マレッツブランドの起源は、ベルギー南西部、旧フランス領にあたるワロン地方、ナミュール州、アルデンヌ高原の広大な森の中にそびえるマレッツ修道院です。1872年に建築が始まったという修道院は、修道僧達の作業場や学校施設も含め、大規模な建築物であるにも関わらず、地元ワロン特産の総ブルーストーン造りという格式の高さ!周辺の小さな村々と併せ、おとぎ話に出てくるような雰囲気が多くの観光客を惹きつけます。
現在はビール製造の工程の一部が国境を越えて行われ、モルトガット醸造所が委託生産しているため、トラピストビールにこそ数えられていませんが、修道院に起源を持つビール、チーズ、パンのレシピであることに変わりありません。現在もマレッツ修道院では、チーズの一部とパン類が修道僧によって手作りされています。
マレッツブランドの食材は、一般流通するビールとチーズが有名ですが、それに加えてカフェテリアでは、アルデンヌの森伝統の燻製ハムや、修道僧手作りのパンやパンケーキ類も限定販売されています。また主に雑貨を扱う売店も充実しており、カフェテリアで使用されている味わいのある陶器も、ここで購入することができます。(名入り食器をオーダーしたい場合は、事前の注文が必要)
他にも中世フランスの名残りをのこした、当時の保存食であるワロン地方ナミュール州ディナン名物のクック・ド・ディナンというハチミツ練り固パンや、キューベルドンという伝統砂糖菓子、ワロン産のワインやチョコレートなど、ベルギーのワロン地方らしい、職人の手による特産品も買い求めることができます。
マレッツ大修道院のカフェテリアは、元々巡礼者を温かく迎えるための施設です。それが近年、場所を移して1,800人収容できる施設へと大規模リニューアル!大型バス対応の駐車場も完備しており、年間約65万人の巡礼客が訪れるワロン州三大観光スポットのひとつです。(団体客用の個室も有り。要事前予約)
カフェテリアの内装は、「ベルギー家具」として日本でも高級百貨店で取引される、ワロン特産の総オーク材の椅子とテーブルで統一されており、修道院らしい、シンプルな美しさに、心なごみます。
マレッツ・ビールの種類は3種類で、アルコール度によりブロンド(6%)、ブラウン(8%)、トリプル(10%)があります。深いコクを感じさせながら、シルクのようなまろやかさとフルーティな口当たりが特徴の、洗練された実力派ビールです。(写真はビールのティスティング・セット 7.9ユーロ)自然の食材を使った、素朴でいつわりのない、おいしい食事をいただく。ヨーロッパの人達にとって、このひとときが贅沢なのです!
またマレッツ修道院のあるアルデンヌの森には、野生動物が生息しています。冬の狩りの時期に捕えた食料を保存するため、ここでも燻製の技術が発達し、アルデンヌの森はフランス料理の代名詞ともいえるジビエ料理の名産地となりました。料理がおいしいと評判のベルギーの中でも、とりわけアルデンヌ産ハムは高級食材として有名です。このカフェテリアでは、そんな地域自慢のおいしい伝統料理が、フレッシュなビールと共に、生産地という最高の環境で味わえます。
マレッツ修道院のカフェテリアを訪れる目玉は、フレッシュな生ビールとあわせてつまめるチーズのタルティーヌ!今でも修道僧が手作りする食べごたえある香ばしいパンと、クリーミーでクセのないフレッシュなマレッツチーズのタルティーヌは、現地の人達に愛される定番メニューです。(写真はチーズのタルティーヌ・2,4ユーロ)
共和制以前のフランス文化を大切に受け継ぎ、食材の新鮮さを非常に重視するワロン地方。タルティーヌは現在でも毎日の食事から、社交の場まで欠かせません。焼きたてのまだしっとりとした状態のパンに、出来たての上等チーズをあわせる贅沢。口にすれば、中世からこれで修道僧達が空腹を満たし、修道に励んできた様子までもが想像できるというものです。
ほかにも生ビールと相性抜群のチーズ&ハムの冷製プレートや、アツアツのチーズがとろける温かい料理もオーダーできます。ビールのおつまみや手軽なおやつとして、ダイス型にカットした冷んやりとしたチーズに、セロリ塩をかけて食べるのがベルギー流です。
さらに、実はマレッツのチーズを温めると・・・引きの強いもちもちした感触に、たちまち虜になってしまいます!アニメーション「アルプスの少女ハイジ」にでてくる、とろとろチーズのパンそのものです。2012年にはベルギーマクドナルドが、マレッツチーズを売りにした高級ハンバーガーを、シメイチーズと共に国内期間限定で展開させました。
マレッツ修道院の広大な敷地内には、周囲の森も含めて、格式の高いスピリチュアルな雰囲気が漂います。交通手段が限られていた中世では、完全に俗世から隔離された修道に最適な場所でしたが、現在は美味しい食事を求めて、多くの人々がやって来ます。
ビジター・センターではフランス語またはオランダ語となりますが、希望すれば約30分の修道院内案内ツアーに参加したり、約20分の概要ビデオも鑑賞できます。子供用の遊具エリアもあるほか、お手洗いも無料です。
特に夏季や人の込む時期は、大勢の観光客に対応のため、カフェテリアの建物の周囲にずらりとテラス席が特設されます。カフェテリアにある2箇所の常設注文所に加え、バーベキューやホットドッグ、アイスクリームの販売所も併設され、車椅子での移動にも配慮してあります。巡礼者に優しい、配慮の行き届いた施設です。
マレッツ修道院とカフェテリアを訪れる魅力は、スピリチュアルな雰囲気とおいしい食事だけではありません。周囲を散歩すれば、総ブルーストーン造りの可愛らしい村や、どこか懐かしさを感じさせる、森の中の小川などに出会い、ヨーロッパを実感します。
自然と共存する生活スタイルは、ワロン地方観光の主力資源でもあり、マレッツ周辺でも滞在型ステイでそれらを満喫する人達が増えています。自分達のスケジュールで何通りにも楽しめる目的地です。
また小規模ながら、クリスマスの時期に開催されるクリスマス・マーケットも有名で、地元ワロンのハチミツや燻製ハムの生産者が出展するなど、取り扱っている商品の質が高く新鮮であることと、アルデンヌの森の中で祝う静かで神秘的なクリスマスの雰囲気が素晴らしく、心に残る旅を演出してくれます。
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