滋賀県湖東地方の陸の孤島、赤神山の太郎坊宮

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滋賀県湖東地方の陸の孤島、赤神山の太郎坊宮

滋賀県湖東地方の陸の孤島、赤神山の太郎坊宮

更新日:2015/02/26 13:54

ナツキのプロフィール写真 ナツキ きのこの文化研究家、博物学者

霊山は数々ありますが、湖東平野に突出するこの赤神山は、標高こそ350mと低いけれど他に競い合う山がないため、遠目にも見事な山容を呈しています。
この赤神山は、8000万年前の火山活動の結果出来上がった巨大カルデラの外輪山の一部が残った箕作(みつくり)山系の、そのまた一部を成す豊かな自然が残る神体山で、太古より人々の崇敬を集めてきました。この今なお霊威さかんな湖東のパワースポットを紹介します。

神秘的な山容の赤神山中腹にある阿賀神社(通称太郎坊宮)

神秘的な山容の赤神山中腹にある阿賀神社(通称太郎坊宮)

写真:ナツキ

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この阿賀神社(太郎坊宮)の創建は古く1400年前と言い伝えられ、聖徳太子が当地箕作山に瓦屋寺を創建した折に、ひときわ霊威を放つ赤神山に注目して、山腹に小祠を建て国家の安泰を祈念したことにはじまると言われています。
山岳信仰は、金属資源や薬草の探索と軌を一にしており、以来赤神山を擁する箕作山系は修験行者たちのメッカとなって栄えていきます。

祭神は天照大御神の第一皇子の天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)で、その諡名(おくりな)から、近年では勝運の神とされています。

近江鉄道八日市線・太郎坊宮前駅に降り立つと、そうした山伏たちの思惑を超越した見事な山容がそそりたっているのに出会います。

本殿のある夫婦岩まで直登ルートは740段余りの石段の登り降り

本殿のある夫婦岩まで直登ルートは740段余りの石段の登り降り

写真:ナツキ

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創建が古いだけあってありとあらゆる信仰形態を抱き込んで今日に至っていますので、一旦山域に入るとなんでもありの境内のたくましさには驚かされます。
しかし、ふもとの成願寺から夫婦岩のある本殿まで一気に直登する石段は740段余りありますが、毎日かかさず本殿までを往復するという人たちと多く出会いましたので、この山が今も地元では身近な自然を体感する霊山として愛されていることが分かります。

本殿へ詣でる直前、日頃の行ないを試される夫婦岩の隘路。

本殿へ詣でる直前、日頃の行ないを試される夫婦岩の隘路。

写真:ナツキ

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石段を登りつめ、本殿直前までくると神が神通力によって開いたという数十メートルの夫婦岩が立ちふさがり、悪しき心の持ち主や嘘つき者がこの産道めく隘路(あいろ)を通れば挟まれると言われており、この太郎坊宮の目玉商品となっています。
この夫婦岩の名称から近年、縁結びの神としても名高く、この日も若いカップルが祈祷を受けていました。

しかし、さまざまなおまじないスポットを無視しても、この神体山特有の霊威は今なおさかんで、ひたすら高みを目指す行為に没頭すると、自ずと心洗われていくのが実感できます。
さて、本殿まで登って一息つけば、もと来た石段をやや下ったところにある龍神舎脇を抜けて、箕作山へと抜ける山道を辿り、赤神山山頂を目指しましょう。
この太郎坊の魅力は、夫婦岩の威容に加えて、本来の磐座信仰を残す赤神山にこそあると言えます。

伊吹山から琵琶湖までが一望できる赤神山山頂

伊吹山から琵琶湖までが一望できる赤神山山頂

写真:ナツキ

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龍神舎よりは、ところどころにしるされている目印をたどって行くと徒歩30分ほどで赤神山の頂上に達します。
巨石累々たる岩山の頂上からは、湖東平野部の彼方に伊吹山から琵琶湖までが一望できます。
京と東国を結ぶ主要街道の中仙道のほど近くにそびえるこの山は、旅人の目にはとりわけ異様に写ったと思われ、この神域を守護するという太郎坊天狗はやがてここで修行する山伏たちの総称となったと思われます。
まさに赤神山は、その山伏たちがこの山域の方々の磐座(いわくら)で修行する姿が彷彿される凄い岩峰でした。

南面に展けた赤神山はまさに天空の城

南面に展けた赤神山はまさに天空の城

写真:ナツキ

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はるかの淡海から届く湖風に吹かれながら汗を乾かす合い間も日箭(ひや)が平野部を照射しながらゆっくりとうつろっていきます。
この小さな岩峰の魅力は、ここまで辿ってきてはじめていにしえ人と同質の感動を共有できるように思われます。

湖東とは言え、ローカル線に乗り換え、平野部深く分け入らないと赤神山は視界に入ってきません。それだけに、都会人にとっては思いがけない拾い物をしたような心に残る旅となるでしょう。

写真の下部にみえる小山は、箕作山系の最東南端の紅粕山。

最後に

大阪・京都方面からこの太郎坊宮を目指す旅の楽しみは、近江八幡駅から乗り継ぐ近江鉄道八日市線にもあります。
ローカル線の旅では、乗り合わせる地元の人たちの表情に接し、もし可能ならひと言・ふた言、言葉をかわすと良いでしょう。
一生すれ違うことのない人たちと出会い、同じ時代に生き、同じ青春を享受し、同じ哀歓を湛えながら、同じ地続きの世界の両端に生きているということが実感できるのもこうした旅ならではのことです。

時間に余裕があれば、湖東の都会・近江八幡か、ここから更に奥の八日市まで足を伸ばし、旅先の土地の人情にふれましょう。

また、近畿圏の人なら始発のJRに乗れば、湖の孤島・竹生島と陸の孤島・太郎坊の二つの強力なパワースポットを日帰りで旅することもできます。JR西日本発売の四季おりおりのワンデー・パスを活用すれば、格安の旅も可能かも。是非トライしてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/02/11 訪問

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