写真:吉川 なお
地図を見る「シャーク湾」は西オーストラリア州の州都パースの北およそ830Km、西海岸中央部のペロン半島のちょうど中間あたりに位置しています。パースから飛行機で約2時間半、車だと約10時間の距離です。西オーストラリアで一番初めに世界自然遺産に登録された場所で、13カ所が保護区に指定されています。
貝殻でできたビーチは、「シェル・ビーチ保護公園」にあります。その名の通り、浜や海中に至るまで全てが白い小さな貝殻で埋め尽くされているという、地球上で2カ所しかない世にも珍しいビーチです。
ここに堆積する二枚貝は4000年以上も昔から波風に乗って運ばれてきたもの。やがて徐々に堆積して石灰岩になり、繰り返し風雨にさらされているうちに炭酸カルシウムが溶け、結晶となって沈殿していきました。
その深さはおよそ10cm。堆積するビーチの長さは約110Kmにもわたります。長い長い時の経過によって成された自然が作り上げた絶景です。
海水は透明で、よく見ると海の中も一面貝殻だらけです。干潮時はひざ下にも満たない水位で、かなりの遠浅になるので、100メートル以上歩いてもまだまだ先に歩けます。
まさに奇跡のようなビーチがここにあります。
写真:吉川 なお
地図を見る写真:吉川 なお
地図を見るシャーク湾の「ハメリン・プール海洋自然保護区」には、世界最古の生命体と言われる『ストロマトライト』の群生地として知られています。地球上で初めて酸素を作った生物で、その起源は35億年前とも27億年前とも諸説あり、定かではありませんが、恐ろしいほど長い年月を生き続けている驚異の生物なのです。
その姿は?というと、ただの黒い岩にしか見えません。浅瀬に黒い岩石が密集しているようで、その光景は不気味ですらあります。
写真:吉川 なお
地図を見るストロマトライトの正体は、ズバリ光合成によって酸素を生み出すシアノバクテリアと呼ばれる真正細菌です。この中に海水の石灰砂や泥粒などが何層にも積み重なり、1年に数mmという非常に遅い速度で岩石質に成長したものが現在見られる姿です。
日中は光合成を行い、夜間は泥などの堆積物を粘液で固め、呼吸のために上に上に分裂しながら、日が昇ると再び光合成を繰り返すという生態で、先カンブリア時代という太古の時代から生きながらえています。
化石となったものは世界各地で発見されていますが、原生しているものがこれほど広範囲に見られるのは、ここハメリン・プールだけだそうです。
写真:吉川 なお
地図を見る『ストロマトライト』はなぜこんなにも長い年月の間、絶滅を免れてきたのでしょうか。
その理由は、この海域の塩分濃度が高いことに起因しています。砂漠に囲まれたハメリンプール一帯の海域は、海水が蒸発して高濃度の塩分を含有しており、シアノバクテリアの天敵である貝類や甲殻類は生きていくことができません。ストロマトライトはそういう過酷な環境でも生き抜ける原始的な構造であったため、天敵がいない世界で悠々と生を育むことができたのです。
自然の神秘が凝縮したシャーク湾には、イルカが人間に会いにくることでも知られる「モンキー・マイア・ドルフィンリゾート」が建つモンキー・マイア保護区もあります。
そこに宿泊してイルカに癒され、長い時間をかけて育まれてきた絶景と地球の酸素形成の起源を見る、そんなステキな旅をしてみませんか。
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(2024/12/3更新)
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