宿場町の面影を色濃く残す価値ある町並み 木曽・奈良井宿

宿場町の面影を色濃く残す価値ある町並み 木曽・奈良井宿

更新日:2013/06/21 18:24

高橋 しゅうのプロフィール写真 高橋 しゅう 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
奈良井は長野県塩尻市の南部の木曽地方に位置し、江戸時代には中山道の宿場町として賑わいを見せた町です。同じ木曽路の妻籠や馬篭と並び、現在も往時の面影を色濃く残す宿場の町並みは魅力的で、多くの観光客が訪れています。
奈良井はかつて「奈良井千軒」と言われ、約1kmにわたり宿場の町並みが続き、その規模は日本最長を誇っています。
その規模と見応えのある景観は、一度は訪ねてみる価値があると思います。

旧中山道沿いに長く続くかつての宿場町

旧中山道沿いに長く続くかつての宿場町

写真:高橋 しゅう

地図を見る

江戸と現在の滋賀県草津を内陸部を経由して結ぶ中山道は、かつて江戸時代には東海道等と並ぶ全国の主要街道の一つでした。現在も奈良井地区には長野県と愛知県を結ぶ国道19号線が通り、木曽路の重要な街道としての役割を果たしています。

奈良井へは、車の場合は松本方面または名古屋方面からこの国道19号線を走って来ることになります。奈良井宿周辺の駐車場や道の駅 奈良井木曽の大橋に車を駐車してから観光するとよいでしょう。
鉄道の場合は、JR中央本線の奈良井駅が奈良井宿への玄関口となっており、アクセスも便利です。

鉄道では名古屋から特急と普通列車を乗り継いで約2時間半程度、松本からは普通列車で約50分、車の場合は名古屋からは中央道伊那インターチェンジを利用して約3時間、松本からは一般道で約1時間15分程度で行くことができます。

鉄道と車のいずれの場合も宿場町の中はのんびりと徒歩での観光となります。(町並みへ観光客の車の乗り入れは制限されています。)

写真の案内図にありますように、町並みは車の往来の激しい国道から外れた旧中山道の一本道に沿って長く続き、道沿いには民宿や土産物店、飲食店、名産の木曽漆器を扱う商店や資料館等の建物が多く並んでいます。

尚、道の駅に隣接する総檜造りの「木曽の大橋」も日本有数の大きさの太鼓橋で押さえておきたい見どころです。

往時の面影を色濃く残す町並みが続きます。

往時の面影を色濃く残す町並みが続きます。

写真:高橋 しゅう

地図を見る

奈良井の魅力は、江戸時代にタイムスリップしたかのような時代を感じる景観と、その町並みが長い距離にわたって続いていることです。通り沿いには観光客向けの商店も並びますが、華美な装飾や看板は無く、景観に配慮した造りとなっている為に、とても趣きがあります。

また、商店だけではなく同様な造りの民家が多く点在し、観光客向けに飾られた町並みではなく、生活感があることも魅力の一つとなっています。

町並みの保存と景観の整備は昭和43年にスタートし、昭和53年には国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、全国的にも町並み保存運動の先駆けとなっていたそうです。

近年はこの景観を活かして、平成23年4月から半年間放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「おひさま」のロケ地の一つともなりました。

町の風景に溶け込んだ水場も魅力の一つです。

町の風景に溶け込んだ水場も魅力の一つです。

写真:高橋 しゅう

地図を見る

町並みの中には、豊富な湧水が流れる水場が点在し、ここに暮らす方の生活用水や、防火用水の役目も果たしています。

観光客も自由に利用することができますので、散策の途中で乾いた喉を清らかな湧水で潤すのも良いと思います。

木造りで組まれた水場は町並みにも溶け込んでいて、風景のアクセントにもなっています。

木曽は漆器の生産地 漆器店も点在しています。

木曽は漆器の生産地 漆器店も点在しています。

写真:高橋 しゅう

地図を見る

周囲を山々に囲まれた木曽は、木材が豊富な土地で林業と共に、古くから漆器の生産も盛んな土地で、江戸時代から中山道を往来する旅人を相手に販売をしていました。

現在も木曽地方は漆器の生産地として全国的にも有名な土地です。奈良井宿の中にも木曽漆器を扱う店舗が点在し、ここが漆器の生産地であることを知ることができます。

手軽なものから高級な工芸品まで様々な漆器がありますが、箸や食器や小物等は、自宅用やお土産品としても旅の記念に最適です。

また、奈良井に隣接する木曽平沢は特に漆器生産が盛んな地域で、町中には多数の漆器店が軒を連ねています。ここも重要伝統的建物群保存地区に指定され、奈良井と併せて一見の価値がある町並みです。

中村邸で江戸時代の町家の内部を見学

中村邸で江戸時代の町家の内部を見学

写真:高橋 しゅう

地図を見る

1kmに及ぶ町並み歩きは見応えがあり、町を歩いているだけでも楽しいのですが、折角ならば建物の中を見学したいものです。

奈良井駅から約1km程の場所に建つ中村邸(写真右側の建物)は、天保年間(1830〜1843年)に建てられた邸宅で、一般公開されている内部にある囲炉裏や座敷、調度品や建物の造りを見ながら、奈良井の伝統的な町家を知ることができます。

他にも町並みの中程には、古い建物を利用した奈良井会館(観光案内所)があり、建物の中に少し入ることが出来ます。

また、町家をそのまま利用した昔ながらの構えのお店もたくさんありますので、散策しながら立ち寄るのもいいですね。
ゆったり滞在を楽しみたい方は、古い建物を利用した民宿に泊まるのも良いかと思います。


中村邸

営業時間:午前9時〜午後5時(4月〜11月)
     午前9時〜午後4時(12月〜3月)

定休日 :4月〜11月は無休。12月〜3月は毎週月曜日(祝日の場合は翌日)

入館料 :大人300円、中学生以下無料

アクセス:奈良井駅より徒歩12分(約1km)


奈良井宿はとても趣きのある落ち着いた町並みで、規模が大きいので見応えがあります。タイムスリップしたような景観の中を、往時に思いを馳せながらゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか。また木曽路には他にも馬籠や妻籠に代表されるように、かつての宿場の町並みが残っていますので、旧中山道に沿って宿場町をたどる旅も面白いと思います。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/02/19 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -