写真:沢木 慎太郎
地図を見る泉佐野駅へは、大阪・難波から南海電車(急行)で約30分。大阪湾に浮かぶ海上空港「関西国際空港」の対岸にある街が泉佐野市です。犬鳴山(いぬなきさん)へは、南海線「泉佐野駅」から、南海バスに乗り、終点の犬鳴山まで約30分。
犬鳴山バス停付近には大阪の秘境温泉「犬鳴山温泉郷」があり、有料駐車場も整備されています。写真が犬鳴山への入り口。さあ、修験道体験を目指し、森林浴を楽しみながら登山しましょう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る犬鳴山バス停から、渓流に沿って緩やかな坂道を上り、修行地の七宝瀧寺(しっぽうりゅうじ)まで、1.5キロメートル(約30分)。ハイキング道に沿って、幾つもの滝があり、川遊びもできます。秋には紅葉が美しい名所。
犬鳴山は一番高い山で約560メートルですが、その中腹にあるのが七宝瀧寺。本堂から奥にあるのが写真右の「行者の瀧」で、ここで滝に打たれます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る七宝瀧寺では、日本でも数少ない修行体験ができる霊山。事前予約(一週間以上前)すれば国籍、性別を問わず誰でも参加することができます(ただし、年齢制限あり。10歳〜70歳を中心に山行を行える体力のある方のみ)。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る犬鳴山での修行体験はホームページでも受け付けています。あくまでも実践修行であり、遊び半分の気持ちで参加することはできません。
修行体験に参加すると、まず七宝瀧寺の本堂で、ご本尊さまに礼拝し、勤行を行います。この後、すぐに滝に打たれるのではなく、“山修行”といって犬鳴山の行場へと向かいます。写真が、行場への入り口。犬鳴山修験者の指導に従い、犬鳴山の行場や拝所を巡礼し、この後に滝修行を行います。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るでは、いざ出発!「山修行」と「登山」は、明らかに違います。修行を始めて、最初の難関がご覧の急斜面。岩肌が露出し、滑りやすく、よじ登るのも不可。鎖やロープをしっかり握りしめ、女性であっても鎖を股の間にはさみ、まさにレンジャー部隊。“お父さん、こわいお、何かくるお”の「野生の証明」さながらに険しい崖を登ります。
階段をつければいいのにと思いますが、階段があるのが楽しい「登山」。無いのが厳しい「修行」です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るところで、山で修業を行う人のことを、「山伏(やまぶし)」、もしくは「修験者」(しゅげんじゃ)とも呼びます。額には「頭巾(ときん)」という小さな帽子のようなものを付け、「錫杖(しゃくじょう)」という杖を持ち、「袈裟(けさ)」「篠懸(すずかけ)」といった麻の法被で身を包み、山中で連絡を取りあうためにホラ貝(仏法を伝える楽器)を吹きます。
修験とは、「修行することで心の迷いを取り除き、験徳(霊験・パワー)を得る」というのが語源。どの宗派に関係なく、心身を鍛えて以心伝心のうちに本当の悟りを開く道が「修験道」と呼ばれる日本独自の宗教です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る厳しい山修行は続きます。先頭を歩いていた山伏が振り向き、断崖を前に参加者らに、こんなアドバイス。
「身体は岩に向けてください。前の人が足をかけた岩場を見ながら進みましょう。ロープから手を離さないでください。手を離せば谷底行き。名前が変わります」
「なんで自分がこんな目にあうのか」と思いますが、これが修行。ちなみに、「怖い」「無理かも」と思ったら、リタイアも可能。それは恥ずかしいことではありません。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る続いては、「のぞき修行」。命綱一本だけで身を乗り出し、断崖絶壁を覗き見るという修行です。「捨身の行(しゃしんのぎょう)」と言って、身体を犠牲にして仏道を求める修行のこと。捨て身の覚悟で仏の世界を覗き、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」、すなわち生身の身体のまま究極の悟りを感じ取る修行です。
頭から身をつるされている間、山伏たちの問いかけに正直に答えなければなりません。厳しい修行ですが、他人がつるされているのを見ると、不謹慎ながらかなり楽しい。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「のぞき修行」は強制ではありません。修行をしたいと思った人は、命綱を身に付けて崖の上からつるされます。そして、山伏たちから、刑事のような尋問を受けます。それに対して、たとえば「何か懺悔することはないか?」「酒を止めます」「それは本当か?」「いえ、ほどほどにします」と、正直に答えなければなりません。でないと、綱を緩められ、ずるずると谷底へ…。
写真はのぞき修行に挑む美人添乗員さん。山伏もビックリの猛者ですね。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るのぞき修行を終えた後、いよいよ犬鳴山の奥宮となる元山上へ。修験道の開祖、役小角(えんのおづの)が犬鳴山を訪れたのは661年のこと。7世紀に実在した奈良県生まれの小角は、大峯山(山上ヶ岳)よりも6年前に犬鳴山を修験道の聖地として開山しているのです。このため、犬鳴山は、“日本最古の霊場”とされ、“元山上”と呼ばれています。
日本最古の霊場で、山伏たちはホラ貝を吹き、修験道に参加したメンバーの無病息災(むびょうそくさい)を祈祷。最初はちょっと怖そうに感じた山伏の方々でしたが、修業を行なうにつれて次第に柔和な表情を見せるようになり、親しみをおぼえます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る元山上での勤行を終えると、最初にご紹介した滝行地「行者の瀧」へ向け、下山を開始。写真は、山を下りた途中にある行場で、「胎内(たいない)くぐり」と呼ばれています。狭い岩の割れ目をくぐり抜ける修行。山中の洞窟を女性の身体に見立て、穴に入り出ることで、“新たに生まれ変わる”という意味があります。一切の罪や穢(けが)れをそぎ落とし、肉体と魂を浄化し、別の人格として新たに生まれ変わるための行です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るそして、約2時間半の「山修行」を終え、再び七宝瀧寺の「行者の瀧」へ。最初に、この滝を見たのと、山修行を終えてから見る滝は、まったく違います。山修行の間は、一切の私語は禁止で、誰とも話をしていないのですが、特殊で独自な世界に引き込まれ、以心伝心のうちに不思議な連帯感が生まれ、何かの領域に踏み込んだ安心感が得られます。清らかで素直な心で、滝に打たれる気がします。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る凍るように冷たい水しぶき。しかし、冷たいと感じるのは最初のうちで、身体の底から何か力強いパワーが漲ってくるのが感じられます。それが、滝行の魅力。あまりもの冷たさに悲壮な顔をする人もいれば、さっぱり爽やかな笑顔を見せる人も。何か大きなことを成し遂げた満足感、達成感があり、目の前の困難を軽々と乗り越えられるような解放感が得られます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るそして、山修行を終えた女性たちも滝行へ。冷たい滝の水に女性の声がかき消され、凍てつく水に打ち震えながらも、どこか安らかな表情が。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る続いて、修行の道へと導いて下さった山伏の方たちも次々と滝の中へ。見えない何者かに抱かれながら、冷たい水の輝きに魅せられます。
【犬鳴山・修験道一日体験】
■受入可能期間:3月〜11月(毎月第3日曜日)
■注意:要予約
■体験料:ホームページを参照のこと
犬鳴山登山道の入り口にある犬鳴山温泉郷では日帰り入浴も可。滝に打たれた後に温泉を楽しみ、「み奈美亭」「不動口館」「犬鳴温泉センター」「犬鳴山グランドホテル紀泉閣」といった和風旅館で料理を楽しむのもおすすめです。
犬鳴山の名前は、身を犠牲にして主人を守ったという「義犬(ぎげん)伝説」に由来しています。犬鳴山は、神霊的な雰囲気が漂うパワースポット。修験道体験を行い、運気を高めるパワーをもらいに行きませんか?
なお、大阪のパワースポットについては別途、記事にまとめていますので、犬鳴山での修行体験や犬鳴山温泉郷とともに関連MEMOに貼り付けましたので、ご興味のある方はリンクからのぞいてみて下さい。
この記事の関連MEMO
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(2024/9/16更新)
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