スペイン・世界遺産の街「テルエル」でムデハル建築巡礼の旅!

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スペイン・世界遺産の街「テルエル」でムデハル建築巡礼の旅!

スペイン・世界遺産の街「テルエル」でムデハル建築巡礼の旅!

更新日:2015/05/11 14:40

小林 理沙のプロフィール写真 小林 理沙 日本語教師、翻訳家

スペインのテルエル市には「世界遺産」のモニュメントが4つもあります。それらの共通点は「ムデハル様式」です。
これは、レコンキスタ完了後も、在留し続けたイスラム教徒によって建てられたキリスト教の建造物です。

世界遺産への登録は、建物のエキゾチックな美しさからだけでなく、宗教の違いを超えて共存、文化交流があった証です。そんな興味深い歴史から生まれた遺産で魅了する町、テルエルに行ってみましょう!

「サン・マルティンの塔」

「サン・マルティンの塔」

写真:小林 理沙

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「サン・マルティンの塔」は、1315年から1316年にかけて建設されました。この塔の形ですが、イスラム教寺院「モスク」に付属し、礼拝の自国を告げる塔「ミナレット」を模倣しています。イスラム王朝のひとつ、モロッコのマラケシュが首都だったムワッヒド朝時代の芸術と技術が用いられました。モロッコの「ミナレット」は、現在もこの形状です。

ご覧のように、建物は白や緑や茶褐色で彩色された星や幾何学模様などのイスラム教のモチーフの陶器製の飾りが施されたレンガ造りです。

テルエルのある州をアラゴン州と言います。「アラゴン州のムデハル様式」は、イスラム教の影響のみならず、当時ヨーロッパで流行した「ゴシック様式」などの様式も取り入れられています。そのためか、異国情緒たっぷりなのにヨーロッパの街並みに見事に溶け込んでいます!

「サン・ペドロの塔」はスペイン版ロミオとジュリエットの教会付随

「サン・ペドロの塔」はスペイン版ロミオとジュリエットの教会付随

写真:小林 理沙

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この塔は、教会としてだけでなく要塞としての役割を期待され、13世紀に建設されました。テルエル現存の塔の中では最も長い歴史を持っています。

隣接する内部の装飾が大変美しいサン・ペドロ教会は、1555年に地下のチャペルで恋人たちのミイラが発見されて以来、時代に翻弄された恋人たちの悲恋の物語で知られるようになりました。こちらは見学可能です。

カテドラルの異名は「ムデハル芸術のシスティーナ礼拝堂」!

カテドラルの異名は「ムデハル芸術のシスティーナ礼拝堂」!

写真:小林 理沙

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もともとあったロマネスコ様式の教会を基に、12世紀からカテドラル建設が始まり、5回の大きな改築を経て、最後の門が完成したのは1909年です。実に長い月日を要しました。

写真中央左のひときわ高い1257年に建設された「塔」、その横に見える「丸天井」と屋内の「屋根組み」の3箇所が世界遺産に登録されています。

教会は大きく3つに分けられます。この中で重要度が高いのが教会を真上から見た時に「十字架」の形をしている部分の、線と線が交わるところです。この部分に前述の美しい「丸天井」があります。ここは1538年に造られました。

さて、テルエルのカテドラルが、バチカン美術館の「システィーナ礼拝堂」のムデハル様式版とも謳われるからには、天井を見上げてください!そこには、絵画ではなく美しい木彫りで、当時を代表する職種、職人、歴史上の人物や想像上の動物などが見ることができます。

実は斜塔!「エル・サルバドールの塔」

実は斜塔!「エル・サルバドールの塔」

写真:小林 理沙

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建設時、日の当たる角度と時間の関係で、建築材が早く乾いてしまったため、緩やかに傾いてしまった「エル・サルバドールの塔」です。
「サン・マルティンの塔」とよく似た「ミナレット」を模した形です。

この塔は、塔を建てた後、その外側にもうひとつの塔を造ったため、2重構造となっています。古い塔と新しい塔の間に122段の階段が敷かれています。また、建設中日当たりの関係から、建材の乾く速度が面によって異なり、塔が若干傾いてしまいました。

内部は「ムデハル建築センター」としても機能しており、「ムデハル様式の建築物」についての3つの展示室があり、文字のみでなく豊富な写真からも歴史や文化を学べます。また、最上階は展望台になっていますから、ぜひ登ってみてください!赤レンガ色のテルエルの街並みが見渡せます!

今でこそ、壁には装飾は何もありませんが、以前は美しいイスラム芸術の装飾が施されていたのです。その壁を飾っていたものを昔、財政難の市が売り払ってしまったというとんでもない逸話も、展示されています。

ネオ·ムデハル様式の大階段「エスカリナータ」

ネオ·ムデハル様式の大階段「エスカリナータ」

写真:小林 理沙

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テルエルに電車で到着すると、駅の前にあるため、すぐ目に入ってくるのがこの立派な大階段です。1920年から1921年にかけて建設されました。100年近くの年月を経たとはいえ、上でご紹介した4つの世界遺産とは比較できないほど新しい建築物です。

テルエルの世界遺産のモニュメントに似た雰囲気も持ちますが、それもそのはず!「ネオ(新)ムデハル」と建設当時の流行だった「モデルニスモ」が融合した建設様式です。デコラティブな「モデルニスモ」の影響は、陶器で作られた装飾や照明に表れています。

階段中央の壁にある作品は、スペイン版ロミオとジュリエット「テルエルの恋人たち」のドラマチックでロマンチックなシーン。

おわりに、

テルエル市内の4つの世界遺産はともに1986年に登録されました。全部歩いて回れる距離にあるのは、小さい街のよさでしょう。

見所の世界遺産の他にも、テルエルは、日本でも人気のスペイン食材の「生ハム」の産地ですから更に魅力的!
お手軽価格で存分に味わえるよい機会を逃さなないでください。

テルエルが属するアラゴン州では、他に6つの「ムデハル様式」の世界遺産があります。現在では、比較的人口も少ないアラゴン州ですが、スペインを統一し現在の国の形をつくったと言われる「カトリック両王」のフェルナンド王はアラゴンの王様でした。
現在、カタルニア、バレンシア、バレアレス諸島の旗にも見られる「赤と黄色のストライプ」も元々はアラゴンの旗のものです。

過去の栄光を誇示しない質素さも魅力的なアラゴン州です。アラゴン州の素朴に輝き続ける美しい街、テルエルにぜひ行ってみましょう!

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/04/19 訪問

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