南大東島から北大東島への飛行時間は、琉球エアコミューターのフライト情報に15分と書かれていますが、実際に上空にいた時間はわずか3分ほど。遊覧飛行よりも短い時間で北大東島に到着です。
到着した北大東空港は、ご覧のとおり小さな島にしては意外と立派な空港です。南大東島ではスコールのような雨に見舞われましたが、北大東島に到着するころには雨も上がり、雲の隙間から青空も顔をのぞかせていました。
飛行機で到着した乗客の中で観光客らしき人は私のみ。これは私にとってラッキーでした。ひとりでこの北大東島を観光できるなんて最高です。誰にも邪魔されない離島の旅のスタートです。
北大東島には2軒の宿泊施設があります。二六荘とハマユウ荘です。今回はハマユウ荘にお世話になりました。ハマユウ荘は島一番の高台である黄金山にあり、島の内陸部が一望できる宿泊施設です。空港には送迎の車が待機しており、私ひとりを乗せていざ出発。途中には南大東島が望めるビュースポットがあり、すばらしい景色を独り占め。なんともVIPな待遇です。
到着すると近代的なコンクリート打ち放しの建物が見えました。民宿のような建物を想像していましたが、立派なホテルのような外観です。チェックイン後案内されたのはツインルーム。シングルルームがないので、ひとりの宿泊でもツインルームを使用します。
北大東島はじゃがいもの生産が盛んらしく、じゃがいもとさとうきびを1年ごとに輪作すると、さとうきびの生育がよくなるそうです。北大東島のじゃがいもは煮くずれが少ないので、煮物に最適だということで、このハマユウ荘のレストランでもカレーライスに使われています。
さらにハマユウ荘では、このじゃがいもから作った「じゃが麺」という麺をいただけます。大東島の深層水を加えもちもちした食感の太麺は、大東そばや焼きそばに使われています。特に大東そばは、マグロ節からだしを取ったスープに、太めの「じゃが麺」がからみ、沖縄そばとは違った味が楽しめます。
ハマユウ荘のレストランは午後5時から10時までは居酒屋として利用されており、新鮮なお刺身やマグロのカブト焼などが味わえます。大東島近海で獲れる珍しい深海魚「なわきり」は、脂がのっていておいしいので、ご飯やお酒との相性バッチリです。
この北大東島は、南大東島と同じく、サンゴ礁の隆起によってできた島ですので、島全体が写真にあるような岩で成り立っています。
私は北大東島に飛行機でやってきましたが、那覇から貨客船でこの島にやってくる際には、下船するときにクレーンでつり上げられて島に上陸するという、めずらしい方法で到着することになります。
北大東島は太平洋の外海にぽつんとある島です。台風のとき以外も波が常に激しく、港の岸を海面から数十メートルの高さにつくらざるを得なかったのです。その結果、船が接岸できないため、岸壁から少し離れたところに停泊し、クレーンで吊られて下船するということになったのです。クレーンで吊られるといっても、ひとりひとりロープでくくられるわけではありません。ゴンドラのようなかごを使います。
北大東島は燐鉱石採掘とともに開発され、大正時代には出稼ぎ労働者も含めて島の人口が2700人ほどになりました。さらに最盛期の人口は3000人とも4000人とも言われています。良質の北大東島産の燐は、肥料や火薬、アルミニウムなどの原料に使われました。
戦後は米軍の管轄下におかれ、その後閉山されますが、今でもこのように燐鉱石の貯蔵庫跡が見られます。風雨にされて無残な姿となっていますが、石でつくられた立派な建造物は当時の島をを知る上での、価値あるものとなっています。
さとうきびとじゃがいもを輪作で栽培しているとはいっても、やはり島の産業の9割はさとうきび栽培です。島のあちこちにさとうきび畑が広がります。
しかしながら北大東島は面積が小さく、台風による風害、潮害、さらに雨が少ない年には干害の被害もあり、安定した栽培が難しく、災害に強い品種を作ることなどに島をあげて取り組んでいます。
南大東島と同じく観光資源がほとんどない離島ですが、こういう島を訪問すると、日本という国の面積の大きさに気付かされます。沖縄本島から360kmも離れた離島でも、産業があり、子どもたちが育ち、人が暮らしています。自然と共存しながらたくましく生きている様子が感じられます。
北大東島では、リゾートで行く沖縄とはちょっと違った旅行が体験できます。離島が好きな方もそうでない方もぜひ一度、訪問してみてください。大東島を訪問すると、ものにあふれている毎日の生活のありがたみが感じられます。
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(2025/1/20更新)
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