オスマン帝国時代のスルタン、セリム2世の命によって、1575年に完成したモスク、セリミイェ・ジャーミィ(Selimiye Camii)は、希代の建築家ミマル・シナンによって設計されたもの。
巨大なドームと高さ70mのミナーレを4本持つ壮麗なモスクは、シナン80歳の時の建築作品で、彼の生涯で最高傑作と言われている素晴らしい建造物だ。2011年には、ユネスコの世界遺産に登録されている。
直径31.30m、高さ43.28mの巨大ドームは、このモスクが建設されるまでは使われたことのない技術、段階的に2段のドームを積み重ねるのではなく、直接2000トンの重さのドームを8本の柱で直接支えるという現代の建築技術でも、再現することのできないほど高度な数学的、工学的技術が使われたことが判明している。
ミマル・シナンの設計技術を受け継ぐことができた者は誰一人いなく、その技術は、永遠に謎のままこれからも訪れる人々を驚嘆させていくのだろう。
モスクの広い中庭には、神学校と初等教育学校の跡があり、現在は、神学校が博物館、初等教育学校が、子供図書館として活用されている。中庭の中央には、白大理石で作られた噴水があり、オスマン帝国時代を代表する素晴らしい建造物のひとつに数えられている。
セリミイェ・モスクの壮大さと共に訪れる人々を魅了するのは、建築物と装飾の材料として使われた貴重な大理石とイズニック・タイルと呼ばれるトルコ南西部イズニック産のタイルの数々である。
トルコのタイル生産の最盛期に作られたイズニック・タイルがふんだんに使われたこのモスクは、建築学的のみならず芸術的観点からもオスマン帝国時代の最高傑作と言える。
エディルネの中心地から約3km離れたところにあるバヤジット2世の複合施設跡は、現在「医学博物館」となっている。1488年に建造されたこの施設の大部分は病院施設であり、神学校、モスク、ハマム、音楽学校が併設されていた。
病院施設群には、基礎医学を教える医学部、薬学部、一般病棟、精神病棟などの医学関連施設があり、ここを訪れる人々は、オスマン帝国時代の医学の水準の高さに驚かされる。
10人で構成される音楽家が、週に3回行なったコンサートの音は、病棟の隅々まで聞こえたそうだ。音楽療法は、この病院の大きな特徴で、コンサート以外にも中庭にある噴水の水の音を聞かせることによって治療した。
また、現在ならさしずめアロマテラピーとも言える良い香りをかがせることでも治療をしていたそうだ。この病院の治療は、無料で行なわれ、週に2回、市街地に薬が配布されたそうだ。
エディルネでは、他にもミマル・シナンの手による数々の橋やハマム、隊商宿(ケルヴァンサライ)そして時のスルタン達の命によって15世紀初頭から次々と建てられた数々のモスクなど、オスマン帝国最盛期の建築様式が至る所で見られる。
イスタンブールの華麗さとは、一味違う古都エディルネ、イスタンブールから車で2時間半、日帰りもできるエディルネを訪ねてオスマン帝国時代の昔日の思いにたっぷりひたってほしい。
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(2023/11/29更新)
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