若狭と京・大和をつなぐ古代幹線路〜近江高島(滋賀)の見どころ

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若狭と京・大和をつなぐ古代幹線路〜近江高島(滋賀)の見どころ

若狭と京・大和をつなぐ古代幹線路〜近江高島(滋賀)の見どころ

更新日:2015/03/31 13:39

ナツキのプロフィール写真 ナツキ きのこの文化研究家、博物学者

古代大和の経済を支えた幹線道路は、敦賀より湖西の高島までを貫く若狭街道でした。正税を大和へ運ぶ地方農民や新羅百済からの生活物資の数々が、この道を通って運ばれここから海路をとって京・大和へともたらされたのです。
比良山脈と琵琶湖の間にひろがる茫洋とした泰山寺野(たいざんじの)には、往古の賑わいの痕跡がそこここにみられます。

古代敦賀〜大和をつなぐ 湖岸のウォーター・マーク白鬚神社

古代敦賀〜大和をつなぐ 湖岸のウォーター・マーク白鬚神社

写真:ナツキ

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若狭街道が琵琶湖と出会う終着地点が、JR高島駅周辺の勝野集落です。この駅のやや西の乙女ケ池が古代の津(みなと)でここから海路をとって平城京、紫香楽、平安京へと遠くは朝鮮半島、近くは裏日本の幸が運ばれました。

現在では、その乙女ケ池のやや南の湖水に水漬く白鬚神社の鳥居がかつての賑わいを伝えています。
この湖水をにらむ古社は全国各地に点在する白鬚神社の総社で、坂本の日吉大社より古く、祭神は猿田彦命とされますが、元来比叡山の地主神でした。白鬚神社は新羅の転訛したもので、古くは渡来系の人たちの奉じる神様だったようです。

会議は踊る 鵜川四十八体石仏群

会議は踊る 鵜川四十八体石仏群

写真:ナツキ

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白鬚神社から北へ数百メートル北に歩き、湖岸からやや山中に入ったところの草深い墓地にあるのが、鵜川四十八体石仏群です。
ドライブ旅行の人たちの大半は気づかずに通り過ぎてしまう別天地。
佐々木六角義賢(よしかた)が亡母の追善供養のため、阿弥陀四十八誓願にちなんで、高さ160cmの48体の丸彫りの阿弥陀仏を奉じたものです。このうち13体は坂本の慈眼寺に納められ、後の2体は盗難にあって、現在は33体になっていますが、この林中の空地にドッテコドッテコ様々な表情の阿弥陀仏が並んで円卓会議を開いているさまはなんとも微笑ましく、思わず酒盛りでもしたくなる雰囲気が漂っています。

見事な日本庭園が広がる水尾神社

見事な日本庭園が広がる水尾神社

写真:ナツキ

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JR高島駅から比良山方面へ10分ほどあるいた水尾川のほとりには、神社とは思えないほど開放的な水尾(みずお)神社があります。
それもそのはず。群集墳の拝戸古墳群のある境内に続く裏山を借景にして、純日本庭園の「水尾庭園」が平成8(1996)年に築かれ、野仏や墳石を配してとても美しく、およそ神社の様相を呈していないからです。

しかし、祭神は第11代垂仁天皇の皇子で三尾君・羽咋君の祖・磐衝別命(いわつくわけのみこと)と第26代継体天皇の母・振姫(ふりひめ)とされる比盗_(ひめがみ)で天皇家の神紋十六葉菊を戴いています。

安曇川中の石仏が一堂に会する玉泉寺の庭

安曇川中の石仏が一堂に会する玉泉寺の庭

写真:ナツキ

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水尾神社のやや下手から真っ直ぐ北に延びる農道を鵜川を越えて途中の神社・小祠を覗きながら小1時間も歩くと山際の集落に至り玉泉寺に行きつきます。
聖武天皇の勅命で行基が開基したと伝えられる古刹の境内は、鵜川石仏群と同じ石工集団が刻んだと思われる五智如来はじめ層塔・石塔・盗難にあった2体の阿弥陀仏がここに安置されたのではないかと訝っても不思議でない同様式・同大の阿弥陀仏2体が居並んでいます。

しかし、もっとすごいのは本堂から山裾にそって開かれた墓所。ここには安曇川中から集められたと思しき野仏が墓地の空間を埋め尽くしているのです。
そしてその中心をなす石仏が室町期の高さ140cmの六地蔵と馬頭観音、十一面観音、如意輪観音、不空羂索菩薩、下半身が折れ損じている千手観音です。
この高台の墓地からは泰山寺野が一望でき、ここだけでもたっぷり1日退屈せずに過ごせそうな心地よさで満ちています。

花椿の藪の下で密かに息づくツバキノキンカクチャワンタケ

花椿の藪の下で密かに息づくツバキノキンカクチャワンタケ

写真:ナツキ

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ここでは境内の椿の樹下でツバキのキンカクチャワンタケを見つけました。
去年散った椿の花の子房(花の付け根の膨らんだ部分)を栄養源にして翌年の春から夏にかけて人知れずきのこをつくります。さほどめずらしいきのこではありませんが、寺社を訪ねた際に、ツバキの木立があると、その下あたりの饐えて土に還りつつある花椿をほじくると出てきます。
これを見つけたときの喜びは、神社や寺のみくじを引くよりはるかに満足感が得られますのでぜひお試しあれ。

ここで1日過ごしてもよいのですが、もし気分に余裕のある方は1町ほど北の阿弥陀山全体を社域とする郷社・田中神社をのぞきましょう。

この神社は、9世紀後期の貞観年間の創建と伝えられ、素戔嗚命を祭神としていますが、ここが有名なのは、裏山の田中王塚古墳が発見されたことによります。
現在この地は継体天皇の父・彦主人王(ひこうしのおおきみ)の墳墓に比定され、宮内庁の安曇陵墓参考地に指定されています。

おわりに

近江高島から安曇川にかけてひろがる沖積平野(泰山寺野)は泰山寺大根で有名ですが、この地は日本の歴史の生き証人である寺社が目白押し。
徒歩でもレンタサイクル利用でもたっぷり1日かけて巡れば身も心も爽やかにリフレッシュできます。
高島駅から白鬚神社へは駅前の近江タクシーを利用すれば便利です。

おすすめのコースは、
白鬚神社〜鵜川四十八体石仏群〜乙女ケ池〜高島城跡〜水尾神社。
そこからJRで1駅北の安曇川駅で降り、徒歩またはタクシーで玉泉寺〜田中神社へ。
あるいは高島から安曇川の1駅の間にある神社・小祠を巡りながら行っても1時間余りですべて網羅できます。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/03/08 訪問

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