写真:bow
地図を見る多くの観光客が訪れる嵐山。その中心部にある通称嵐電(らんでん)と呼ばれるローカル電車の嵐山駅は京都市内中心部へ向けての始発駅。いつもホームには出発を待つ電車が待機しています。そんな嵐山駅には夕方、ちょっと他の駅では見られない光景が。実は、毎日決まった時間に乗ることができない変わった電車がやってくるのです。
ホーム案内の電光掲示板をよく見ると行先表示の場所に「ヤマト運輸専用」の表示が出ています。しかもご乗車になれませんとの案内も。初めて訪れた人にはなんとも謎めいた存在の「ヤマト運輸専用」の電車を紐解いていきます。
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地図を見る謎の電車はクロネコヤマトのロゴマークがついたヘッドマークを掲げています。乗車することはできませんが、乗りたい気持ちを押さえつつ、その電車を観察していると・・・。なんと、乗り込んだのは荷物!ヤマト運輸の集配用のコンテナだったのです。嵐山にやってくる謎の乗れない電車は、ヤマト運輸の配達区間を一部電車にて輸送しているものだったのです。
実はこれ、「モーダルシフト」と呼ばれる貨物輸送の転換の一例。従来トラックによって嵐山地区と物流ターミナルを結んでいましたが、その部分を嵐電を使って荷物を輸送しているのです。ヤマト運輸では、以前から物流ターミナル間での鉄道輸送を行っていましたが、物流ターミナルと営業所との間で「モーダルシフト」を行うのは嵐山が初!ちなみに嵐電は京都で唯一の路面電車。このように路面電車を宅配サービスに利用した例は全国でも初めてなのだそう。
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地図を見る荷物だけが乗った、ヤマト運輸専用電車。本当に誰も乗せないのか実際に追跡してみると、本当に誰も乗せずに淡々と荷物を運んでいきます。そして最後にはトラックへと荷物を乗せ換えて終了。
このように従来トラック輸送をしていた区間をまるまる電車での輸送にしたことで、嵐電沿線で集配に伴うCO2の削減量はなんと30%にものぼるそうです。環境保全以外にも、渋滞緩和などの波及効果も。更に嵐山地区では電動自転車や電気自動車を用いた集配を行っており、この取り組みは高く評価されています。そして平成26年には「平成26年交通関係環境保全優良事業者等大臣表彰」として国土交通大臣から表彰を受けたのです。
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地図を見る嵐電の嵐山駅は改札口が廃されていて、電車に乗る人以外もホーム内に自由に立ち入りができる珍しい駅です。ホーム内にはカフェやバルなどいろいろな店舗が立ち並んでいて、足湯まであるのです。
そして、ホームにはこれまた珍しいヤマト運輸の店舗も。ここでは普通に荷物の発送ができ、集められた嵐山地区の荷物が「ヤマト運輸専用電車」に乗って運ばれていくのです。また、ここから嵐山地区へと配送される荷物もトラックを使わずに自転車などで配達されており、集荷から配達までECOに取り組んでいるのです。
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地図を見るこのヤマト運輸の貸切荷物電車。決して乗ることが出来ないとご紹介しましたが、実は乗る方法があるのです!夕方は嵐山から市内方面へ向けて荷物を乗せて走るのですが、早朝は市内方面から嵐山に荷物を運んでいます。
ちなみに朝は通勤時間帯ということもあり、連結して2両で走っていて、往路はその片方が荷物専用車両となっています。しかし復路は貸切電車ではなく荷物を下ろした状態になり、クロネコのヘッドマークをかかげていますが、乗ることができる普通の電車として走っているのです。さすがに荷物と一緒には乗ることはできませんが、鉄道ファンにとっては面白い体験かも!?
もう一度おさらいをしておきますと、クロネコヤマトのヘッドマークが付いた電車が走っているのは平日の早朝と夕方の2回。朝は市内中心部から嵐山へ向けて。夕方は嵐山から市内中心部へ向けて走ります。
2016年7月現在、乗ることのできるクロネコヘッドマークの電車は7時40分ごろに嵐山駅に到着します。7時30分頃に嵐山駅にいれば電車に遭遇、乗車することができるでしょう。
全国でも珍しい、路面電車を使った荷物の輸送サービス。おなじみのかわいいクロネコマークを付けた電車を訪ねて京都嵐山へいってみてはいかがでしょうか?
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この記事を書いたナビゲーター
bow
京都生まれ、京都育ちの生粋の京都人です。仕事で全国を飛び回り、京都の良さを再認識したため、京都の観光に携わる仕事をしています。全国を旅した経験と、観光業界に生きる人間としての視点、更には京都人ならでは…
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