現代に生きる千年の歴史〜世界遺産「パンノンハルマ大修道院」(ハンガリー)

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現代に生きる千年の歴史〜世界遺産「パンノンハルマ大修道院」(ハンガリー)

現代に生きる千年の歴史〜世界遺産「パンノンハルマ大修道院」(ハンガリー)

更新日:2015/04/01 10:56

小谷 雅緒のプロフィール写真 小谷 雅緒 ツアーコーディネーター&ガイド

ヨーロッパ各地に観光向けに一般公開している修道院がありますが、その多くがすでに閉鎖されている修道院です。現役の修道院で、さらに千年も歴史があるここ、パンノンハルマ大修道院は極めて貴重な存在といえます。世界遺産は伊達ではない・・・、見学すれば普段は触れることのない世界を知ることができる、貴重な機会となるでしょう。

パンノンハルマ大修道院の概要

パンノンハルマ大修道院の概要

写真:小谷 雅緒

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996年建立、その千年後の1996年に世界遺産に登録された修道院は、ハンガリーにおけるベネディクト会の本部であるため、「大修道院」と呼ばれており、現在でも約40名の修道士が共同生活を送っています。

人口4000人に満たないパンノンハルマ市と周辺は、古くから白ワイン生産地区として知られています。「パンノニアの丘」を意味するパンノンハルマは、かつてこの地が古代ローマ帝国領であったころの地名Pannoniaと、ハンガリー語で「丘」を意味するhalomが組み合わさっています。その名の通り、修道院は280メートルの丘の上に建っています。

敷地内にはハンガリーでも指折りの進学校である全寮制男子ギムナジウム(中高一貫制の学校)があり、教員免許を持つ修道士が教壇に立ち、その他の修道士も生徒たちの面倒を見ています。この学校では必修科目として聖書の時間や礼拝があるものの、決して神学校ではありません。

ふたりの聖人がキーパーソン

ふたりの聖人がキーパーソン

写真:小谷 雅緒

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パンノンハルマ修道院はベネディクト会であるため、当然「聖ベネディクト」の名は頻繁に登場しますが、もうひとり、聖マルティヌス(ハンガリー語ではSzent Márton)が重要人物です。

聖マルティヌスは4世紀ごろを生きた実在の人物で、このパンノンハルマ出身のローマ軍人でした。(この時代、まだハンガリーは存在せず、ローマ領であるため、彼はハンガリー人ではありません。)

回廊から聖堂に続く門「ポルタ・スペキオサ」の上部には、聖マルティヌスの有名な奇跡「マントの伝説」が描かれています。(写真)

聖マルティヌスはさまざまな職業の守護聖人ですが、宴会の守護聖人でもあります。そんなものにも守護聖人があるなんて・・・!しかし、彼を祝う11月11日は新酒解禁日でもあり、ワイン生産が盛んなハンガリーや周辺諸国では、非常にポピュラーな聖人です。(聖マルティヌスの俗説にちなみ、11月11日前後はガチョウを食す習慣もあります。)

個人見学も充実の内容

個人見学も充実の内容

写真:小谷 雅緒

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見学は入場時間内であれば随時可能で、日本語設定もあるオーディオガイドを使って決められたコースをたどります。とてもわかりやすい説明なのですが、一通りの説明を聞いた後、「さらに詳細をお聞きになりたい場合は2のボタンを・・・」と、全部を聞くと2時間くらいはかかってしまうほど、濃い内容になっています。

専門ガイドによるツアーもあり、より充実した見学をしたい場合に有効です。こちらはハンガリー語または英語のみとなります。事前に公式サイトで、または当日ビジターセンターで確認しましょう。

他にも、ワインテイスティングツアーもありますが、ハンガリー語のみです。

*写真は聖堂に続く回廊

圧巻の図書館は今も現役

圧巻の図書館は今も現役

写真:小谷 雅緒

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現役の修道院であるため、その歴史は進行形です。かつて紙や印刷物が高価であったころ、そして、識字率が著しく低かった時代、蔵書数の多さは修道院の格を示すといっても良いでしょう。

見学コースのラストを飾る図書館は、ラテン語や独語で書かれた古い図書が並んでいます。かつてはラテン語が学問における公用語、そして、ハプスブルク家支配下のころ、独語がハンガリーの公用語であったためです。

これらはただの飾りでなく、研究者には閲覧が許されている現役の図書なのです。さらには、図書館司書のひとりも有資格者の修道士です。

現在、蔵書数は40万冊を超え、修道院の図書館は付属学校の図書館としても機能しなければならないので、一般書も含めた新しい図書も集めています。

見学コースのお約束「おみやげコーナー」

見学コースのお約束「おみやげコーナー」

写真:小谷 雅緒

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修道院ではオリジナルグッズもたくさんあります。近年、ワイナリーも運営するようになり、中〜上級クラスのワインを生産・販売しています。ワインの他に、ハーブリキュールもあります。

また、修道院では古くからハーブを育てていたこともあり、オリジナルのラヴェンダー製品やハーブティーも豊富です。(修道院付属のハーブ園があり、こちらも見学可能です。)

パンノンハルマ大修道院は、周辺の自然環境も含めての世界遺産なのです。季節によってラヴェンダー、ヒマワリ、ブドウ畑の景観も楽しむことができます。

*写真は修道院正門。観光客は入れません。

現役修道院であることに留意して見学しよう

まずは交通ですが、ブダペストからの日帰り、あるいはブダペスト〜ウィーン移動時に立ち寄ることもできます。ただし、一般的に修道院は不便な場所にあるものです。ハンガリーの主要地方都市ジュール[Győr]からバスで30分程度ですが、元々バスの便は多くはありません。さらに修道院正門まで行くバスはわずか。ほとんどのバスは町の中心部までです。そこからきつい坂道を20分くらい上ります。さらに、週末は便数が極端に減るので、スケジュールを意識しましょう。

日曜日午前中は礼拝のため、聖堂や回廊には立ち入れません。他にも、宗教行事で聖堂見学不可の場合もあります。事前にチェックしておくことをおすすめします。

ビジターセンターには修道院運営のオシャレ系レストランがあります。町にはレストランはそう多くはありませんが、お値段はカジュアルです。安くておいしい白ワインをぜひ飲んでみてくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/03/26 訪問

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