鳥取と言えば、やはり鳥取砂丘でしょう。東西16キロメートル、南北2キロメートルの砂の丘では、波状に模様を描いた風紋、すだれ模様になった砂簾(されん)に、砂の浸食によって生まれる砂柱など日本でそうは見られない風光が楽しめます。
風紋は一定の風があれば生まれます。沿岸のため海風が強く、その点はあまり心配には及びません。それよりも肝要なのは、他の見学者に負けないよう、できる限り朝早く訪れること。風紋の大敵は足跡です。一番乗りができれば、誰かに風紋を壊される心配はありません。
早朝に訪れたなら、第二砂丘列(馬の背)の海に近いポイントを中心に探せば見つかるはずです。風紋を景気付けに鳥取観光を始めましょう。
ちなみに、砂丘はJR鳥取駅から北へ約7キロの位置にあります。日中にはバスが運行していますが、早朝は足がありません。車が無ければ、砂丘付近のホテル「砂丘センター」に宿泊するか、タクシーの利用をおすすめします。
ひとまずJR鳥取駅まで戻り、ここから市街観光をスタート。最初は駅から徒歩5分ほど。白壁の蔵の鳥取民藝美術館です。
鳥取における民芸運動の中心人物である吉田璋也が蒐集した民芸品が手近なところに並んでいます。奇をてらったものはほとんど無く、質感がそのまま作品の味になっているのが特徴です。これこそが民芸運動で柳宗悦、河合寛次郎、バーナード・リーチらが追い求めた「用の美」。
カップ、皿、籠、机に椅子…、普段使いの品から溢れる端整な美しさは、忘れかけていた物を大切に使う心を呼び覚ましてくれます。
料金 入館500円
営業 10〜17時
休日 水曜日、年末年始、展示替え期間
「兎追いしかの山…」で始まる『ふるさと』、「菜の花畑に入り日薄れ…」の『朧月夜』、「春の小川はさらさら流る…」の『春の小川』など多くの童謡を生み出したのは鳥取出身の音楽家たちでした。
わらべ館では、こうした童謡の伝承を行いながら、世界中のからくりのおもちゃの展示、コマやメンコで遊べるスペースを設け、昔の遊びを教えるイベントなどを行っています。昭和初期の木造校舎の教室も再現されており、子供の頃の話に花を咲かせれば、つい去りがたくなる遊びの文化館です。
料金 入館500円
営業 9〜17時
休日 第3水曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日〜1月1日
わらべ館から北東には、標高264メートルの久松山がそびえています。鳥取城跡でもあるその山腹から山麓にかけて、久松公園として整備されており、その一角に洋風建築の仁風閣が立っています。
フレンチ・ルネサンス様式を基調とする木造2階建て、白亜の本格的洋風建築です。明治40(1907)年に当時皇太子だった大正天皇のご宿舎として建築され、設計は赤坂離宮を担当したことで知られる片山東熊。文句なしの名建築。支柱の無い螺旋階段や、イギリス製のマントルピース、シャンデリアなど館内にも繊細な意匠が施されており、見るべきものは多いです。
料金 入館150円
営業 9〜17時
休日 月曜日、祝日の翌日、年末年始
光政と交代で岡山から転封になった初代藩主・池田光仲とともに市内から移ってきた寺院が観音院です。本尊の聖観世音菩薩は「出世観音」として知られています。しかし、最大の見どころは庭園になります。
庭園は池泉回遊式庭園で、池泉の奥は築山と借景の山が連続して見えるようになっており、幽邃の境が仕上がっています。池泉の中島をわざわざ亀島にしてしまうところは江戸期作庭の庭園らしい部分ですが、庭石がおおかた横石だったり、庭木も池畔に小さく、または横に広く剪定されていたりする意匠が広がりのある明るい庭園にしています。
変に意味を持たせようとしていない気性が鑑賞者には心地良いです。わざわざ難解な意味を持たせたところで、何にもなりません。「用の美」に通じるものさえ感じられてしまうのは、鳥取マジックでしょうか。庭園の管理もよく行き届いています。
料金 庭園拝観600円(抹茶付)
営業 9〜17時
休日 年末年始
因幡国・鳥取県の中心都市として約400年。文化程度は高く、久松公園から観音院にかけて城下町の面影が残り、工芸品や雑貨を売るお店には民芸運動の名残が今も感じられます。
鳥取は二十世紀梨の産地で、春には桜に少し遅れて梨が白い花を咲かせます。夏になると鳥取砂丘に近い国道でスイカの直売所が出て、岩ガキも旬を迎えます。因幡の傘踊りをアレンジした祭りで前夜祭には花火大会がある鳥取しゃんしゃん祭りは真夏の8月中旬に開催です。秋には鳥取砂丘で栽培されているラッキョウが花期を迎え、冬は松葉ガニをはじめ日本海の味覚がおいしい季節。
知れば知るほど深みの出てくる鳥取、侮れません。
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(2024/9/18更新)
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