写真:井伊 たびを
地図を見る滑川(なめりかわ)の中心であったここ中川河口一帯は、藩政期に松尾芭蕉も宿泊したとされる北陸街道の宿場町として、人々の往来や物資の流通で賑わっていた。そこの瀬羽町にある「旧宮崎酒造」の内部は、重厚な作りになっており、広い土間を抜けると上部には太い梁を何重にも組んだ「枠の内」と呼ばれる構造になっている。
現在の建物は、明治時代の写真や「岩城家文書」の設計図面などを基に、所有者の手によって平成20〜21年にかけて、明治期の外観に復元されたものだ。現在は有形文化財に登録されている。
今回ご案内する「かふぇ・ぼんぼこさ」は、この建物の奥の二階にある。広い土間を通り抜け、立派な蔵に魅せられ、歴史の深い息吹を感じながら進みゆく空間移動が癒しの店内へと誘う。
写真:井伊 たびを
地図を見る歴史の匂いを味わいながらの長い通路。踏み固められた土間。立派な蔵。当時の栄えていただろう暮らしぶりを彷彿とさせる部屋、部屋・・・。それらは、かつての人々の営みを思い起こさせる。そしてそれらは、まさに時代を超えて語り繋げる証人でもある。かつて、堅牢であっただろう蔵構えは、その長い時の流れを「無言」という表現手段で、訪れる人々に数多くのことを語りかけてくる。やがて、二階にある「かふぇ・ぼんぼこさ」へ誘う階段にたどり着く。
写真:井伊 たびを
地図を見るオーダーしたメニューが、運ばれてくるまでの束の間に、窓からの眺望に見入ってしまう。天然の生簀ともいわれる富山湾。新鮮な海の幸が豊富であることは周知の事実だ。
ここ「ぼんぼこさ」では、特にオススメなのが、人気メニューの「剣岳カレー」だ。
写真:井伊 たびを
地図を見るしっかりとした屋根裏の梁は、百年余り前の棟梁の心意気を今に伝えている。開放感溢れる店内の雰囲気は、訪れる客の心を鷲掴みにする。
春待ち遠しい雪降る冬の昼下がりでも、ここに来れば、過ぎゆくときをも忘れさせてくれるようだ。それは建物に染み入った数々の歴史の成せる技だろう。
そんな歴史が語りかけてくる佇まいの中で、オシャレな食事をしていると、往年のフランス映画のヒーローか、ヒロインになったような気分にすらなる。
誰にも知られず、ここを心置きなく我が儘になれる「隠れ家」にしている人も多いと聴く。それもアリ!だと十分理解できる空間だ。
写真:井伊 たびを
地図を見る壁際に目をやれば、この店によくマッチングした油絵が、飛び込んでくる。それは、この地・滑川をベース地として活躍されている、水野利詩恵先生の作品だ。
長い歴史を人々と共生してきた「古い戸板」や「古い屏風」に魅せられて、その役目を終えようとするそれたちに、再び活躍の場を与えようと、それらに絵を描き始められた先生。
そのすべての作品には、古い物を慈しむ心が溢れ出ている。そんな先生の作品だからこそ、歴史あるこの建物との素晴らしいコラボが愉しめるのだろう。
ここ滑川には、「ほたるいか」の漁獲高日本一でも有名な漁港がある。「かふぇ・ぼんぼこさ」では、旧宮崎酒造で愛されていただろう骨董の器や、新進作家制作による器に盛りつけられた料理が愉しめるのもウレシイ!
お店では、不定期だが「音楽ミニライブ」「ヨガ」などが開催される。また、旧宮崎酒造では、毎月最終土・日曜日に「骨董ふりま」が開催されている。
さらに平成27年10月14日(水)〜18日(日)には、「酒蔵アート in なめりかわ 2015」が開催される予定だ。絵画、書道、生花、陶芸、木工などの総合イベントで、もちろん水野利詩恵先生の作品も出品される予定だ。
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(2024/9/18更新)
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