写真:井伊 たびを
地図を見る知る人ぞ知る!平家の落人伝説が残る秘境の地にある山の中の一軒宿。「大牧温泉観光旅館」には、その存在すら誰にも教えたくないほどの安らぎがある。
そのはじまりは、今から800年余り前のこと。寿永2年(1183年)、砺波山の合戦に敗れた平家の武将が源氏の追撃から逃れ、隠れ家を求めて大牧の辺りをさまよっていた。そのとき、河畔から満々と湧き出る温泉を発見し、その湯を口にし湯あみをして創傷の身を治したのが、ここ「大牧温泉」の源流だ。
ところで、かつてこの峡谷の底には村落があり、村人達の湯治場として素朴な宿を営んでいた。昭和5年(1930年)小牧ダムの完成とともに、その村落は湖底に没し、温泉宿一軒だけがダム湖と切り立つ断崖の間に取り残されたのだ。
多くの村人から愛された、そんな温泉を何とか続けようと、豊富に湧き出る源泉を湖底から採り込み、交通手段は船を頼りに再興されたのが現在の「大牧温泉」の基。この宿が「船でしか行けない秘境の一軒宿」と言われる由縁は、こうした歴史にあるのだ。
「日本の百名湯」にも選ばれた「大牧温泉」は、自然と調和し「何もない贅沢な空間」が、静かにゆったりと過ぎてゆく心安らぐ温泉だ。
写真:井伊 たびを
地図を見る小牧港(小牧ダム)から大牧港(大牧温泉)までの約30分の船旅で、四季折々の風景が満喫できる。
春は、山峡が新緑に包まれ、山野草が可憐な花をつける。雪割草、かたかご、なるこゆり、しゅんらんなどが微笑み、ウド、ゼンマイ、タラノメ、ワサビなどの山菜が一斉に芽吹く。また、野生動物のカモシカ、タヌキ、テンなどが姿を現したりもする。
夏は、山峡を駆け抜ける爽やかな風に魅了される清涼感がある。エメラルドグリーンに変わる湖面を、飛び交う野鳥のさえずりが出迎えてくれる。
秋には、筆舌に尽くしがたい山峡の素晴らしい紅葉が、ゆれる湖水に映える。木の実はどこまでも熟し、クリ、山ブドウ、アケビ、クルミなどの宝庫と化す。もちろんキノコも豊富に採れ出す。
冬こそオススメだ。山峡の雪化粧が、「一幅の水墨画」の世界へ誘う。渡り鳥が飛来し、白銀の断崖には日本カモシカが姿を現したりもする。
写真:井伊 たびを
地図を見るロビーに入れると、昔懐かしい「いろり」が、あなたを出迎えてくれる。
階段を降りると湖水のほとりに、男女別の内風呂がある。ワイドガラスを通して見る切り立つ断崖や、ゆったりと流れる水面を眺めながら温泉に身を沈めれば、旅の疲れが温泉の湯に溶けだしてしまいそうに癒してくれる。
一階の廊下の両側の壁には、当旅館を訪れた芸能人の「色紙」や「写真」が、多数掲げられている。朝起きれば、「どこかで見た顔!」に出逢えるかも。
写真:井伊 たびを
地図を見るお目当ての露天風呂は3箇所。そのひとつが、本館裏手の崖の上に、原生林に包まれた男性用湯舟だ。一方、女性用には大小2箇所ある。館から奥へと進み山峡のパノラマが一望できる絶景を堪能できる。
ところで、こちらの温泉の特徴は、泉温・58.0度。微弱な硫化水素臭と、弱酸味がある。弱アルカリ性(pH 8.14)で、泉質としては、ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉だ。
写真:井伊 たびを
地図を見るこちらの温泉の療養泉としての一般的適応症は、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、間接のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器症、痔病、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、などだ。
また、泉質別適応症としては、きりきず、やけど、慢性皮膚症、虚弱体質、慢性婦人病、動脈硬化症などである。
こちらの湯は透明で、体の芯まで温まるので、「湯冷め」しにくいので有名だ。
また、食事は一般的によくある「バイキング形式」ではなく、「会席料理風」で落ち着いた食事が摂れるのがウレシイ!
「船でしか行けない!」と聞いただけでも行きたくなるが、「日本列島最後の秘境」と聞けば絶対行こう!となる温泉だ。「ほんとうは誰にも教えたくない!」のが本心だ。
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(2024/11/6更新)
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