東日本大震災の被害から復興を遂げた三陸鉄道北リアス線の陸中野田駅から約9.4キロメートル、深い緑に覆われた細い道を車で約15分ほど走った、アジア民族造形館周辺にある南部曲り家の民宿「苫屋」さん。厚い茅葺き屋根と苫屋の文字が入った藍色のすだれが印象的な、築150年を超える年代ものの古民家です。
「苫屋」は世界を旅して回った坂本ご夫婦が、二人三脚で営むとても小さな宿です。沖縄から北海道へと北上する旅の途中に立ち寄った、岩手県の小さな村の人々の優しさと美しい自然、静けさに惹かれ、心のままに留まり宿を開いたのがはじまりです。
提供元:遠藤隆尚
地図を見る板間には囲炉裏、畳のお部屋に縁側。これぞ日本!といったたたずまいの部屋に、ちらほら飾られているエスニックな楽器や小物達が自然と溶け込んで、独特の雰囲気を作っています。
1日数組しか宿泊できない「苫屋」さん。ふすまで仕切られた畳のお部屋で、あったかいお布団を敷いて眠ります。もし宿泊できなくても大丈夫。日中はランチとカフェを営業しているので、「苫屋」さんの美味しい料理やケーキ、囲炉裏で焙煎した豆で入れるコーヒーなどが頂けます。
*バス・トイレは別、共用です。
1年中欠かすことのない囲炉裏の火は、暖を取るだけでなく料理はもちろん、茅葺き屋根や木造の家を虫から守る大切な役目もあるほど。古民家の中心的存在なのか、人々は自然と囲炉裏を囲み、静けさの中にパチパチと木が立てる心地よい音に耳を傾けます。
提供元:遠藤隆尚
地図を見る夕食は坂本ご夫妻と他の宿泊客と囲炉裏を囲んでいただきます。ご夫婦が無農薬・不耕起で育てた野菜と旬の素材を活かした料理は、どれも素朴で優しい味わい。おいしい日本酒も手伝って、まるで昔からの友人のように会話が弾みます。
*アルコール類や飲み物は別料金です。
夏でも朝晩は冷え込みを感じる岩手県。薪からチロチロと赤い炎が揺れる囲炉裏の前に、じんわりと染みわたる暖かを求め座ります。ゆりかごのような焙煎の籠が揺れるたびに、コーヒー豆がザッザッと音をたてながら沸き立つ芳ばしい香りと、パンを焼く香りが部屋の中を満たす頃合いが朝食の時間です。
囲炉裏の火を利用して朝食の準備をする坂本夫妻をぼんやりと眺めながら、ゆっくりと会話を楽しみ、そして皆て囲炉裏を囲んで朝食を頂く。こんなにも時の流れをゆっくりと感じ、日頃のストレスがフワッと解消されるのが、「苫屋」さんの人気の秘訣なのかもしれません。
*コーヒー以外の飲み物もあります。
提供元:遠藤隆尚
地図を見る往復はがきで予約なんて、時代錯誤?と感じるかもしれません。けれど希望の候補日、アレルギーや食べられないものなどをしたためて、切符を貼ってポストに投函する、その瞬間から旅への期待が膨らんでいることに気がつくでしょう。返信を待つ間のドキドキも含めて旅の前から気分が盛り上げてくれる、そんな憎い演出をしてくれる「苫屋」さん。
一生に一度は泊まりたい宿です。
■南部曲り家民宿 苫屋
住所:〒028-8201 岩手県九戸郡野田村大字野田5-22
カフェ・ランチ営業:9:00〜18:00
定休日:毎週月曜定休(月曜日が祝日の場合は営業)
予約:宿泊予約は往復はがき。カフェ・ランチは予約不要。
*詳細はMEMOの「野田村観光協会(苫屋)」を参照してください。
*雪の状況によって冬期は休業している場合があります。冬季休業のお知らせは、MEMOの「野田村通信ブログ」に時折更新されていますので、確認してください。
*予約の往復はがきには、希望する日を複数日書いて早めに出すとよいでしょう。また食べ物のアレルギーなどがある場合も合わせて記載をしておくとスムーズです。
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