写真:六三四
地図を見る白塗りの平屋入口は大きな唐破風の屋根。温泉街を囲む緑鮮やかな山々と白い外観のコントラストが美しい「湯之山館」。敷地内にある源泉棟からは湯けむりがのぼり、温泉地らしさを演出しています。また屋根付の円形足湯も設置され、地域の方々の語らいの場に。
かつてはジュイヤ(※)が立ち並び、多くの訪客があった入来温泉。活気あった当時の温泉街の面影は現在はありませんが、笑い声が響く足湯に賑わいをみせていたかつての入来温泉が思い起こされます。
※鹿児島弁で料理をする「ジュル」から、料理屋の事を「ジュイヤ」と呼んでいた。
写真:六三四
地図を見る湯けむり上がる源泉棟には竹製冷却装置が備えられ、加水する事無く温泉を適温に。この冷却法は大分の鉄輪温泉ではお馴染みですが、鹿児島ではおそらく湯之山館が初めて。
これまでの入来温泉は熱湯(あつゆ)が特徴のひとつで、「入来温泉=熱い」という印象を持っている温泉ファンは少なくありません。これまでの歴史を調べると、江戸時代から明治時代には岩の間から自噴する湯に水を混ぜながら浴槽に注いでいたともあります。当然水を加えれば温泉成分も薄まりますので、元来持つ入来温泉の濃厚な成分を維持するためにも、この冷却方法は入来温泉に適していると考えられます。
写真:六三四
地図を見る湯之山館の魅力は網代湯(あぜろゆ)と柴垣湯(しばがきゆ)のダブル源泉。以前まで温泉街にあった共同浴場2つの温泉が引かれています。両温泉のコラボ湯はファンにとってこの上ない喜び。
そして、さらに嬉しいのは写真の温泉槽。これはかけ湯ではなく入来温泉伝統の汲み湯式の洗い場。長方形の汲み湯槽から湯をとり体を流すスタイルは鹿児島でも少なく、温泉地が点在する北薩摩地域でも入来にしかありません。湯之山館には個を意識し、両サイドに壁を設けたシャワー付きのカランもありますが、入来温泉であればやはり汲み湯式洗い場。新しい施設の中に古き良き時代を再現したのは歴史を語る上でも貴重で、湯之山館にかける地域の想いも伝わってきます。
写真:六三四
地図を見る汲み湯式の洗い場だけでなくかけ流しの浴槽も2つ。泉質名は含重曹−食塩泉(ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉)で保温効果が高く、湯ざめをしにくいのが特徴です。泉質は同じで色も似ていますが、網代湯が柴垣湯よりも溶存物質を多く含んでいます。
温泉に入る際は一気に長湯をせず、分けて入るのが理想的であると言われています。湯之山館での入浴法は先ず優しい柴垣湯に浸かり、その後成分の濃い網代湯でじっくり。そして最後に柴垣湯にさっと入ってあがる分割浴がおすすめです。分けて入る事で保温効果がさらに持続し、免疫力も高まるといわれています。全身浴の場合は、1回の入浴時間を短くし苦しくなったら半身浴、または休憩。自分の体と対話しながら温泉成分をたっぷり取り込む事を意識し、入浴されると良いでしょう。
新しさと古さの融合!名湯コラボ入来温泉「湯之山館」。
北薩摩にお越しの際は是非お立ち寄りください。
【温泉名】入来温泉
【施設名】湯之山館
【住 所】鹿児島県薩摩川内市入来町副田6179
【泉 質】ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
【適応症】きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
【貸切湯】あり
湯之山館にはユニバーサルデザインの貸切湯もあり、高齢者や体の不自由な方も安心して温泉入浴が出来ます。貸切湯は網代湯の温泉のみを利用しており、コアな網代湯ファンにはありがたい限り。注がれる温度も大浴場と異なり高温のため、昔ながらの網代湯そのものを堪能する事ができます。熱い場合は水で薄めて良いとのこと。貸切湯であれば他の浴客に気兼ねすることはありません。心地よい温度で入来の名湯をたのしんでください。
この記事を書いたナビゲーター
六三四
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