築100年!新潟・明治時代のレトロな映画館「高田世界館」

築100年!新潟・明治時代のレトロな映画館「高田世界館」

更新日:2015/03/23 14:20

北陸新幹線「上越妙高駅」から2駅の「高田駅」。有名なのは高田城周辺の桜ですが、意外と知られていないのが周辺にあるレトロな建造物たち。そんな中でもオススメなのが築100年以上の映画館「高田世界館」です。建物としても見応えがあり、さらに映画も鑑賞できる!こんなスポット、なかなかありませんよ!

現役最古級の映画館はひっそりと街中に佇む。

現役最古級の映画館はひっそりと街中に佇む。
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この映画館は1911年(明治44年)に芝居小屋として始まったもので、建築年が判明している映画館としては現役最古の物です。
(正確な建築年の判明していない建物だと、高田世界館より前の建築物として長野県の映画館があるので「現役最古級」なんて変な表現になることも。高田世界館は登録有形文化財に登録されている築100年以上のすごく古く貴重な映画館です)

高田世界館のある高田市内は雪避けの為に雁木造(歩道に屋根があるというイメージ)の街並みになっています。屋根があるので建物の全景を掴みにくいのですが、世界館はさらに奥まった所にあるのでひっそりと街の中に佇んでいます。

立派な天井。スクリーンの前には舞台。これは本当に映画館?

立派な天井。スクリーンの前には舞台。これは本当に映画館?
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中に入るとチケット売り場があったり、小さなロビーがあったり、それなりの年齢の人には懐かしく感じるような世界が広がります。
さらにそこを抜けて劇場内へと足を進めると、そこからが高田世界館の特に凄い所で、普通の映画館とはまるっきり異なる空間になります。
それは天井が高く美しく2階席まである事。そしてスクリーンだけでなく舞台がある事。さらには映画館なのに窓が付いている事。

これらはこの映画館が元々は映画の為ではなく、芝居小屋(今の劇場)として作られたから。その後に映画館となるのですが特別な改修などもせずに運営してきた事によってほぼ建設当時の姿のままで今も残る事になったのですね。

映写室も見学できる映画館。

映写室も見学できる映画館。
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高田世界館は映画館ですから、映画を上映している状態が普通といえます。映画を上映していない時や、上映の合間などに館内のみの見学が可能です。さらに映写室と呼ばれる部屋の中もタイミングが良ければ見学する事ができます。

映写室というのは映写機が置かれた部屋の事で、この部屋の見どころはやはり映写機でしょう。巨大な映写機が2台置かれていて、さらには床には鉄板が置かれている。映写機の前には小さな小窓が設置されている点も、映写室ならではの部分で見逃せません。

映写機にはフィルムが設置され上映される事になるのですが、映写機1台で1度に流せるのは僅か20分ほど。その為2台の映写機が必要になるのですね。1本の映画を上映する為には何度もフィルムの交換作業が行われるのです。

鉄板にも歴史を感じる事ができます。映画はフィルムに光を透過させ映像をスクリーンに映すわけですが、その際かなりの高温になります。昔のフィルムはとても燃えやすい素材でできていた為に、映写技師というのは国家資格だったのです(近年は耐久性の向上した素材の為にバイトの人でも上映する事が可能になっています)。

火の付いたフィルムが床に落ちたら火事になってしまうかもしれないので、燃え広がらないように鉄板になっているというわけです。
博物館などで映写機を見る機会はあっても、仕事の現場そのものを見る機会は滅多にないと思うので必見です!

名作映画を堪能する。

名作映画を堪能する。
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高田世界館は映画館です。建物も十分に素敵ですし、建物だけを見学しても十分に楽しめますが、映画の上映会も実施されているので、映画好きの方は映画も楽しみましょう!
前項でも触れましたが、映写室があり映写機がある高田世界館。という事はフィルム作品が上映できるという事です。それは昨今の映画館ではなかなか体験できないものになりつつあります。

というのも、現在では日本にある映画館は、ほぼデジタル化していると言ってよい状況になっています。フィルムの場合はフィルムを作る作業や、保管も大変だったり、映像や音声の劣化という問題もあります。一方のデジタルはデータを流すだけなので品質は一定です。ですがフィルムの上映というのは味のある世界感だったりします。ちょっと音が飛んだり、埃の影が映ったり。そんな部分も人間味があって良いものです。

ちなみに上映作品の全てがフィルムではなく、デジタル作品も上映できる劇場なので、どうしてもフィルム作品が見たい方は要確認です。

旅先でゆっくり映画を鑑賞するのも乙なものです。

忙しい日常生活から一瞬の間でも解き放ってくれるのが旅の魅力の1つかと思います。それは非日常とも言えるのでしょうけれど、そんな世界がここ高田世界館にはあります。

決して綺麗な建物ではありません(トイレは綺麗に新しくなったのでご安心を)。ショッピングセンターに入っている映画館のように最新作が観られるわけでもありません。
空襲の被害が無かったからこそ残っている古い町並み独特のゆっくりとした空気感の中、名建築の中で名作映画を堪能する。そんなひと時、オススメです!

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/03/06 訪問

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