね井」は「さらさ西陣」の2軒隣です。
営業:11時30分〜14時30分、17時〜19時(売切れ次第閉店)
定休日:月、年末年始、お盆
築100年近くの町屋を改築した店内はゆっくりした時間が流れています。店主が全て一人で用意した手打ち蕎麦なので数はあまり用意できないらしく週末は早々に閉店しています。平日でも営業前から並ぶ人も多く予約が出来ないため、時間に余裕が取れる方はぜひおススメしたいお店です。
時間がない場合はこの味のある外観だけでも楽しんで頂きたいもの。もちろん、時間があれば是非おそばも味わってみましょう!
船岡温泉街は隠れた観光スポットと言われておりますが、言い換えれば観光地らくしなく普段の京都人の日常が垣間見れる場所です。
レトロな建物が並ぶ温泉街はぶらりと散歩するだけでも楽しめます。
建勲神社(たけいさお神社(通称:けんくん神社))もこの温泉街からすぐ近くで、社殿のある船岡山を上っていただくと京都を一望できる船岡山公園も満喫していただけます。
銭湯では観光客っぽくそわそわしていると、地元のおばあちゃん達が親切に「洗面器を自分で取って入りや」とか「そこはあったかいお湯出えへんで」とかフレンドリーに声をかけて来てくれます。たとえそれが外国人観光客でも日本語で話しかけたりするおばちゃんもいるなど、古き良き銭湯でのコミュニケーションも楽しいものです。
ちなみに銭湯のマナーですが、江戸は先に体を洗ってから浴槽に入り、関西はかけ湯をしてからまず湯船に浸かり、少し温まったところで一旦上がり体を洗いそしてまた湯に入るという習慣があります。年配の人達はその入り方をされています。
各家庭に風呂を持つ時代に育った人達は銭湯では先に体を洗ってから、という江戸のスタイルが京都でも多いようです。
今の時代、わざわざ銭湯に行くということ自体が贅沢ではないでしょうか。ぜひ船岡温泉街にゆったり流れるノスタルジックな空気で心を満たされてください!
この記事を書いたナビゲーター
ぐれい クミコ
京都生まれ京都育ち。東京在住。京都を離れてみてやっぱり京都っていいなと思ったり、海外(アイルランド)に住んでみて日本の良いところを改めて知ったりしました。通訳案内士で訪日外国人に日本をガイドする仕事を…
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