風立ちぬの舞台!軽井沢「万平ホテル」の滞在を満喫する方法

風立ちぬの舞台!軽井沢「万平ホテル」の滞在を満喫する方法

更新日:2021/06/18 18:05

藤田 聡のプロフィール写真 藤田 聡 温泉研究家、紅葉ガイド
万平ホテル(長野県軽井沢町)は、創業約130年のクラシックホテル。日光金谷ホテル、箱根富士屋ホテルと合わせて「御三家」と呼ばれます。
スタジオジブリのアニメ映画「風立ちぬ」の舞台、「草軽ホテル」のモデルの一つと言われ、小説「風立ちぬ」の著者・堀辰雄も滞在。本館のアルプス館128号室は、ジョン・レノンが滞在した事で知られます。宿泊はもちろん日帰りでも満喫出来る、軽井沢を代表する観光名所です!

万平ホテルの名物!ジョンレノン直伝のロイヤルミルクティーが美味

万平ホテルの名物!ジョンレノン直伝のロイヤルミルクティーが美味

写真:藤田 聡

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万平ホテルは、明治27年(1894年)に亀屋ホテルとして創業。約130年の歴史を誇るクラシックホテルです。ただし、これは西洋式ホテルとしての創業年で、亀屋自体は旅籠として1764年に創業したので、宿の歴史は250年以上に及びます。

明治時代には東郷平八郎、大正時代には室生犀星や堀辰雄、昭和には三島由紀夫やジョン・レノンなど、多くの著名人に愛され続けてきました。現在のアルプス館は昭和11年完成で、堀氏が滞在したのは明治35年建築の旧本館。堀越二郎と堀辰雄に捧げられたジブリアニメ「風立ちぬ」に登場する草軽ホテルも、その時代の様子を描いているので、現在の外観とはあまり似ていないのが実情。むしろ、上高地帝国ホテルの方が似ているとも言われます。

しかし、小説「風立ちぬ」の最終章は、万平ホテル裏手の幸福の谷にあった川端康成の別荘で執筆されたもの。また、堀氏が後年購入した別荘も近くにあった事から、草軽ホテルのモデルが万平ホテルである事は、まず間違いないと思われます。

万平ホテルの名物!ジョンレノン直伝のロイヤルミルクティーが美味

写真:藤田 聡

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万平ホテルは、ジョンレノン一家の定宿だった事でも知られています。玄関のある本館・アルプス館128号室が愛用の部屋で、今でも熱心なファンが連日泊まりに来る程。

一階には、ホテルの歴史を紹介する史料室があり、誰でも無料で見学可能です。展示物にはジョンレノンが愛用していたピアノも。カフェやレストランを利用した際には、史料室も忘れずに拝見しましょう!

万平ホテルの名物!ジョンレノン直伝のロイヤルミルクティーが美味

写真:藤田 聡

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レストランのメインダイニングやカフェテラスは日帰りでも利用出来るので、ランチやアップルパイを食べた方も多いことでしょう。

万平ホテルの名物になっているのが、ジョンレノン直伝のロイヤルミルクティー。本場英国を思わせる深い香りが素晴らしく、一度飲めばロイヤルミルクティーが大好物になりますよ!

レストランのステンドグラスが必見!

レストランのステンドグラスが必見!

写真:藤田 聡

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万平ホテルのアルプス館は、国の登録有形文化財の伝統建築。レトロな館内の中でも、レストラン「メインダイニングルーム」の雰囲気が特に素晴らしく、「風立ちぬ」の舞台らしいノスタルジックな風情に感激出来ますよ!

美しいステンドグラスがロビーの明かりで光輝き、神社仏閣などで使われる最上級の格式の折上格天井(読み方:おりあげごうてんじょう)の重厚感が圧倒的。「クラシックホテル御三家」と呼ばれるのも当然と納得する風情です。

レストランのステンドグラスが必見!

写真:藤田 聡

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万平ホテルのレストランは、ランチもディナーも外来利用可能。3コースあるディナーは、味わい深い上にボリュームもあって、口コミやブログでも大好評です。

レストランは他にも、本格中国料理「萬山楼」があり、ルームサービスも可能。さらに季節限定営業になりますが、京料理の店や鉄板焼の店もあります。

レストランのステンドグラスが必見!

写真:藤田 聡

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メインダイニングルームでは、ステンドグラスが美しいのですが、レストランの中では料理に集中するので、あまりよく見られない場合も。しかし、廊下側からも見られますので、至近距離から見学しましょう。

昭和の軽井沢と江戸時代の中山道・軽井沢宿を対比させて描いたステンドグラスで、大名行列が通過する様子に、海外からの賓客も喜んだに違いありません。

バーの雰囲気が素敵!万平ホテルは夜が似合う

バーの雰囲気が素敵!万平ホテルは夜が似合う

写真:藤田 聡

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万平ホテルでは、バーも必見。クラシックな雰囲気が素晴らしい上に、豊富に揃うオリジナルカクテルの味わいが絶品です!

ノンアルコール・カクテルも様々な種類があり、味も抜群。ノンアルコールでも、こんなに美味しく出来るのかと、目から鱗が落ちる旨さです。過去に飲んだノンアルコール・カクテルとは、次元が全く違うので、驚く事間違いありません。バーの為だけに宿泊する価値すら感じる、断然おすすめのバーです。

バーの雰囲気が素敵!万平ホテルは夜が似合う

写真:藤田 聡

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ホテルのオリジナルカクテルでは、ブランデーベースの「オータムリーフ」がおすすめ。メニューでは甘口で食後向きと説明されますが、甘味、酸味、アルコール濃度など、あらゆる味覚が完璧。世界中からの賓客をもてなして来た、バーの歴史と伝統が「味覚に詰まっている」と実感し、味わいに大感激します。

好みの味を伝えて、それに相応しいカクテルを作って貰う事も可能。もちろん、ノンアルコールにも対応して貰えるので、何でも相談してみましょう。

バーの雰囲気が素敵!万平ホテルは夜が似合う

写真:藤田 聡

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万平ホテルのランチやカフェは気軽に利用出来ますが、ディナーやバーをアルコールも込みで満喫するのは、日帰りでは難しいのが実情。部屋が確保されている宿泊者ならではの楽しみ方なので、積極的に利用して満喫しましょう。

夜の館内は、レトロな風情が増しています。ロビーにさり気なく配置されている椅子や、背後の和風ディスプレイなどもライトアップされ、昼間見た時よりも一層印象的です。

部屋はウスイ館の「クラシックタイプ」がおすすめ!

部屋はウスイ館の「クラシックタイプ」がおすすめ!

写真:藤田 聡

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万平ホテルでは、ジョンレノンも宿泊した本館のアルプス館が有名。しかし、高級ホテルらしい新しさも兼ね備えた部屋がお望みなら、新館に相当するウスイ館もおすすめです。

ウスイ館には通常客室の「書斎タイプ」の他に、アルプス館の内装を模した「クラシックタイプ」(写真)があります。

部屋はウスイ館の「クラシックタイプ」がおすすめ!

写真:藤田 聡

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ウスイ館の「クラシックタイプ」には、登録有形文化財のアルプス館の風情が取り入れられており、ベッドルームがガラスで囲われているのが特徴。リビングエリアが別になっているので、二間あるジュニアスイート気分で滞在出来ますよ。

浴槽とは別にシャワーブースを備えるなど、浴室も近代的。猫足バスタブは客室数限定なので、予約時に希望を伝えましょう。

部屋はウスイ館の「クラシックタイプ」がおすすめ!

写真:藤田 聡

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ウスイ館の「クラシックタイプ」には、軽井沢彫りの重厚なタンスもあり、軽井沢の歴史と伝統を十分感じます。軽井沢彫りとは、手彫りの彫刻を大胆に施した家具の事で、軽井沢に最初に別荘を建てた外国人にも好評でした。

小さなタンスですが滞在が進むにつれて存在感が増し、翌日には部屋の主と感じられるのが不思議。アルプス館の部屋にもあって、ジョンレノンもお気に入りであったと伝えられています。

万平ホテルには他にも、アタゴ館、別館、コテージと様々なタイプがあるので、予算に応じた部屋を選択出来ます。

朝食後は「幸福の谷」を散策してハッピーに!

朝食後は「幸福の谷」を散策してハッピーに!

写真:藤田 聡

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普通の宿なら朝食後は帰るだけですが、万平ホテルの優雅な滞在は、これからが本番。チェックアウト時間は11時ですが、大混雑の夏休み以外なら、フロントに申し出て車を停めたままにして、至近距離にある旧軽井沢の観光を徒歩で満喫出来ます。

緑豊かな林間に点在する別荘の様子を拝見しながら、ゆっくり歩けば、旧軽井沢までは散歩に調度良い距離。周囲を注意深く観察すれば、野生のリスも発見出来ますよ。

朝食後は「幸福の谷」を散策してハッピーに!

写真:藤田 聡

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万平ホテルの裏手は、外国人宣教師に幸福の谷(ハッピーバレー)と名付けられたエリア。堀辰雄が小説「風立ちぬ」を執筆した川端康成の別荘があった場所で、実はジョンレノンの妻・オノ・ヨーコさんの別荘もあります。(小野家別荘は非公開)

ホテルの南側には堀辰雄の最後の別荘があった場所があり、周辺の道は「堀辰雄の径(みち)」(別名:フーガの径)と呼ばれます。付近にはサナトリウムレーン(ささやきの小径)もあり、周辺の様子は堀辰雄の小説「美しい村」などの作品に描写されています。

数々の歴史に彩られた緑豊かな道を散策すれば、本当に気分がよくなり、まさにハッピー。「朝食後の軽井沢散歩」こそが、万平ホテル一番の想い出になるに違いありません!

軽井沢「万平ホテル」の周辺には、堀辰雄の足跡が他にも!

軽井沢万平ホテルは、ジョン・レノンが愛用した事で知られます。1977年から1979年まで、毎年夏になると1ヶ月位軽井沢に滞在しました。しかし、1980年には音楽活動再開の為に来ることができず、その年の末には凶弾に倒れてしまいました。

一方、アニメ「風立ちぬ」のモデルであり、小説「風立ちぬ」の筆者でもある堀辰雄は、大正12年(1923年)に室生犀星とともに軽井沢を訪れます。室生犀星の別荘は、室生犀星記念館として現存。グリーンシーズン限定で、無料で公開されています。

それ以降も頻繁に軽井沢を訪れ、万平ホテルにも滞在。隣町の追分宿で出会った奥さんと結婚後は、多数の別荘を借りたり、購入したりしました。このように軽井沢には非常に縁がある小説家で、「風立ちぬ」以外にも、「美しい村」「ルウベンスの偽画」「聖家族」など、軽井沢を舞台にした作品を多く残しています。

万平ホテルの南側にあった堀辰雄最後の別荘・1412番山荘は、塩沢湖に近い「軽井沢高原文庫」内に移築され、公開。最後に住んだ追分の旧居は、堀辰雄文学記念館として公開されています。

なおスタジオジブリのアニメのモデルと噂される場所は、四万温泉にもあります。別記事で詳細に紹介しましたので、是非ご覧下さい。(記事最後の「この記事の関連MEMO」の中に、別記事へのリンク集があります)

掲載内容は執筆時点のものです。

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