今夜のお宿は宿坊で! 高野山で精進を体験

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今夜のお宿は宿坊で! 高野山で精進を体験

今夜のお宿は宿坊で! 高野山で精進を体験

更新日:2013/03/06 18:27

SHIZUKOのプロフィール写真 SHIZUKO 舞台演出者

高野山は、約1200年前に弘法大師によって開かれた真言密教の修行の場であり、総本山の金剛峰寺がある聖地です。2004年には『紀伊山地の霊場と参詣道』として世界遺産に登録されました。山内には117箇所もの寺院があり、その約半数の52箇寺が宿坊を兼ねています。近代的なホテルではなく、宿坊に泊まって、精進料理や瞑想などの日本の仏教文化を体験する旅はいかがですか。

宿坊体験の心得

宿坊体験の心得

写真:SHIZUKO

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宿坊というと、お寺。「なんだかちょっと怖そう…」とか、「規則が厳しそう」と思われる方も多いかもしれません。でも、それは思い込みです。訪ねてみれば、お寺の方はとても親切に旅行者を迎えてくれますからご安心を。

とはいうものの、近代的なホテルではないし、宗教施設なので、そこに滞在することそのものが修行の一環とみなされますから、普通の旅行のような気楽なものとは少し違います。

建物も、場所によっては、隙間風が冷たく、冬にはとても寒い体験をすることもあるかと思います。また、部屋はふすま一枚で仕切られていたりして、隣の部屋の方への配慮も必要でしょう。でも、その経験こそが普段の生活では体験できない貴重なものですから、丸ごと受け入れ楽しむ心で伺ってください。

今回お世話になったのは『遍照光院(へんじょうこういん)』というお寺。

白川上皇が高野山に参詣するたびに滞在したという由緒正しいお寺です。立派な門は、京都御所の東側にある建春門と同じ造りだそうです。

宿坊の廊下の冷たさと部屋の暖かさ

宿坊の廊下の冷たさと部屋の暖かさ

写真:SHIZUKO

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高野山は、標高およそ900m。夏は涼しく、冬は厳しい寒さ。

夏には、関西の小学校から多くの子どもたちが林間学校で訪れる定番研修地。小学生だけでなく、涼しさを求めて多くの人で賑わいます。そんな賑やかな季節もいいのですが、人の少ない冬の高野山は大人の季節。厳しさの中で自分と向き合うことができる格別の時。だからこそ、出かけてもらいたいと思うんですが、訪ねるならそれなりの覚悟が必要。

お寺の施設ですから、天井は高く、玄関は開けっ放し。廊下は外と同じ気温です。3月に入っても雪の降る日もあります。

寝室となる各部屋には、ちゃんと暖房もありますからくつろげますが、食事場所に向かう時、お風呂に向かう時、廊下の冷たさ・寒さはかなりのものでした。でも、これも宿坊に泊まった修行体験ですから、暖かな個室にこもりきりにならずに、お寺の中を歩いてみて下さい。

お寺のあちこちで、若い修行僧の方々が、冷たい廊下を裸足で宿泊者のために色々働いてくださってます。そのキビキビした動きを垣間見るのも、楽しい時間になると思います。

阿字観(あじかん)・写経・朝の勤行

阿字観(あじかん)・写経・朝の勤行

写真:SHIZUKO

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せっかく宿坊に泊まるんですから、阿字観(あじかん)・写経・朝の勤行の3つは、ぜひとも体験してもらいたいと思います。

まず『阿字観』。私の理解できている範囲で要約すると、真言密教の修業の中核をなす瞑想法。まず、月光の書かれている掛け軸の前で心を整えスタートします。梵字の一番初めの字『阿』を心に描き、世界と自分は一体であるということを感じようとするもの。作法にのっとり、静かに目を閉じていても、雑念を払うだけで精一杯、とても世界を感じるには至らなかったのですが、でも15分間じっと自分自身を見つめようと努力したあとは、清清しい気持ちになれました。

このあとに『写経』を体験。写経は、現在では『般若心経』を書き写すことを指すことが多く、和紙に薄く書かれている般若心経の文字を、筆で上からなぞって書き上げていきます。262文字を、一文字ずつ心をこめて書き写していくと、これまた書き終えた時には心がスッキリします。

そして、早めに寝て、朝6時からの勤行に参加させてもらいましょう。広い本堂の早朝は、身も引き締まる寒さ。観光客用にストーブはたかれていても、息は白い。眠気も一気に覚めます。住職の快い読経の声が心に染み入りました。

勤行のあとは、本堂にある重要文化財・快慶作の阿弥陀如来像などを住職さんの解説ととも、鑑賞させていただきました。

心づくしの精進料理

心づくしの精進料理

写真:SHIZUKO

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宿坊ですから、食事は夕食・朝食共に精進料理です。

『精進料理』とは、獣類を一切使わずに、野菜や豆類を見事に調理して、さまざまな味や食感を楽しませてくれる料理のこと。主に寺料理として独自の発展を遂げ、春夏秋冬の季節感を大切にし『五法・五味・五色』を厳しく守って献立されています。

『五法』とは、生物・煮物・焼き物・揚げ物・蒸し物の五つの調理法のこと。『五味』は、塩・醤油・砂糖・酢・香辛料のこと。『五色』は、赤・青・黄・黒・白のことです。

真言密教では、食事そのものも修行の一つなので、食を楽しむというと語弊がありますが、観光客にとっては旅の大切な楽しみのひとつ。素材の味わい、旬の彩りあふれる精進料理がお膳に並んでいるとワクワクします。

パッと見は海老かと思う天麩羅は人参だったり、お刺身かと思うとこんにゃくだったり。名物の胡麻豆腐は、胡麻の香りがとってもよくて、滑らかな舌触りも最高でした。アルコール類も出してもらえますから、静かながらも楽しい食事を楽しむことが出来ました。

高野山の各宿坊では、精進料理の昼食を提供しているところも多いので、高野山に行かれる際には、ぜひ食べてみてください。

宿坊選びは、それぞれの個性を重視

宿坊選びは、それぞれの個性を重視

写真:SHIZUKO

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52箇所もある高野山の宿坊。いったいどうやって選べばいいの、とお悩みになる人も多いでしょう。

仏教に帰依している人にとっては、地元のお寺に縁のある宿坊があることが多いので、その縁続きであまり悩まずに選べるのでしょうが、そうじゃない人は、それぞれのお寺が持っている宝物や部屋の設備、食事、または見たい観光地までの距離などで選ぶのが妥当でしょう。3箇所ほど泊まりましたが、どの宿坊もそれぞれに味があり、はずれはなかったです。

遍照光院に泊まったのは3月。春はもうそこまで来ているというのに、大雪になってしまった訪問日。

足先も凍りそうに冷たい朝でしたが、雪が積もる中庭は、とても風情がありました。こちらの庭は、回遊式庭園。鎌倉時代の貴重な多重塔・鎌倉十三石塔があり、県の重要文化財に指定されています。

ガラス越しに見るだけでも、その美しさにうっとりします。

雪の宿坊体験は、厳しい修行の一端を垣間見られたようで、いい経験になりました。また別の季節にも行ってみたくなる、奥深い高野山。皆様もぜひ、行ってみてくださいね。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2012/03/11−2012/03/12 訪問

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