写真:菊池 模糊
地図を見る堺市には日本最大の古墳で世界三大墳墓のひとつとされる大仙陵古墳があり、一般には仁徳天皇陵と呼ばれています。
この仁徳天皇陵の前には大仙公園という市民憩いの場である大きな公園があり、与謝野晶子の歌碑が二基建立されています。
大仙公園に行くためには、南海高野線堺東駅前のバスターミナルの2番乗り場から、5または特5系統のバスに乗り大仙町で下車します。大仙町で下車すると道を渡って南側に堺市立中央図書館があり、その図書館前の広場に赤茶色の煉瓦で造られた晶子の歌碑があります。
JRで来られる場合は、阪和線百舌鳥駅から西へ徒歩5分です。
堺の津南蛮船の行き交へば春秋いかに入りまじりけむ
中世に南蛮貿易で栄え東洋のベニスと呼称された堺の黄金期を彷彿させる晶子のスケールの大きな歌です。
これは歌集に収められたものではなく、昭和5年『堺市史』完成に寄せて、晶子が東京から電報で堺市に贈ったものです。晶子の故郷に対する誇りと心づかいが感じられます。
この歌碑は与謝野晶子生誕百周年を記念して建立されたもので、堺の特産品であった煉瓦で明治調を表現し晶子の肖像も彫られています。傍らには晶子の好きだった大島桜が植えられており、春になれば白い小さな花を咲かせ木漏れ日が歌碑に風情を与えています。また近くには晶子が投稿参加した堺の浪華青年文学会の中心メンバーで詩人の河井醉名の歌碑もあります。
写真:菊池 模糊
地図を見る上記の図書館前歌碑の東側には大仙公園が大きく広がっており、その中央部にもうひとつの晶子の歌碑があります。
天を指さすかのような印象的な形をした歌碑です。
花の名は一年草もある故に忘れず星は忘れやすかり
これは第37回全国植樹祭を記念して花商組合が建立したもので、はかなく小さな花に寄せる晶子の優しい心が詠み込まれています。この歌は第二次「明星」の終刊を詠ったものでもあります。
歌碑の周囲は花壇で、いつも四季の花が植栽されています。
この歌碑の東側には日本庭園があり、四季折々の日本の美を楽しめます。
晶子の歌碑を見た後は、せっかくなので、日本の歴史公園100選にも選定された大仙公園で、千利休像や堺市博物館そして仁徳陵古墳を見学し、堺の豊かな歴史に触れてみることにします。
写真:菊池 模糊
地図を見る与謝野晶子が近代の堺を代表する人とすれば、中世の堺を代表するのが千利休です。
大仙公園北部に位置する堺市博物館の前には、千利休の像があります。
千利休の像の向かい側にあるのが、千利休の師匠にあたる武野紹鴎の像です。
さらに、像のすぐ近くに堺市茶室(伸庵、黄梅庵)もあり、茶の湯文化発祥の地を肌で感じることが出来ます。茶室は庭園だけなら見学は無料ですので、日本的な風雅をさらりと楽しむのも一興です。
堺市博物館では、仁徳陵と自由都市堺に関する展示が常設されており、堺の豊かな歴史を詳しく知ることが出来ます。
各種の工夫された展示がありますので、古代・中世・近代とそれぞれに文化的な興隆を見せた堺の歴史の魅力を、博物館で存分に体感しましょう。
また、様々な企画展や特別展もありますので、あらかじめ下記メモ欄から堺市博物館のホームページに飛び、調べて行かれると良いでしょう。
写真:菊池 模糊
地図を見る仁徳天皇陵は、百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ)として第16代仁徳天皇の陵に治定されています。大仙陵古墳とも呼ばれます。
大仙公園の北側に広がる超巨大古墳で三重の濠に囲まれており、面積的には世界最大の墳墓であるとされています。
『日本書記』には、仁徳天皇が御陵を造営しようとした時、鹿が野原から走り出して倒れ、その耳から百舌鳥が飛び去ったので、この地を「百舌鳥耳原」と呼ぶことになったと書かれています。
現在は、道を隔てた大仙公園側に、鹿を撫で百舌鳥を手に乗せた仁徳天皇を象徴するかのような「百舌鳥耳原由来の像」が立っています。
ぜひ仁徳天皇陵を見学し、古代のロマンに思いを馳せてください。
大仙公園を見学した後は、晶子の業績をまとめて見られる「さかい利晶の杜」の与謝野晶子記念館(平成27年3月20日オープン)に向かいます。
土日祝は、大仙公園の仁徳天皇陵側のバス停から、「堺まち旅ループ」(3月1日から運行開始)という緑色の観光周遊バスが30分おきに出ています。左回りで、仁徳天皇陵周辺を回って堺東駅に至り、さらにそのまま乗って宿院のバス停で下車します。
与謝野晶子記念館には晶子が生まれ育った駿河屋の店先が実物大で再現されています。また、出版された晶子の数多い本の装丁が見られる装丁ギャラリーもあります。
貴重な展示を見ながら、晶子の生きた時代に思いを馳せ、晶子の世界をじっくり堪能しましょう。
また、「さかい利晶の杜」には、千利休茶の湯館もありますので、併せて見学することをおすすめします。
写真:菊池 模糊
地図を見る最後は、与謝野晶子記念館から西へ大通りを10分ほど歩いて南海本線堺駅に向かいます。「堺まち旅ループ」バス利用の場合は宿院で乗車し、堺駅前で下車してください。
南海本線堺駅の西口には、写真に載せた晶子の等身大の立像があり、歌も刻まれています。
ふるさとの潮の遠音のわが胸にひびくをおぼゆ初夏の雲
この歌は故郷を偲ぶ晶子の思いが爽やかに表現されています。晶子にとって堺はいつまでも胸にある懐かしくも大きな存在であったことがわかります。
現在、晶子の立像は、この堺駅西口のブロンズ像と堺市立女性センターの大理石像があります。
南海本線堺駅からは大阪方面や関西国際空港へ電車が通じています。
なお、平日は「堺まち旅ループ」バスが運行されていません。
そこで、歌碑巡りはコースの順番を変えて、まず南海本線堺駅で晶子立像を見た後、与謝野晶子記念館を見学、そこから徒歩5分の生家跡の歌碑まで行ってください。以降は、この記事の前編にあたる「与謝野晶子のふるさと堺市で歌碑巡り 生家跡などで晶子を偲ぶ」(下記メモ欄参照)にしたがって、晶子の足跡をたどり、南海高野線堺東駅に出て、路線バスで大仙公園に至ってください。
帰りは、大仙公園から東側徒歩5分の阪和線百舌鳥駅まで行き、JRを利用してください。
この記事は「与謝野晶子のふるさと堺市で歌碑巡り 生家跡などで晶子を偲ぶ」の続編で、大仙公園から与謝野晶子記念館そして晶子立像を見学するコースを説明しています。
戦後高度成長の波を経て、堺は臨海地域を埋め立て工業都市として発展し、人口80万人を超える政令指定都市になりました。
しかし現在は、文化や潤いも求められる時代です。そこで百舌鳥古墳群の世界遺産登録をめざして、堺は官民一体の努力をはじめています。
そんな中、きわめて魅力的な与謝野晶子の残した業績をたたえて、「さかい利晶の杜」がオープンしました。ぜひ、堺にある晶子の歌碑を巡り歩き、文化の香に親しむとともに先覚者晶子の生き方を偲んでください。
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(2024/10/5更新)
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