仏面をかぶる?仏像にもぐり込む!?岡山県・弘法寺の踟供養

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仏面をかぶる?仏像にもぐり込む!?岡山県・弘法寺の踟供養

仏面をかぶる?仏像にもぐり込む!?岡山県・弘法寺の踟供養

更新日:2015/04/27 14:42

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員

踟供養(練供養)という行事、ご存知ですか?本家本元の奈良県・当麻寺をはじめ、全国各地の寺院で伝えられている仏教行事ですが、岡山県瀬戸内市の古刹・弘法寺に伝わる踟供養もそのうちの一つ。毎年5月5日にとりおこなわれる弘法寺の踟供養には、何と実際に人が仏像の内部に入り込む被仏の風習も伝えられており、踟供養のなかでも古い形式をいまに伝えています。今回は不思議な魅力を放つ弘法寺の踟供養をご紹介しましょう。

弘法大師と深い関わりを持つ!5月5日にとりおこなわれる弘法寺の踟供養

弘法大師と深い関わりを持つ!5月5日にとりおこなわれる弘法寺の踟供養

写真:乾口 達司

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弘法寺は、662年、天智天皇の勅命により建立されたといわれています。807年、弘法大師・空海が御堂に千手観音を安置して以来、千手山弘法寺と称するようになりましたが、1967年には本堂や多宝塔など、数多くの建物が焼失。現在は遍明院と東壽院の2つの塔頭だけが残っています。

踟供養(ねりくよう)とは、奈良時代の貴族の女性・中将姫の臨終の折、西方浄土から阿弥陀如来や二十五菩薩が現われ、中将姫を極楽へと導いていったという伝説を題材にした仏教行事。仏に仮装した人々が中将姫の像を掲げ、西方浄土に見立てた地点まで行道します。弘法寺の踟供養は鎌倉時代以来の歴史を持っており、毎年5月5日の午後からとりおこなわれます。

行道は塔頭の遍明院と東壽院とのあいだでおこなわれます。写真は塔頭の東壽院を出発した先頭の稚児行列。一行は西方浄土に見立てた遍明院に向かって進みますが、注意したいのは、出発・到着場所が毎年交代すること。2015年は遍明院を出発し、東壽院を目指すことになります。

※…写真は2014年の様子です。

菩薩面をかぶった人々

菩薩面をかぶった人々

写真:乾口 達司

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ご覧のとおり、仏に仮装した人々のなかには菩薩の仏面をかぶった人たちもいます。仏のお面をかぶるとは実に不思議な印象を持ちませんか?しかし、それが踟供養の醍醐味。その神秘的で非日常的な光景を堪能しましょう。

仏像の体内に人がもぐり込む!?被仏と呼ばれる阿弥陀如来

仏像の体内に人がもぐり込む!?被仏と呼ばれる阿弥陀如来

写真:乾口 達司

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行道の一団が東壽院を出発する頃、西国浄土を示す遍明院では、一行を出迎える準備がはじまります。一行の出迎え役は、西国浄土の主というべき阿弥陀如来。像高2メートル近くになる弘法寺の阿弥陀如来は、現在、岡山県の重要文化財に指定されています。

この阿弥陀如来の足元をよくご覧下さい。裳裾の下から人間の足がのびているのが、おわかりになるでしょう。弘法寺の踟供養では、阿弥陀如来の内部に実際に人がもぐり込み、一行を出迎えるという風習が残されているのです。これを被仏(かぶりぼとけ)といい、中世の踟供養では各地の寺院でこのように人がもぐりこんだ被仏が一行を出迎えていたとも考えられています。

ちなみに、被仏の内部にもぐり込む役の人にうかがうと、内部には肩当て用の木枠が設けられており、それ以上、奥(上部)まで入り込むことはないとのこと。腹部に設けられた細い覗き穴を通して外の様子がうかがえるものの、内部は狭く、息苦しさをおぼえるとのこと。仏像をかぶるなんて実に思いがけない行為ですが、実際に内部にもぐり込む人にとっては苛酷なことなんですね。

被仏に出迎えられる行道の一行

被仏に出迎えられる行道の一行

写真:乾口 達司

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中将姫の坐像を掲げた行道の一行は、やがて西国浄土に見立てた遍明院に到着。ご覧のように、被仏の阿弥陀如来に出迎えられます。僧侶による読経が終わると、一連の行事は終了。被仏のなかにもぐり込んでいた方が他の方の介助で出てくると、観客からは自然と拍手がわき起こります。

あわせて拝観しよう!名仏師・快慶作の阿弥陀如来立像

あわせて拝観しよう!名仏師・快慶作の阿弥陀如来立像

写真:乾口 達司

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弘法寺では、この日にあわせて、所蔵する仏像や仏画、寺宝の数々の特別公開がもよおされます。写真は国の重要文化財に指定されている東壽院の阿弥陀如来立像。鎌倉時代を代表する名仏師・快慶の作です。ほかにも、遍明院裏手の宝物館では、やはり国の重要文化財に指定されている五智如来坐像5駆なども公開されていますので、この機会にあわせて拝観しましょう。

おわりに

弘法寺の踟供養が実に神秘的で衝撃的な仏教行事であること、ご理解いただけたでしょうか。当日は地元の方々によるうどんのお接待などもあり、地区を挙げての祭礼といった盛り上がりをみせます。ゴールデンウィークの一日、弘法寺・踟供養をご堪能下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/05 訪問

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