更新日:2015/03/24 14:59
江戸時代の山代温泉は、総湯(共同浴場)を中心に宿が立ち並び、街を構成していました。総湯は四角い広場の中心にあって山代温泉のシンボル的存在。この中心地を湯の曲輪(ゆのがわ)と呼びますので、これから旅行される方は覚えておくと便利な言葉です。
現在は総湯は湯の曲輪に隣接する旧吉野屋の敷地に移転して営業中。そして、賑わっていた明治期の総湯を復元した「古総湯」が、2010年10月に総湯があった場所に復元されました。
明治期の総湯を復元した「古総湯」は、外観や内装だけでなく「湯あみ」という温泉に浸かって楽しむだけの当時の入浴方法も再現した共同浴場で、観光客が昔の山代温泉の雰囲気を楽しめる施設として人気です。
総湯ではシャンプーやせっけんの利用が可能ですが、「古総湯」は昔ながらの「湯あみ」を楽しむ施設ですので、これらの使用が禁止されています。
古総湯へ一歩足を踏み入れると、自然木の良い香りに癒されます。そして浴場へ通されます。浴場の一部が脱衣場になっていて、こういうスタイルを知らない現代人は少し戸惑うかもしれませんね。タイルは九谷焼、天井は漆塗り、窓は九谷五彩のステンドグラス。なんとも贅沢な共同浴場。
この浴場で筆者がおすすめする特等席はステンドグラスと対角線の角。ここに体を浸けると、ステンドグラスから差し込む光が湯船に映り、体中が九谷五彩の光につつみこまれるかのような神々しさが味わえます。そのうえ運良く誰もおらず貸切状態だったりすると、まさに天国です。
写真:東郷 カオル
地図を見る「古総湯」には2階に休憩処があります。女性側・男性側の浴場から別々に階段を上がって行き、女性用・男性用の休憩処に出るのですが、一部でつながっていますので全くの男女別というわけではありません。
休憩処は清潔感があり、無料のお茶も用意されています。壁面は浴場と同じく九谷五彩のステンドグラスで外の光を室内に美しく取り込んでいます。木の香りも心地よく、いつまでも長居したくなる休憩処です。
写真:東郷 カオル
地図を見る「古総湯」の2階の休憩処では、近くのカフェから出前を取ることができます。出前とは言ってもお蕎麦やラーメンなどではなく、お風呂あがりに嬉しいジェラートです。携帯から電話をかけ、しばらくすると商品をお届けにきてくれるので、その場でお支払をします。一つからでも快く出前をしてくれます。
山代温泉の最寄駅はJR加賀温泉駅。このあたりは温泉の激戦区で、すぐ近くには山中温泉、片山津温泉、粟津温泉があります。その中で山代温泉は街のシンボルの「総湯」を移設して「古総湯」を復元するという試みに出ました。タブーとされていた“街のシンボルの移設”を乗り越えて、観光客の増加という成功をおさめています。そんな元気のある山代温泉で、是非明治期の「湯あみ」を楽しんでみてください。
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この記事を書いたナビゲーター
東郷 カオル
国内外のラグジュアリーホテルを中心に、オトナ女子のおひとりさま旅、女子旅を提案。"癒し系"ではなく、私自身の"癒されたい系"の目線から、忙しく毎日をがんばる女性…
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